「将来的に全てのモバイルアプリはiOSかAndroidアプリになる」というのは本当なのでしょうか?こうしたコメントを寄せる人々は概してネイティブアプリ市場から利益を得ていたりするものです。一方で現実に目を向けると、Webが未来のモバイルオペレーティングシステムとなりつつあり、ネイティブアプリは衰退しています。
ネイティブアプリが全てにおいて優れているわけではない
ネイティブアプリは、友人や家族とのコミュニケーションなど毎日頻繁に使う機能において優れています。WhatApp(※編集註:米国のLineのような存在のコミュニケーションアプリ)、Facebook Messangerなどです。これらはマイクやカメラ、オペレーティングシステム自体へのアクセスも必要となるため、ネイティブアプリである必要があります。
しかし、モバイルでのWeb通信速度が上がっている今、その他の機能がネイティブアプリである必要はあるのでしょうか。例として、アウトドアスポーツウェアで有名な「Patagonia」はネイティブアプリに別れを告げ、Webサイトを展開しています。
私たちはモバイルWebブラウザに、考えているよりも多くの時間を使っている
企業だけでなく個人もネイティブアプリから離れつつあります。現在平均的なアメリカ人の月間ネイティブアプリダウンロード率はゼロです。
(※編集註:上グラフは平均的な米国人ユーザーが使用するアプリの時間割合を示したものです。ランキング上位3つのアプリに利用時間が集中しており、それ以外のアプリはほとんど利用時間がないことを示しています)
一方で、Webブラウザ検索バーや各ボタンなど、誰もが操作性を熟知しており毎日使っています。例えばFacebookもWebブラウザであり、簡単にビジネスや友人の動向などをブラウズすることができます。FacebookのiOSアプリ内のブラウザも、検索バーや戻るボタンが付けられ、本物のブラウザのように変更されました。
ボット、ブラウズするための新しい技術
また、Webブラウザに関する新しい技術が生まれています。今までは自身でWebページのURLやドメインネームを集め、ブックマークを作らなければなりませんでした。しかし今、ボットが新しいタイプのブックマークとして登場したのです。ボットは、私たちが興味を持つだろうコンテンツを学習します。私たちのために、人口知能がコンテンツを集めてくれるのです。また、ボットにより、メッセージアプリを開いたまま予約や購入、記事を読むことなどが可能になりました。
スタートアップにとってどういう意味を持つのか
iOSでもAndroidでもなく、今後もWebが最も重要な基本ソフトであり続けるでしょう。未来のソフトウェア企業にとっては、ネイティブアプリに注力しすぎないことが重要となるでしょうし、Webアプリが新しいモバイルブラウザ上でうまく機能することは心に留めておくべきではないでしょうか。
(※本稿は「Browsers, not apps, are the future of mobile」を翻訳・再編集したものです)