QRコードは、1994年に登場して以来、長い間使われています。かつては自動車部品の在庫を追跡するために使用されていたものが、戦略的なマーケティング戦術として進化しています。この標準的な白黒のバーコードは、ブランドのデザインにカスタマイズすることができます。
2020年のパンデミックをきっかけに、QRコードが再びマーケティングに使われるようになったと言われています。QRコードをスキャンするだけで、人々は商品について知ることができ、支払いができ、さらにはYelpレビューサイトへの書き込みも簡単にできるのです。
そもそもQRコードとは何か?
「QR」とはQuick Response【クイックレスポンス】の頭字語です。これは、小さな2次元マトリックスバーコードに多くのデータを格納するために作られたコードです。しかし、いわゆるバーコードとは異なり、QRコードははるかに多くの情報(7,000文字以上)を格納でき、10倍以上の速さで読み取ることができます。QRコードは、1994年に日本の「デンソー」の開発部門(現在のデンソーウェーブ)の2人の技術者によって正式に発表され、日本の自動車業界で初めて使用されました。
QRコードのもう一つの特徴は、その仕様が敢えて公開されていることです。そのため、2000年にISO規格に追加され、スマートフォンのアプリやカメラに読み取り機能が搭載されたことで、簡単に作成でき、世界中の多くの人が利用できるようになりました。
コードを作成する際には、エンコードする情報が多ければ多いほど、コードが大きく複雑になることを知っておくことが大切です。また、これらのコードは、ランディングページやアクションがある限り永久的に有効です。一方、消費者側では、カメラにリーダーが搭載されたスマートフォンさえあれば良いのです。
QRコードは今でもビジネス・マーケティングに適しているのだろうか?
QRコードをうまく作成して実行すれば、マーケティングキャンペーンの中に組み込んだり、中心に据えたりすることができます。また、支払い方法など、日常的に使用することも可能です。QRコードには、静的コードと動的コードの2種類があります。静的コードは、一度作成されると(変更できないように)ハードコードされ、メールアドレスや連絡先の共有などに最適です。
動的コード【利用時にリアルタイムで生成される】は、データを保存するのではなく、Webページへのリンクを共有するときのように、スキャナーをリダイレクトします。しかし、Webページへのリンクだけではありません。動的QRコードは、クーポンやイベントページ、PDF、さらにはSMSのテキスト作成へも誘導することができます。必要に応じて、新しいコードを生成することなく、動的コードの内容や種類を変更することができます。そのため、動的コードはマーケティングキャンペーンに最適です。
2020年9月にアメリカとイギリスの顧客を対象に行った調査によると、調査対象者の31.98%が過去1週間以内にQRコードをスキャンしたことがあるようです。
また、QRコードをスキャンした場所について尋ねたところ、3つの場所が目立ちました。
・37.68%がレストラン、バー、カフェでスキャンしたことがある
・37.27%が小売店でスキャンしたことがある
・31.78%が消費者向け製品でスキャンしたことがある
QRコードは、人と人との接触を制限する非接触の特徴を持つため、最近では企業でも好んで利用されています。
QRコードをマーケティングに活用する方法
QRコードをマーケティング活動に取り入れる方法はたくさんあります。ここではそのいくつかをご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
ソーシャルメディアのアカウントを共有する
ソーシャルメディアのほとんどで、自分のアカウントのQRコードをカスタマイズすることができます。このQRコードを読み取ることで、相手はあなたのプロフィールに直接アクセスし、ボタンを押してあなたをフォローすることができます。このQRコードは、印刷して店頭で使用することもでき、デジタルと店舗のギャップを埋めることができます。
InstagramのQRコードは、プロフィールの中に用意されており、絵文字、カラー、セルフィーというカスタマイズのオプションがあります。アカウントのQRコードは、プラットフォームごとに独自の工夫がなされていて、ブランドカラーを取り入れたり、デザインを装飾したりすることが多いようです。
また、すべてのソーシャルメディアのアカウントをリンクさせたランディングページを作るという方法もあります。一度スキャンすれば、消費者はどのアカウントをフォローするかを選ぶことができます。
クーポンを掲載する
誰もが好きなものといえば、お得な情報ですよね。QRコードは、ソーシャルメディアに掲載したり、小売店の通路に置いたり、チラシに入れて配ったりすることができます。QRコードをスキャンすると、消費者はオンラインやアプリで利用可能なクーポンに導かれます。
上の例では、購入者がコードをスキャンして、Targetアプリのアカウントで取引を有効にするように促しています。買い物客としては、もうクーポンを切り取る必要もなく、お店に持っていくのを忘れることもありません。クーポンQRコードは、新規顧客の獲得やブランドロイヤリティの向上に最適な方法です。
料理やサービスのメニューを共有する
