全てのコンテント・マネジメント・システム(CMS)にはメリットとデメリットがあります。eコマースや会員制サイトなどニッチなサイト構築に適しているCMSもあれば、 あらゆるサイト構築に適しているCMSもあります。さらに、これらのCMSはオープンソース型から、独自開発型へと多岐にわたります。
私は、市場占有率の高いWordPress以外にもいくつか他のシステムに手を出したことがあります。(それぞれのシステムをどれだけ利用したかについては一様ではないですが。)全てのパケージソフトウェアについて詳しい知識があると言うつもりはありませんが、何が優れたシステムを構成するのかを判断できる十分な経験はあります。使いやすさや、ユーザーが正しく使いこなせるよう最適化することが重要です。
大部分は過去数十年にわたって多くの改良がなされてきました。しかし、まだ全てのCMSが理想的な形であるとは言えません。これらを念頭に置いて、以下は現代においてCMS構築をする上で注意すべき5つのことです。
規格外かつアクセス不能なコードの生成
今日、Webには多くの標準規格やベストプラクティスがあるということに注目しないわけにはいきません。マークアップはセマンティックに、コンテンツはアクセス可能に。ほかにも、CSSはコンテナやタイポグラフィなどといったスタイリング要素に利用されるべきといったことです。
しかし、未だに間違った方法でUIの改善を行うことを助長するコンテンツ編集を見かけます。例として、以前連携したことがある独自開発型、会員管理をベースとしたCMSをあげてみましょう。コンテンツエディターはHTMLのfontタグのような古いテーブルをマルチカラムレイアウトに利用していました。
少し基準から外れることと、全く無視することは違います。どのソフトウェアでもそのような時代遅れの技術を使っているかもしれない(20年近くにもわたって)事実には戸惑います。いい加減であるということはいうまでもありません。
一般的にコンテンツを作成する人は、UIエディターに絶大な信頼を置いています。私たちには、テキストやイメージをきれいにするソフトウェアが必要です。完璧である必要はありませんが、誰もが決して消費することを妨げられるべきではありません。
ダッシュボード内が散らかることを見越しておく
私たちの中には、散らかったデスクで仕事をすることに苛立ちを覚える人もいます。様々なガラクタに囲まれながらでは、クリエイティブでいること、ましては集中することさえも難しいでしょう。CMSダッシュボードにも同じことが言えます。
ダッシュボードは最小限かつ簡単にカスタマイズされるべきであり、WordPressダッシュボードはこれらを意識して始まりました。しかし、テーマやプラグインをインストールすればするほど、たちまち散らかり放題になりました。ダッシュボードウィジェットは簡単に消すことができます。しかし、バックエンドに一貫して表示される大量のしつこい通知メッセージを消すのは容易ではありません。
問題の一部として、オープンソースであるWordPressは、どれだけの量の通知が展開されるかあまりコントロールができません。しかし、ユーザーにとって使い勝手がよくなる様に何かしらの工夫はなされています。
第三者がプラグインすることを許さない独自開発型システムはこの点においては有利です。UIを完全にコントロールしており、何の通知が必要であり、どの様に表示されるか決めることができます。
次に、合理的なシステム関連の通知もしつこいアップセルと区別される必要があります。ソフトウェアの開発者も儲ける必要があるのは理解できますが、次々と送られてくる必要のない広告、同じ様な通知を何度も消去せざるおえないのは迷惑です。この様な慣行に関しては厳しく規制が設定されるべきです。
コンテンツポータビリティの制限
特定のCMSを使ってウェブサイトを構築したからといって、ずっとそのシステムを利用するとは限りません。やがて、使っていたプラットフォームに飽きてしまうかもしれませんし、何か新しいものを試してみたくなるでしょう。これはいつも容易なことではありません。
いくつかの独自開発システムにおいて、あなたが作成したサイトはプロバイダーに保管されるか、全て消えてしまうかです。コンテントとデザインは自然に別のところにエクスポートされるものではありません。場合によっては、内部ステージングの為にサイトのコピーをエクスポートすることすらできないでしょう。
この場合、必要なデータを抽出するためにサードパーティーツールを探す必要があります。できなければ、自身のウェブブラウザーからソースコードをコピー・ペーストすることになります。
いくつかの機能(ショッピングカートなど)がエクスポートされないのは妥当です。しかし、コンテンツ自体が少なくともCSV、JSON もしくはXMLファイルとしてエクスポート可能であるべきです。これは無理な要求でしょうか。
持続性を考える
全てのソフトウェアは時間とともに進化していく。これは周知の事実です。不具合は潰され、セキュリティーホールは塞がれ、新しい機能が発表される。これらはすべてCMSが当然のように期待されることです。
しかしながら、持続性も大きな必要性があります。ウェブサイトを展開する際、CMSの選択肢において、バージョンが更新され続けても使い続けることができるのかどうか知りたいことでしょう。大掛かりで、広範囲にわたる変更は作業を妨害しかねません。もしシステムがどう作動するか根本的な変更において起こりうる状況を確認していなければ、悲惨な結果をもたらすことがあります。
新しい機能もまた重要です。新しいユーザーを引き付け、理想的に既存のものをさらに最適に使いやすくします。しかし、考えられる負の影響を最小限に抑えるために注意深く計画されなければなりません。変更が実行された後、特定の機能、あるいはWebサイト全体が壊れてしまうことがあります。もし、アプリがWebサイトを壊すという評判が立つと、長く出回ることはできないでしょう。
ユーザーとのコミュニケーションの失敗
コミュニケーションはコードと同じように重要なのではないかと思います。システムに説得力のある機能があっても、ユーザーはうまく活用するためにシステムについて知る必要があります。同様に水面下でCMSはユーザーが何を求め、必要としているのかを知る必要があります。その情報はどの機能を実装し、どの不具合を修正するのかを決める上で重要です。
コミュニケーションは大掛かりな仕事です。ドキュメンテーション、ユーザーサポート、コミュニティの構築といった分野を含みます。たくさんの労力が必要で、業界の大手にとっても難しいことなのです。小規模システムにとっては、限られた人員を最大限活用することになるでしょう。
ですが、努力するに値します。開かれた対話の失敗は関係を蝕み、プラットフォームからの大量流出を引き起こすことになるでしょう。
CMSはユーザーに焦点を起き続けるべきである
最終的にCMSはユーザーのニーズに対応できるかどうかで判断されるでしょう。どのCMSも完璧ではありませんが、いくつかは完璧からは程遠いものとなっています。
最良なシステムは私たちが手軽にコンテンツを作成することを可能にします。持続性が維持でき、少なくとも後方互換性を提供できる機能を開発していくでしょう。さらに、これらのシステムはユーザーがコンテンツを所有する権利を尊重し可搬性を促進するでしょう。
以上を踏まえて、良いCMSはユーザーと良好なコミュニケーションを保ちます。オープンな対話は全ての人に価値をもたらし明るく生産性のある未来を保障します。一方で、これらのことを達成できなかった場合は長期にわたり存在できない可能性が高いです。