少し前までは、「全米」の検索結果ページ(SERP)をトラッキングしていれば、検索者がどこにいようと、検索者に表示される画面を正確に知ることができました。
現在、検索者が意図的に隠さない限りは、Googleは検索者の所在地を知り、その場所に大きく影響される結果を出しているのです。
つまり、「全米」または「マーケット」レベルの検索結果だけでは生き残れません。 検索結果を生きながらえさせるのは「正確な所在地」なのです。
もちろん、これが正しいことはわかっていますが、少し(多くの)データから確認しなければ、そうとははっきり言えません。キーワードトラッキング戦略を立てる場合には、 Googleがするより、検索者の所在地について気を配ってください。
検索結果比較を設定
適切なキーワードをセグメントすることが検索結果データを理解するのに不可欠です(さらにポイントを挙げるにはポイントを複数挙げるのが望ましいです)ので、クエリを2つの異なるカテゴリーに分けてみました。
1,全般検索意図キーワード・・・配送料を支払いたくないという場合を除き、これらの検索結果は家を出ることなく満足させることができるものたちです。例えば [マウンテンバイク]、[ノートパソコンのスピーカー]、[FIFA 19 PS4]
2,ローカル検索意図のキーワード・・・これらは、明らかに物理的な位置も必要とする検索です。例えば[優秀な機械工]、[ビーガンレストラン]、[24時間営業のジム]
ではトラッキングしてみましょう。私たちは各グループのキーワードを、STAT(トラッキング検索サイト)に入れ込み、ポートランドとニューヨークにいる場合と、アメリカ英語圏のマーケット全体での検索の場合とでトラッキングしてみました。
たとえば、一方の検索結果は「10038 New York、NY」に基づき、もう一方は「US全体」に基づいています。
すべての検索結果を収集したのち(60万件を超えました)、一連の比較を行いました。
キーワードごとに、その検索結果が郵便番号レベルとマーケットレベルの検索結果の両方に出てくるのかどうか、もし両方が同じ順序で現れた場合の同じ順位かどうかを調べました。その検索結果はこっちにもあった?そっちにもあった?両方とも4位だった?というぐあいに。
上記に対する答えは、こうなりました。「はい」、「はい」、「はい」、全部一致していました。
しかし、私たちの最大の疑問は、マーケットレベルの検索結果は信頼に足るほど正確であるのかということだったのです。
全般検索意図キーワードの場合([マウンテンバイク]、[ノートパソコンのスピーカー]、[FIFA 19 PS4])
はじめ、全般検索意図キーワードについては、郵便番号付き検索とマーケット全体検索の結果とで比較的高い一致率があることに驚かされました。
自然検索結果(広告などを含まない検索結果)のうち上位20位のURLのうち83%が一致しました。これは予想していたよりは高かったのですが、マーケットレベルで検索したものは、郵便番号付きで検索結果のうち17%が表示されていないということであり、これは割と多いものです。
どんな重要な隠れたマーケットとしての洞察を見逃していることになるでしょうか。 私たちはランクづけされているのです。これでは競合他社に割り込まれているということになりませんか?
結果 一致率:ニューヨーク対マーケットレベル 一致率:ポートランドvsマーケットレベル
自然検索 83.11% 83.14%
総合検索 73.69% 67.02%
検索結果が同じ順で出てくるのかどうかを調べると、事態は深刻になりました。郵便番号付きと全米の検索結果で同じ順位で現れたのは自然検索結果のわずか28%だけでした。
これはたとえ自然検索結果の17%ぐらいはまぁいいかと思っても、自然検索のランキングが正確だと信用することができないということです。
総合検索結果に目を向けてみると、郵便番号付きとマーケットレベルの検索結果の両方に表示されるのは70%に過ぎず、自然検索結果を下回っています。総合検索に含まれるローカルパックがどれほど見落としやすいかの良い例となりました。
ポートランドの検索結果の31%とニューヨークの検索結果の27%が検索ワードのローカルパックを含んでいたのに対し、全米の検索結果では12%がローカルパックを出してきただけでした。
そのため、キーワードに場所を入れる必要はなくても、予め検索者がいる場所をGoogleが割り出していたら、その分ローカル検索意図結果よりの結果が出されるということになります。
総合検索結果のランキング一致については、33%に過ぎないため、先ほどの自然検索結果での不正確な順位結果を埋め合わせるのにも不十分となりました。
ローカル検索意図の場合(検索する場所によって変わる)キーワード([優秀な機械工]、[ビーガンレストラン]、[24時間営業のジム])
次に、ローカル検索意図のキーワードを調べてみましょう。どうなっているでしょうか?
結果は以下のようにさらに悪いものでした。全般検索意図キーワードでは約83%の一致率だったことを覚えていますよね?こちらでは郵便番号付きと全米の検索結果は、それぞれの自然検索結果を比較した場合、32%しか類似していません。
結果 一致率:ニューヨーク対マーケットレベル 一致率:ポートランドvsマーケットレベル
自然検索 33.35% 29.94%
総合検索 23.46% 20.09%
そのため、ローカル検索意図のクエリを全米レベルでトラッキングするだけでは、実際に検索者が見ているものとは68%も異なる結果を見ているということになります。
また検索順位で比較すると事態はさらに深刻になりました。自然検索結果のうちたった4%だけが一致していました。
先ほどと同様、総合検索結果に関しての一致率はめちゃくちゃでした。郵便番号レベルの検索結果とマーケットレベルの検索結果とでは22%程度の一致しかせず、検索順位では9%をわずかに超えるほどどだったのです。
Googleで探す求人について検証して見ましょう。これは、超ローカルオーディエンス向けです。 「仕事」とGoogleに入力した場合(この検索エンジン最適化ビジネスは難しいです)、検索者の居場所が不明なとき、検索エンジンはどうなるでしょうか。
正確な現地の求人情報を出さずこのようになります。
トラッキングされた場所 検索結果のうち求人情報の出現率
97204ポートランド 0.09%
10038ニューヨーク州 0.10%
全米マーケット 0.01%
上記のように、全米マーケットレベルの検索結果の0.01%のみが求人情報なのに対し、ポートランドでは0.09%、ニューヨークでは0.10%でした。
主な調査結果とまとめ
以上のことからまとめられることは何でしょうか?
・検索トラッキングコードを設定するときは、キーワードをよく考える必要があります。 検索者とほぼ同じURLが表示されているかどうかだけを気にしている場合は、全般検索意図キーワードをマーケットレベルよりさらに細かくトラッキングする必要はありません。
超ローカルな検索キーワードでは、現実のからかけ離れた検索結果が出てしまうため位置トラッキングもした方がいいです。
・検索順位に関してはマーケットレベルの検索結果では信用できません。キーワードに関係なく、自分や競争相手が検索結果のどこにランクされるかを知ることが重要なら、位置情報もトラッキングもしましょう。
・総合検索結果は、自然検索結果より検索者の所在地に結果が左右されます。「全般検索意図キーワード」も「ローカル検索意図キーワード」も、局所的な検索結果はマーケットレベルのものとさほど一致していません。そのため、総合検索結果を知りたい場合は、検索者の位置情報が特定されているとしてトラッキングしましょう。ローカルパックがあなたの弱点なら特になおさらです。
要するに、正確な結果をなんとしても掴みたいなら、超局所的にトラッキングする必要があります。つまり検索者の手の中で実際に見ている1つの検索結果は、茂みの中の2つの顔を持つマーケットレベルの検索結果と同等の価値があるということなのです。