2020年に大打撃を受けたレストラン業界では、オーナーがタッチレス環境でのナビゲーション方法について工夫を凝らしました。紙のメニューや繰り返し利用可能なメニューを配る代わりに、QRコードを使ってすべてのメニューを掲載したWebページに誘導します。
上の例では、ビアガーデン「Hoptinger」が店内の看板でメニューへのリンクを表示しています。スキャンするとWebページにつながるだけなので、Hoptinger社は新たなコードを生成することなく、新しいメニューをページに反映させることができます。
レビューやフィードバックを求める
レビューは多くの業界で最も重要なものですが、レビューをもらうのは難しいと感じることがあります。レビュー数を増やすための戦略のひとつとして、率直にレビューをお願いすることが挙げられます。
上記のようなカードを配ったり、ドアやテーブル、メニューなどの看板に掲載したり、Eメールで送信したりして、レビューを奨励しましょう。このコードは、顧客が簡単にフィードバックを残せるように、アンケートやレビューのサイトへと導きます。
商品の情報を提供する
商品パッケージに掲載できる情報量は限られており、載せすぎると雑然とした印象を与えてしまいます。商品パッケージにQRコードを掲載すれば、顧客に商品の詳細を知ってもらうことができます。QRコードは、プロモーションビデオや商品の組み立て方を説明したクイックスタートガイドなどにリンクすることができます。
上記のようなパッケージにQRコードを使用することで、紙の無駄を省き、他のデザインのためのスペースを確保することができます。また、QRコードでクイックスタートガイドなどを表示すれば、内容を変更しても、何千部もの冊子を刷り直すことはありません。
景品をつける
お得な情報に加えて、人々を興奮させるのが景品です。景品への参加を促すには、簡単な方法にしましょう。これまでの景品は、Instagramのコンテストのように1つのプラットフォーム上にあったり、URLにアクセスして登録してもらったりしていました。しかし、URLを覚えてもらうということは、記憶に頼っていることになります。QRコードを読み取れば、エントリーフォームに直接つながるので、早くて簡単です。
上の例では、コンテストの応募オプションとしてQRコードがパッケージに組み込まれているのがわかります。
QRコードの成功を追跡・測定する方法
簡単に利用できる無料のオンラインQRコード・ジェネレーターを利用すれば、自分だけのオリジナルQRコードを作ることができます。基本的なデータのQRコードを作成できるサービスもあれば、機能を制限してプロ・プランにしているサービスもあります。WebサイトにリンクするQRコードの場合は、特定のショートコードを生成することで、クリック数を追跡することができます。
しかし、マルチチャネル販売キャンペーンにQRコードを本格的に使用するのであれば、スキャン回数以外のデータを提供するソフトウェアに投資するのがベストです。スキャンされた場所、日付、使用されたOSなどを知ることができるからです。ソーシャルメディア広告と同じように、QRコードのデータはリアルタイムに追跡・表示されるので、キャンペーンを実施しながら微調整することができます。
QRコードの総括とベスト・プラクティス
最近、QRコードが復活してきました。QRコードはスキャンするのに便利で、デザインをカスタマイズしてより視覚的にアピールすることができる、本質的に非接触型のテクノロジーです。企業にとっては、独自のコードを作成するのと同じくらい簡単に、マーケティングファネル【段階】のあらゆる部分にQRコードを組み込むことができます。
ビジネス・マーケティングにQRコードを使い始めるにあたり、念頭に置いておくべきいくつかのベスト・プラクティスがあります。
・コール・トゥ・アクション【行動喚起】を加える:脈略のないコードを何かに貼り付けるだけでは、意味がありません。そのコードは何のためのものでしょうか? コードの近くにコール・トゥ・アクションを追加しましょう。コードを囲むボーダーの一部でもいいですし、コードの上にシンプルなテキストを並べるのもいいでしょう。
・目的を持つ:QRコードについて読んだからといって、それを使わなければならない、というわけではありません。新たなマーケティングのトレンドだから、ということではなく、マーケティングに役立てたり、顧客の体験をスムーズにするためにコードを使用するのだ、ということを確かめてください。
・デザインに取り入れる:基本的な黒と白のQRコードは、デザインの中で最も視覚的に魅力的なものではない、ということを認識しましょう。既存のデザインの中に組み込んで、自分のブランド・スピンを加えることで、飾ることができます。上の例では、Arsenaultが自社のブランドカラーであるネイビーをQRコードの背景に使っています。
・コードを追跡する:マーケティングキャンペーンは、その成功を裏付けるデータがなければ意味がありません。キャンペーンが成功しているかどうか、コードを定期的にチェックするようにしましょう。
QRコードをマーケティングに取り入れようと思っても、どこから手をつけていいかわからないかもしれませんね? そんな時はコンテンツで試してみましょう。QRコードを組み込むために作成できる様々なタイプのソーシャルメディアコンテンツを見て、データで武装するのです。