研究者たちは1ペタビット/秒という従来よりも高速でデータを送信できる光ファイバーを開発した。このファイバーは人間の髪の毛程の細さで、ダメージを受けづらいという特徴もある。
光ファイバーとは?
光ファイバーのケーブルは80年前に開発され、以降ネットワークコミュニケーション界に革命を起こし続けている。
これらのケーブルは、情報を光信号に変えて伝達するためには光繊維状の細いガラスを用いている。ケーブルの側面より光が逃げるのを防ぐ”全内反射”により一般の電気信号による通信と比較して高速での通信が可能だ。
現代では光ファーバーはインターネット、ケーブルTV、パソコン、電話などのネットワーク、自動車産業、機械的検査、歯科や外科などの医療や軍事、宇宙産業などの様々な分野で活用され、我々の生活に不可欠な存在となっている。研究者たちは、より高速かつ長距離への通信が可能となるよう、日々研究を重ねている。
限界への解決策”多心光ファイバー”
ビデオコンテンツやSNSなどのサービスの急速な拡大で、インターネット通信量は爆発的に増加している。こういったインフラにより光ファイバーの処理能力は年々高まっている。しかし、標準的な光ファイバーではこのような速度や処理能力の発展には明確な限界があり、次の十年以内には限界に達する可能性があるといわれてきた。
科学者たちは限界を突破するために新たな通信システムの開発に取り組んでいる。既存の光ファイバーはクォーツのグラス繊維から成り、単一モードの通信を用いる一方、新たなデザインでは複合モードを用いてより高度な空間多重方式により通信を行う。
各企業による開発が続く
2012年、NTTは多心光ファイバーの機能を発表した。彼らは52kmという長さの単一モードの12芯光ファイバーを用いて1ペタビット/秒という高速の通信速度を実現した。
最近ではマッコーリ大学の光工学研究センターは1ペタビット/秒以上の速度での良好な通信が可能な光ファイバーを開発した。このファイバーは(株)フジクラや北海道大学との共同開発で、通信システムはNTTによって構築された。
この4コア3モードのファイバーは現存の光ファイバーと比較して12倍ものデータ量の通信が可能である。そして何よりも、従来のファイバーと同様にケーブル経が人の髪の毛程の細さなのだ。このケーブルは既存の危機に簡単に接続可能で、より細くなったことでダメージにも強くなっている。
このような利点は他の光ファイバーのコスト軽減に一役買っている。しかし、研究チームはどの程度の距離までこの速度でデータが転送できるのかは示していない。
実用化に向けて
今回の研究では、光ファイバーの研究史上初めて実用的かつ利用しやすい大きさのファイバーの開発に成功した。このファイバーは弾力があり、莫大な情報を安心して転送することが可能だ。この研究が標準的な光ファイバーの限界への有効な解決策となるだろう。