統合開発環境の最新情報を追い続けるのはなかなか困難です。
しかしすべての人に最高の統合開発環境は存在しません。自身の用途に合うものこそが、ベストな統合開発環境となります。本稿では、5つの人気のある統合開発環境を紹介します。最適なものを見つけるための参考にしてください。
統合開発環境はテキストエディターとどう違う?
統合開発環境はテキストエディター以上の機能を持っています。
SublimeやAtomなどのコード記述に特化したテキストエディターは、構文の強調表示、カスタマイズ可能なインターフェース、高度なナビゲーションなどの便利な機能を持っていますが、あくまでもコードを書くことを支援してくれるだけです。何かしらの機能するアプリケーションを作る場合は、少なくともコンパイラーとデバッガーが必要になります。
統合開発環境は、コードの自動作成、テスト機能および開発プロセスの可視化機能も持っているものもあったり、コードの記述からアプリケーションやプログラムを作成するのに必要なものすべて持ち合わせています。
それではベストな統合開発環境とはどんなものなのでしょうか?
ポイントは、サポートする開発言語、使いやすさ、そして価格です。
ここでは基本的に無料で利用できる5つの統合開発環境について説明していきましょう。
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1.NetBean
NetBeansは、無料のオープンソースソフトウェアです。シンプルなドラッグ&ドロップ操作が可能で、様々なプロジェクトテンプレートを持っており、既存プロジェクトの改修やゼロからの新規開発に理想的なツールです。
主にJavaアプリケーションの開発に利用されていますが、他言語のサポートバンドルをダウンロードできます。
言語サポート:
C、C++、C++11、Fortan、HTML 5、PHPなど
主な特徴:
・直感的に操作可能なドラッグ&ドロップ操作
・ダイナミックおよびスタティックライブラリー
・コードアシスタントおよびマルチセッションGNUデバッガー
・リモート開発
・Windows、Linux、OS Xおよびソラリスプラットフォーム対応
・Qtツールキットサポート
・FortanおよびAssemblerファイルサポート
・CLang/LLVM、Cygwin、GNU、MinGWおよびOracle Solaris Studioを含む様々なコンパイラーをサポート
欠点:
無料の統合開発環境のため、メモリーの消費が激しく、マシンによってはパフォーマンスが悪くなる可能性があります。
2.Intellij IDEA
Intellij IDEAは、Jet Brains社によって開発された統合開発環境です。このツールは、無料のコミュニティ版と30日間無料のUltimateエディションを提供し、機能によって533ドル~693ドルの価格帯になります。
Java 8およびJava EE 7をサポートし、異なるプラットフォームのモバイルアプリケーションおよびエンタープライズ向けアプリケーションを開発するための拡張ツールも提供しています。豊富な機能を持っているので、コスパは非常に優れています。
言語サポート:
AngularJS、CoffeeScript、CS、HTML、JavaScript、LESS、Node JS、PHP、Python、 Ruby、Sass、TypeScriptなど
主な特徴:
・データベースエディターおよびUMLデザイナー拡張機能
・複数のビルドシステムのサポート
・UIベースのテストランナー
・コードカバレッジ
・Gitとの統合
・Google App Engine、Grails、GWT、Hibernate、Java EE、OSGi、Play、Spring、Strutsなどのサポート
・多くのアプリケーションサーバーに対応したデプロイおよびデバッグツール
・HTML、CSSおよびJavaに対応した高度なテキストエディター
・AIR MobileはAndroidおよびiOSデバイスをサポート
欠点:
学習するのに少し時間がかかるため、初心者が初めて使うのにはベストではないかもしれません。覚えるべきショートカットが多く、ユーザーの中にはUIがスタイリッシュでないと不満を述べる人もいます。
3.Eclipse
Eclipseは、無料で初心者およびプロ向けの柔軟なオープンソースのエディター機能が利用可能です。多くのプラグインと拡張機能のおかげで、非常に幅広い機能を提供しています。
Eclipseスタンダードエディションは、Javaおよびプラグインの開発ツールで、デバッグツールおよびGit / CVSサポートも含まれています。
