バーチャルリアリティは、オーディエンスのブランドとの関りかたを変えてきており、将来志向のコンテンツをデザインしようとしている人全員が、VRを上手く使いこなすことを目標とするようになるでしょう。
バーチャルリアリティ(VR)というアイデアは、Tronのような映画を観て、バーチャルスペースでの生活は、遠い未来のファンタジーであるという考えをもって育った私たちにとっては、少し恐ろしく感じられるものかもしれません。しかし、FacebookがOculus Riftを20億ドルで買収した後、バーチャルリアリティは現在の生活の一部になる可能性を秘めていたことが明らかになりました。
VRに関する文献の多くはゲームに重点を置いていますが、まもなく、VRは私たちの遊び方だけでなく、ブランドと人との関わり方を変える社会的なモバイル体験の一部となります。相互的な体験で従業員を訓練したり、仮想店舗へ入って新しい製品を試したりといった使い方を想像してみてください。
VRは子供だましではない
数年前、Oculus Riftを体験するために、私たちはカーニバルにいる子供のように列をなして待っていました。しかし、最近では、VRは単に目新しいだけの段階を通り越して次のステップに進みました。これまでには、実際、一部のオンラインニュースが「VRは終わった」と宣言していました。
しかし、ClickZのMike O’Brienが最近指摘したように、電子メール、IoT、あるいはVRブームの終焉を宣言することは、それがもはや流行語ではないと宣言するマーケティング業界のしきたりであることが多いのです。昨日までマーケティングの流行語だったものの多くは、今日、マーケティング戦略の一部となっているものなのです。
そしてセールスの観点から言えば、VR業界は非常に活発で、間もなく私たちの生活の大部分を占めるようになるでしょう。 VRの経済効果は2020年までに295億に達すると予測されており、VRヘッドセットの販売数は今後2年間で8200万にも上る可能性があります。
これは、VR革命が、見本市に集まった人々が想像したのとまったく同じように起こっているという意味ではないのです。人々は毎朝ベッドから出てこず、VRヘッドセットに接続して1日中過ごしているわけではありません。VRコンテンツの制作は、ユーザーがそれを試して理解しようとする意欲と並行して進化しなければならないということなのです。
B2BにとってVRはとても有益なツール
インタラクティブVRコンテンツがB2C企業のためのギミックであると想定していたB2Bマーケターは、何か見落としていたのかもしれません。バーチャルリアリティは、バーチャルショールームで具体的な体験を提供することによって複雑なコンセプトを理解してもらうための鍵となるだけでなく、便利なトレーニングツールにもなるかもしれません。
例えば、食品加工システムの設計と製造を行うKey Technologyは最近、食品製造施設の中を歩いて、デジタルな食品分類の非常に複雑なプロセスを見てまわることのできるVRを作成しました。 Key TechnologyのVRコンテンツは、ブランド認知度を高めたばかりでなく、ユーザーにバーチャルな体験を通じて難しいコンセプトを理解してもらったのです。
VRコンテンツをマーケティング戦略に取り入れることを考え始めたばかりの人にとっては、VRの作成はとてつもなく大きな挑戦に感じられるかもしれません。 この記事ではVRコンテンツの作成と、どのような種類のVRコンテンツが適切なのかを判断するためのヒントをいくつか紹介します。
試してみよう
無駄なことだと思われるかもしれませんが、VRコンテンツの制作を始めるなら、VRが非常に快適であることを自分で確認する必要があります。最近では、VRヘッドセットはかなり簡単に手に入るので、自分がそこから何を望むのか理解することで、VR体験からオーディエンスが期待していることを一番よく理解できるのです。
VR技術を選択する際には、ProtopryのBlake Hudelson氏によると、ローエンドからハイに至るまで、市場はさまざまな選択肢であふれかえっていて、「Google Cardboardは手頃な価格(15ドル)で、どのスマートフォンとも使用できるため最初の選択肢として素晴らしいですし、最高品質の体験を望んでいて、そのための費用を支払う意欲のある人にとっては、Oculus RiftまたはHTC Viveが最良の選択肢です。 OculusとViveの両方には自然なハンドコントローラがあり、仮想空間と対話的に操作ができます。 Tilt BrushとGoogle Earth VRのアプリは、最初に試してみるべき素晴らしいインタラクティブな体験です。」
大きく考えるか小さく考えるか
最近ヘッドラインを賑わすVRコンテンツの大部分は、壮大でとてつもなく費用のかかる、Star Wars: Secrets of the Empireのように、VRヘッドセット、ベスト、小道具、そしてスターウォーズの世界にゲストを入れるための物理空間を使用するインタラクティブなVR体験を提供するものであることが珍しくありません。
しかし、ほとんどのマーケティング担当者はディズニー波並みの予算を持っているわけではありません。 Forresterは、完全にインタラクティブな広告には50万ドル以上の費用がかかると最近報告しましたが、もっと安価にVRで実験する方法が沢山あります。複雑で高価でありながら、最終的には満足のいかない壮大なショーではなく、魅力的で有用なVRコンテンツをあなたの聴衆に提供することが目標なのです。
