・新しい強誘電体コンデンサが、100億回の書き換えを可能に。
・既存のフラッシュドライブとは異なり、強誘電体メモリデバイスは宇宙空間でも動作可能。
自発分極を備えた強誘電体を利用した不揮発性メモリデバイスのコンセプトは、低い消費電力、高速書き込み、(理論上)無限の耐久性です。そして、これらのコンセプトは、まだまだ大きな可能性を秘めています。
今日、電子産業では、既存のソリッドステートドライブやフラッシュドライブよりも長い寿命と早いアクセスを兼ね備えている不揮発性メモリ技術へのニーズが高まっています。その不揮発性メモリ技術の有望な候補の1つが、マイクロエレクトロニクス業界(微細電子業界)ですでに知られている誘電体を使用した「二酸化ハフニウムベースメモリ」です。
特定の温度処理や合金化によって、二酸化ハフニウムの薄い層が強誘電特性を示す準安定結晶を形成し、電界の方向を「記憶」できる性能があります。
この新しい酸化ジルコニウムハフニウム酸化膜の構造は、通常の電気コンデンサに似通う面もあります。それが2つの電極間に挟まれた約10ナノメートルの「厚さ」です。
強誘電体コンデンサの残留分極をメモリとして使用できるように、ナノフィルム全体に分布する電位の測定など、薄膜で起きるプロセスを深く理解しなければいけません。
新しい不揮発性メモリデバイス
酸化ハフニウムの強誘電体相は10年前に発見されましたが、今の技術でも分布をナノスケールで直接測定することができていませんでした。
しかし、モスクワ工科大学の研究者が、強誘電体コンデンサの電位分布を測定するための独自の手法を考案しました。
硬X線光電子分光法を使用してメモリコンデンサを調査しました。この方法は、強力な単色X線の定在波に関連しています。コアレベルのラインシフトを調べることによって、局所的な電位分布の測定を可能にしたのです。
そして、酸化ジルコニウム-ハフニウム層を横切る電位分布が非線形であり、分極スイッチングで変化するこという調査結果が出ました。
研究者は、走査透過型電子顕微鏡のデータと理論モデリングが組み合わさり、両方の界面でのジルコニウム-ハフニウム酸化物の欠陥、強誘電分極によって変調した電荷状態による非線形電位挙動と説明しています。
要約すると、この研究は、酸化ハフニウムベースの強誘電体コンデンサの固有の電子特性メモリデバイスのエンジニアリングにとって重要である理由に新しい焦点を当てました。
そして研究者たちは、ラボに組み込まれた強誘電体コンデンサは100億回の書き換えサイクルに耐えることができると主張しています。
半導体ベースのデバイスとは異なり、強誘電体メモリデバイスは外部放射の影響を受けません。つまり、宇宙線に耐えることができ、宇宙空間でも使うことができるのです。