この1年、コロナによってビジネスや消費者を取り巻く全ての状況が一変してしまいました。
この期間で状況がどのように変わり、またその変化が今後ビジネスにどう影響をもたらしていくのでしょうか?
Sprout Socialを代表するThe Harris Pollが実施した最新の調査”SNS戦略投資の現状”は昨年のコロナウイルスを始めとした出来事がどのようにアメリカの消費者と企業SNSの関係性や利用方法を劇的に変化させたかを調査しました。果たしてヨーロッパの企業も同様の傾向が見られるのでしょうか。
消費者のSNS利用率の傾向はアメリカ、ヨーロッパ両方で同様の結果が見られましたが(イギリスでは87%、アメリカでは92%のインターネット利用者が、SNSのアカウントを所有)企業としての利用は傾向が全く異なる結果となりました。アメリカでは中小企業の81%がSNSを活用していたのに対し、ヨーロッパではたったの40%の企業しか活用できていなかったことが判明したのです。
今回の記事ではヨーロッパで企業SNSアカウント活用を更に促進していく上で必要不可欠である、5つの学びを紹介していきます。
1.潜在顧客はwebサイトよりもSNSを見ている
コロナによって国ごとに様々な感染拡大の対策や自粛が行われていく中、SNSが友達・家族・同僚と繋がる最重要な手段となったのは当然とも言えます。それだけでなく世界中で実店舗数が減り、代わりにオンラインショッピングやEコマースの数も激増していきました。
そんな中で消費者が新サービスを見つける手段として公式HPを巡回することは少なくなってきていることには少し驚く方もいるかもしれません。実際に3人に1人の消費者は新商品やブランド、サービスを見つける手段としてSNSを活用していることがわかっています。もはや当然だと思われていた”公式HPを見る”という行動が消費者にとっての新サービス開拓の手段ではありません。
今では他の消費者の評価やコメントが最も消費者にとって影響力のある情報源となっています。(85%)続いて同様に、消費者のSNS投稿(71%)やSNS広告(59%)インフルエンサーによるPR投稿(53%)や企業公式アカウントからの投稿内容(63%)も上位にあがっているのです。
対策:デジタルにおける存在感を構築する。
消費者が急激に購買行動をオンラインに移す中、いかに自社ビジネスを公式HPを超えてオンライン上で認知させていくかが非常に重要になってきます。公式HPを常にアップデートするのも大事ですが、それ以外のタッチポイントの事を考えなければなりません。
日常的にSNSプロフィールを更新していますか?どんな内容を投稿していますか?過去の購入者がどんなレビューを残していますか?自社企業に関する全ての消費者の声をチェックしていますか?自社企業に対する情報・意見・会話は全てSNS上に残されていきます。そんなSNSへ積極的にアプローチを行っていくことでブランドストーリーを構築することができるのです。
消費者/顧客の意見を直接コントロールする事は出来ませんが、オフラインと同様にオンラインでも顧客同士のコミュニケーション活性化に繋げることができます。
2.顧客はかつてないほどにSNSを利用しており、その勢いは更に増加していく。
消費者調査の半数以上がSNS利用率がここ1年で増加した、と伝えており特にZ世代とミレニアル世代において向こう3年は増え続ける見込みとなっています。
SNS利用率は全年代(18-74才)に渡って増えている中、新規顧客・オーディエンスにアプローチするには今は絶好の機会と言えます。
対策:SNS広告を活用して理想の顧客と繋がる。
自社の顧客を理解する事はSNSで効果的にアプローチする上で非常に重要です。SNS広告はヨーロッパで人気を博しており、75%の消費者がより工夫していくべき手法だと答えています。逆に言えば、ここに競合から抜きん出るチャンスがあるのです。
実施するにあたってのいくつかのポイント
顧客のタイプを特定する:年齢・ライフスタイル・趣味・位置・ニーズを考慮しながら幅広く考えます。そこから共通項を見出していきます。
オンラインで顧客を探す:今では様々なSNSがあり、それぞれに違うタイプの顧客が存在します。上記で定めた顧客タイプに合致したSNSをきちんと選択する必要があります。例えばLinkdinはビジネス・プロフェッショナル向けのネットワークですが、TikTokはより若年層に向けたネットワーク、ということが言えます。
顧客と関わりを持つ:SNSを決定したら、次は潜在顧客に向けてコミュニケーションを取ります。もし何を投稿したらわからない場合は既存顧客に聞くか、同業者が何を投稿しているか見てみましょう。しかし、1番の方法は実際に顧客に向けて投稿して見て反応を見てみる事です。実際にやってみることで顧客からのリアルな声を聞くことができますし、投稿内容の分析も行う事ができるからです。