たとえば、中国の電子商取引会社Alibabaは最近、顧客がVRヘッドセットを使ってAlibabaの在庫にある衣類とアクセサリーを組み合わせながらショッピングができる、バーチャルショッピングプログラムを開始しました。インタラクティブなVRコンテンツにより、Alibabaの4億人のユーザーは、一人だけで製品をじっくり吟味することができるのです。
仮想店舗を作成することは、単にブランドをはやらせるだけに終わるものではありません。研究によると、VRで仮想ショッピング体験を提供するには、実際のレンガとモルタル店舗を構築して操作するコストのわずか80%しかかからず、かなりコスト効率が高いことが分かります。
適切なツールを使おう
VRは、ビデオに依存するものですが、VR / AR代理店Friends With Hologramsの創設者であるCorporate Hardingによると、ほとんどのマーケティング担当者が使用していた種類のビデオとは異なります。
「VRはまったく新しい言語を必要とします。」とHardingは最近、こう語りました。 「VRの撮影をする方法、VRでデザインする方法、VRで考える方法を知っている人が必要です。その方法を真に理解せずにVRで広告を作ろうとしているなら、まず間違いなく失敗するでしょう。
幸いなことに、VRヘッドセットが売れるようになると、VR用のビデオを撮影する360度カメラも同様に手に入れやすくなりました。通常のカメラとは異なり、360度カメラには2つの魚眼レンズを備えており、全方向を同時に撮影します。これらのカメラは、ライブストリーミングとムービー品質のビデオ解像度に加えてVRを考慮して構築されています。
しかし、VRが変化をもたらしているのはカメラだけではありません。クリエイターもまた、新しい方法で映像を考える必要があります。スクリーンは映像を長方形の枠内で考えるように私たちを仕向けましたが、360度の映像を撮影するときは、境界と焦点の外側で考えて現実をありのままにとらえ、スクリーンにフィットしなければならないものという考えは捨てます。
VRだけでなく、ソーシャルメディアや独自のブランド体験など、360度映像の可能性を考えていない場合は、今すぐ始めるのが良いでしょう。
驚きの計画
インタラクティブVRコンテンツを企画するときは、オーディエンスのあらゆる動きを予想することが重要です。従来のコンテンツと違って、体験はオーディエンスの目の前ではなく、その周囲で起こっているということを忘れないようにしましょう。すべての人の周りに経験が起こっていることに留意してください。オーディエンスは必ずしも現実感のためにVRを使用するのではなく、別世界にいるような体験に驚かされることを期待していることもあるということも頭に入れておきましょう。オーディエンスはVRコンテンツに驚かされることを期待しているということを予測することは、計画段階で最も大切なステップの1つです。
ただし、驚きと安定性のバランスは綱渡りかもしれません。 VRコンテンツを体験した時の自分自身の、本能的な反射を思い出して、オーディエンスが文字通りの病気にならないようにしましょう。
専門家に相談しよう
VRはまだ発展途上にあり、VRコンテンツを作成するには、まだ多くのマーケティング担当者が習得していないスキルが必要です。 VRコンテンツを作成するための選択肢を探る間に体験すべきプログラムはたくさんあるのですが、洗練されたマーケティングを目指しているのであれば、VRコンテンツ制作会社は依然として選択肢の1つなのです。
VRコンテンツ作成の可能性について多くの議論が交わされてきましたが、重要な消費者インサイトを提供するというVRの潜在能力についてはほとんど言及されてきませんでした。 VRデータはビデオで提供されるものと似ていますが、視聴者が文字通りコンテンツの中に入っているため、はるかに洗練されています。 VRアナリティクスでは、マーケティング担当者に、オーディエンスは広告にどれくらいの時間を費やしているのかだけでなく、その時間をどのように費やしているかを正確に知ることができるのです。
YuMeによる最近の調査では、74%のVRユーザーが、バーチャル広告体験はデジタル広告の体験よりもうっとうしく感じにくいと回答し、70%の回答者がその日の内にVRコンテンツを思い出すことがあったことが報告されています。
要するに、おそらくバーチャルリアリティは、従来の形式のコンテンツマーケティングに取って代わるものではないのですが、マーケティング担当者は、VRによってオンライン環境にアクセスする機会がますます増えるであろう未来にむけての準備を始めるべきであることは間違いありません。バーチャル会議へ参加することや仮想店舗でショッピングしたりすることは、ファンタジーではなく、今まさに起ころうとしていることなのです。
※本記事は、Get ready for a new reality: A guide to creating VR contentを翻訳・再構成したものです。
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