それら機能では不十分というユーザーには、チャート、モデリング、レポート、テストおよびGUI開発ツールかた選択できる多くのパッケージ郡も用意されています。
Eclipse Marketplace Clientでは、拡大し続けている開発者コミュニティによって提供される多くの情報やプラグインを活用することができます。
言語サポート:
C、C++、Java、Perl、PHP、Python、Rubyなど
主な特徴:
・多言語サポートを実現する大量のパッケージソリューション
・カスタマイズ可能なプロジェクトの階層型ビューなどのJava統合開発環境の拡張機能
・システムトレイによるお知らせ機能を含むタスク特化インターフェース
・自動のエラーレポート機能
・JEEプロジェクト用のツールオプション
・JUnit統合
欠点:
Eclipseは多目的なソフトウェアなので、多くのオプションは初心者には煩わしいかもしれません。IntelliJと同等の機能は持ち合わせていませんが、オープンソースです。
4.Code::Blocks
Code::Blocksは、もう一つの無料でオープンソースの選択肢です。
すべてのプラットフォームで一貫した高度にカスタマイズ可能な統合開発環境で、ワークスペースを頻繁に変更しながら仕事をする開発者には最適です。必要なプラグインを入れることで、開発者のニーズにこたえることが可能です。
言語サポート:
C、C++、Fortran
主な特徴:
・オープンファイルのリストを含む操作が簡単なタブインターフェース
・Linux、MacおよびWindows対応
・C++で開発
・インタプリタ言語およびプロプライエタリ言語は不要
・多くのプレビルトおよびカスタムビルトプラグインをサポート
・GCC、MSVC++、clangなどを含む複数のコンパイラーをサポート
・ブレークポイント機能を持つデバッガー
・構文ハイライトおよび自動コンプリート機能を持つテキストエディター
・カスタマイズ可能な外部ツール
・複数ユーザーでの利用に便利でシンプルなタスク管理ツール
欠点:
Code::Blocksは多くの機能を持ち、かなり軽量な統合開発環境なので、大規模プロジェクトには向いていません。初心者には素晴らしいですが、スキルのある開発者には機能限界に不満を持つかもしれません。
5.Xcode
Xcode IDEは、無料のオープンソースでXcodeの一部であり、iPad、iPhoneおよびMacなどのアップルのデバイス用アプリケーション開発用のツールの集合です。
Cocoa Touchと統合させることで、アップル環境での開発を簡単にし、ゲームやオンラインバンキングアプリを1回のマウスクリックで利用することを可能にします。
開発者のウェブサイトが組み込まれているので、開発時のサポートに役立ちます。
言語サポート:
AppleScript、C、C++、Java、Objective-C
主な特徴:
・コード開発に簡単に連携できるUI
・アップルのLLVM compiler scans codeがパフォーマンス問題のアドバイスを提供
・ジャンプバー機能による操作性の向上
・インターフェースビルダーを使うことで、コードを書かずにプロトタイプを作成可能
・UIとソースコードを画面で連携することで数分で複雑なインターフェースのプロトタイプを作成可能
・ログファイルおよびタイムライン機能を持つバージョンエディター
・テストナビゲーター機能により開発のどの時点でも迅速なテストが可能
・OX Xサーバーとの統合により、自動的にプロジェクトの開発、分析、テストおよびアーカイブが可能
・高度にカスタマイズ可能なワークフロー機能
・ライブラリーおよびアセットカタログ
欠点:
Xcodeを実行するのにアップルのマシーンが必要で、アプリをアップルストアにアップロードするには開発者ライセンスが必要であることを忘れないでください。
あなたにとってのベストな統合開発環境を見つけましょう
何が自身にとってベストな統合開発環境かは、使うOS、プログラミング言語および開発をするプラットフォームによって異なります。
ベストなものを見つけるには、気になる製品のリストを作成し、自身の好みに合うものを探し続けるとよいでしょう。それぞれの開発者毎に好みのソフトウェアがあると思いますが、統合開発環境は成長し続けているので、恐れずに新しいソフトウェアを試してみることをおすすめします。
(※本稿はBest IDE Software – a List of the Top 10を翻訳・再編集したものです。)