Googleは今後2年以内にChromeでのサードパーティCookieのサポートを段階的に廃止する計画を発表をしましたが、これがマーケティング業界にとってどう影響していくのでしょうか。
ざざっとお伝えすると・・
Googleは、今後2年以内にChromeでのサードパーティCookieのサポートを段階的に廃止する計画を発表し、さらに、デバイスやブラウザのフィンガープリントに対抗する新しい方法が今年後半に開始されることになりました。
Googleや他のユーザーはファーストパーティCookieについては問題視していません。サイト訪問者や顧客がそのサイトに自らアクセスしているからです。
DoubleVerifyのEMEA のマネージングディレクターTanzil Bukhari氏は、「広告業界のユーザーレベルからコンテンツターゲティングレベルへの移行が加速されていきます。大規模なファーストパーティデータに基づくFacebookやAmazonなどの高い壁に囲まれたマーケットは、こうした環境でますます繁栄していくだろう」と指摘しています。
Googleはかねてから、サードパーティCookieを悪く言ってきましたが、2年以内に「サードパーティCookieを廃止する」ことを正式に発表しました。この死刑判決は、Chromiumブログの1月21日の投稿にて発表されました。
投稿内でChromeエンジニアリングディレクターのJustin Schuh氏は、昨年8月に開始された技術大手の「プライバシーサンドボックス」のイニシアチブについて述べています。
ウェブ上のプライバシーを強化しつつ、関連するオーディエンスに広告を出すパブリッシャーのニーズをサポートするオープンソースの取り組みは新しい基準を設けようとしていましたが、依然曖昧なままです。
重要な課題
Privacy Sandboxのイニシアチブが有効な代替案をもたらすまで、GoogleはChromeでのサードパーティCookieのサポートを段階的に廃止していきます。そして2020年の終わりまでに、セールスのコンバージョンを測定しパーソナライズするための新しいアプローチを開始します。
サードパーティのCookieをHTTPS経由で利用するような「安全でないクロスサイトトラッキング」についてのChrome上での制限は今年2月から開始される予定です。
これはユーザーに、より高いレベルのセキュリティとブラウザーレベルのCookieコントロールをすることを目的としています。加えてデバイス、ブラウザのフィンガープリントに対抗する新しい方法が今年後半に開始されます。
フィンガープリントでは、ユーザーのデバイスとブラウザーの固有の情報(OSバージョン、ブラウザーバージョン、特定のフォントとプラグイン、その他の属性)を利用してユーザーを識別します。
Googleやその他ユーザーは、サードパーティのCookieと同様にフィンガープリントもユーザーのプライバシーの侵害であると見なしています。当然ながら重要な課題は、サードパーティCookieに置き換わるものを見つけ出すことです。
PubMatic、LiveRamp、Interactive Advertising BureauのDigiTrust、The Trade Desk、ID5、OpenX、Advertising ID Consortiumなど、さまざまなベンダーがさまざまなソリューションを試験的に導入しています。
ファーストパーティCookieは問題なし
上記はサードパーティCookie同期の巨大なオーバーヘッドを最小限に抑えることにより対処されています。これは、異なるベンダーのサードパーティCookieを他のCookieと一致させる代わりになります。
ファーストパーティCookieの周りに共有可能なIDを構築するものもあります。ファーストパーティCookieは、訪問者の興味や好みなどを記憶するために、サイト運営者が訪問者の情報を送信するものです。
Googleや他のユーザーはファーストパーティCookieは問題としていません。訪問者または顧客がそのサイト運営者のサイトにアクセスしようとした結果の情報だからです。
しかし、サードパーティのCookieは、広告ネットワークなどによって送信され、Webを通じてユーザーが気づかない内に追跡します。
Googleの2年の締め切りデータに対する広告ベンダーの反応は、広告主がユーザーに制御は加えられるものの、関連するオーディエンスを見つけることができるソリューションの準備ができていることを示唆しています。
では、問題とはなんなのでしょうか。
「避けられない結果だった」
DoubleVerifyのEMEAのマネージングディレクターで、以前はGoogleの役員だったTanzil Bukhariは、この期限は「避けられなかった結果であり、ほとんどの人はすでに予想していました」といいます。
加えて彼は、この動きが広告業界のユーザーレベルのターゲティングからコンテンツターゲットへの移行を加速するとしました。
「2時間前に靴を買っているからではなく、オリンピックについて読んでいるからという理由でNikeの広告が表示されるようになります。」
広告主は、ウェブ上の関連ユーザーをフォローするのではなく、コンテンツに関連する広告を表示する従来の広告に戻るということになります。
The Media TrustのCEOであるChris Olson氏は、「Cookieは重要ではなく、データ収集については『データ収集への開拓時代アプローチ』が消費者とプライバシー規制によって圧力を受けている」と付け加えました。
その結果、ブランド、広告主、データプロバイダー間の大規模な再調整が図られることになるのです。
データソリューションプロバイダーのLotame CMOのAdam Solomon氏は、「問題はGoogleがプロセスを支配するのか、それともGoogleに不当な利益をもたらすことなく、この技術を活用する立役者たちにチャンスを与えるのかということなのです」と述べています。
データを所有する
「私たちはナイーブであってはいけません」と、メールプラットフォームLiveIntentのCEO、Matt Keiser氏は警告します。「Googleのサイトベースのコンテンツ広告ネットワークとYouTubeの広告は、サードパーティのCookieの終了による影響は受けないでしょう」と述べ、。
さらに「FacebookやAmazonなどの高い壁のあるマーケットは、大規模なファーストパーティのデータに基づいているためこうした環境でますます繁栄するが、サイト運営者や小売業者は、自社データを共有する方法を選択した場合、それに対抗できる」と述べています。
しかし、戦略的パートナーシップのSpotX VPであるクリステン・ウィリアムズは、「ファーストパーティのデータは万全ではないかもしれない。Firefoxのようなブラウザーは、DigiTrust Cookieの広告主のファーストパーティCookieの場合でも、DigiTrust Cookieをブロックしてしまいます」と指摘します。
DigiTrustのソリューションは、ユーザーIDの共有にファーストパーティCookieを使用する予定です。
PMGのプログラマティックメディアディレクター、Justin Scarborough氏によると、ブランドにとっての長期的な戦略は最終的に「ターゲットマーケティング面で外部デジタルプラットフォームに依存するのではなく、データの少なくとも一部は自分の所有するデータを頼ることになる」とのことです。
「消費者の要望と期待に応じたパーソナライズされたマーケティングをブランドが展開できる唯一の方法がデータの所有権なのです」と述べています。