SNS広告を使ってリーチを広げる:シェアやレコメンド機能でネットワークを広げる事ももちろん可能ですが、SNS広告が最も効率的かつ早くあなたのビジネスの潜在顧客に届けることができます。全てのSNSは自社SNS広告を兼ね備えており、従来のTVやラジオよりも詳細かつ正確に広告配信ターゲットを定めることができます。
3.企業はSNSで顧客とコミュニケーションを取る事を求められている。
消費者はオンラインでかなり活発に活動しており、その例として自分たちのネットワークを超えたシェア,投稿,交流などが挙げられます。
対策:クリエイティブに顧客と関わろう。
SNSは会話・交流するのに最も良い手段であり、一方通行の会話を好む人は誰もいません。たくさんのヨーロッパ企業が未だにSNSでの存在感を”あったら良いモノ”程度に捉えています。しかしこの思考は顧客の期待とはズレが生じてきています。SNSを強化したい企業はクリエイティブに顧客と繋がれる方法を考えないといけません。
もちろんビジネスをただ一方的に配信/放送する手段としてSNSを使ってもいいですが、よりSNSに力を入れるほどより多くの反応を得ることができます。顧客との会話し、コミュニティを形成、インフルエンサーと共同で顧客にアプローチしましょう。ここで1番大事なのは楽しむことです。
4.全ての顧客にとってSNSは好まれる。
SNSは新規顧客と繋がり、自社企業を配信できる素晴らしいプラットフォームです。しかしながらSNSの役割はそこに留まりません。
なんと67%の消費者がカスタマーサービスはポジティブな購買経験には必要不可欠だと答えています。また58%の顧客は実店舗よりもオンラインで企業と繋がりたい、63%はメインの交流場所としてSNSが最も好ましいと考えています。さらに80%の消費者はSNSアカウントを持つ企業に対して、単なるマーケティングツールとして活用するのではなく、顧客にとって有意義な交流をとってほしいと考えています。
対策:SNSをカスタマージャーニーにおける全てのステージで活用しよう。
SNSは新規顧客を惹きつけるだけでなく、既存顧客との交流を図る場でもあります。消費者の期待はパワフルであるため、SNSで彼らと接触することがロイヤルカスタマーの基盤を構築するのにとても簡単なのです。
SNS戦略を立てよう:現状どのようにSNSを利用しているか、そしてどのようにこれから活用できるかを考えましょう。改善できる部分があればそこがチャンスとなります。SNSはリードを獲得できるだけでなく、カスタマーエンゲージメント,ブランド認知.市場調査,カスタマーサービスにも活用できます。
現実的なゴールを設定しよう:モチベーターとなる新規プロジェクトにおいてゴールを設定しましょう。しかし非現実的なゴールを設定してはいけません。SNSでは沢山の事が実現できるため、まずは目の前のゴールに集中する事をお勧めします。例えば、Twitterで10,000フォロワーを集めようと思ってもすぐにはなかなか難しいでしょう。まずは週ごと、月ごとの目標を定める事で期間ごとに経過を追っていけるようにしましょう。
成功のために準備しよう:何を達成したいか、どのように実現するかが整理できたでしょうか。一度に全てを変える必要はありませんが、長期的な成功のためにチームの工数や教育、ツールの活用は今から考えておいても遅くはないでしょう。
5.顧客は新しいビジネスをあなたにもたらしてくれる
口コミはこれまでも全てのビジネスにとって重要でした。しかし、SNSによって口コミの影響力はこれまでにないほど強く、リーチの幅も広がってきています。
3人に1人が購入体験をSNSを通じて共有し、40%の人々はSNSで口コミを求めています。また最も重要な事として76%の人々はポジティブな経験をした後はその企業を友人や周りの人々に勧めることが分かっています。
対策:最高の顧客体験を創出することに集中しよう
最高の顧客体験は最高の顧客を作り出すことにも繋がります。
最高の顧客体験を作り出すためにはSNSを超えて対策が必要になってきますが、口コミは変わらず力強くSNS上では更に影響力を増していきます。そんな中でSNS上であなたのビジネスネットワークとロイヤルカスタマーを育てることで、口コミを通じてロイヤルカスタマーの周辺の潜在顧客と次々と繋がることができるのです。
顧客体験を優先させることの重要さに対するより説得力のある事実が必要なのであれば、1回真逆に考えてみてください。悪い顧客体験は顧客ロイヤリティを損ねるだけでなく、SNS上の口コミで誇張され、今後一緒にビジネスをやろうと考えてくれる仲間も失うことに繋がりかねないのです。
果たして本当か?SNSはビジネス成功への鍵である
まとめとして、調査によると62%の消費者がSNS上で強い存在感を有していないブランドや会社は長期的なスパンで成功できないだろうと考えています。消費者におけるSNSの利用率は全年代で今もなお上昇しています。1年の期間で大きくビジネスを成長させるためにはSNS戦略を今すぐ始めるべきなのです。