・光学的に書き換え可能な厚さ0.5ミリの液晶ディスプレイ(LCD)を開発。
・従来のLCDより製造コストが安く、消費エネルギーもはるかに少ない。
・柔軟なスペーサーとポリエーテルスルホン基板を使用。
昨今では、大手テクノロジー企業は、高解像度で、広視野角の、フレキシブル【柔軟な】・ディスプレイ・システムの開発に途方もない額を投資しています。
最近、香港と中国のオプトエレクトロニクス【光電子工学】の技術者らが、厚さ0.5ミリで強靭なフレキシブルLCDの新バージョンを開発しました。この未来的なディスプレイは、新聞として使用でき、ニュースのサイクルと同じ速さで更新されます。
何よりも素晴らしいのは、5インチのスクリーンを製造するのにわずか5ドルしかかからないことです。シンプルなデザインと構造のため、製造コストが低くなっています。電子書籍の紙のような画面と同じように、テキストと画像を表示するためにエネルギーを消費するだけです。このデバイスは、いったんテキストと画像がディスプレイ上にマッピングされると、それを維持するための追加電力を必要としないのです。
どうやって実現したのか?
光学的に書き換え可能な液晶ディスプレイ(ORWLCD)を作るために、技術者たちは3つの重要な技術革新に取り組みました。
1. ディスプレイ
従来のLCDのように、ORWLCDの液晶は2枚のプレートに挟まれています。これらのプレートは、偏光ビームの存在下で位置/状態を復元し、画素を切り替える、特定の分子でコーティングされています。しかし、LCDでは、プレートに流れる電流が、個々の画素を暗から明へと変化させるのに十分な電界を発生させます。
今回の特殊コーティング・プレートは、従来の電極の必要性をなくし、構造の容積を減らし、プレートの厚さや種類の選択肢を増やします。
ORWLCDは従来のLCDよりも薄く(厚さ0.5mm未満)、重さはわずか数グラムで、柔軟なプラスチックで製造できます。
2. スペーサー
スペーサーは、ガラス製やプラスチック製のプレートを分離するために使用されます。このスペーサーによって液晶の厚みが決まります。応答速度、コントラスト比、視野角を適切に保つためには、厚みを一定にすることが非常に重要です。
しかし、ディスプレイを曲げると、プレートが液晶をその衝撃の位置から押しやり、画面の一部が空白になってしまいます。そのため、フレキシブルLCDではスペーサーの設計を改善する必要があります。幸いなことに、技術者たちはこれに対する完璧な解決策を発見しました。
粘着性スペーサーの上面図
スクリーンがぶつかったり曲がったりしても液晶が流れないようにするには、スペーサーをメッシュ状にする必要があります。彼らは、スペーサーをメッシュ状にするスタンプを設計し、有限要素解析プログラムを使ってスペーサーの曲げシミュレーションを行いました。
3. 演色性の強化
柔軟な青色のORWLCD
出典:Zhangほか技術者チーム
この大きな進歩が起こるまで、ORWLCDが同時に表示できるのは2色でした。今では、3原色を同時に表示することができます。技術者たちは、赤、緑、青の光を反射するユニークな液晶をディスプレイの背後に配置することでこれを実現しました。
具体的には、柔軟なコレステリック液晶と柔軟で光学的に書き換え可能な電子ペーパーを組み合わせたのです。光強度を局所的に変調するために、半透明の画素列からなるマスクを用いて、反射色のパターンを装置上に形成しました。
ただし、この装置を実用化するには、ディスプレイの解像度をさらに向上させる必要があります。また、フルカラーに対応させるためには、人間の目には見えないほど画素のサイズを小さくする必要があります。