・ダイヤモンドを使った情報のテレポートを試みる物理学者
・今後の機密データの保存や共有の方法を大きく変える飛躍的進歩
量子テレポーテーションとは、量子(キュービット)をある場所から別の場所へと移動させる方法であり、SF映画でよく見られる現象です。実際に物体を移動させるというよりも、一つの物体を破壊して別の場所でそれを出現させるプロセスのことです。
量子テレポーテーションの法則は、DNAデータなどの量子コンピュータや信頼度の高い情報ストレージ内でよく使われており、光子によって確実に量子メモリに伝送されます。
つい先日、横浜国際大学の日本人研究者が量子テレポーテーションに関する飛躍的な一歩を遂げました。なんと、ダイヤモンドを使って情報をテレポートすることに成功したのです。この発表は、今後の機密データの取り扱いに大きな影響を与えるでしょう。
どのように行われたか?
研究チームがダイヤモンドを選んだのは、それが量子をテレポートする条件にぴったりだったからです。ダイヤモンド内の炭素原子の結合が、複数の混合物の集まりによって非常に強固なものになっていたのがその理由です。
ダイヤモンドの持つ欠点の一つには、”窒素空格子点中心”がありました。今回の場合、炭素原子で満たされるべき2つの隣接する空孔内には、窒素原子が存在しています。炭素原子に囲まれた窒素原子の核は、”ナノマグネット”を形成する働きを持っています。
研究者はこの短所を活かし、独自の電磁現象を生み出しました。彼らは非常に薄いワイヤーをダイヤモンドの表面に結合させ、ラジオ波とマイクロ波を流してダイヤモンドの周囲に磁場の振動を発生させたのです。
また彼らは、ラジオ波とマイクロ波の周波数を調節し、ダイヤモンド内のキュービットの移動環境を整えました。
それにより、特定の周波数が隣接する炭素原子の回転核とナノマグネットに固定された電子との絡み合いが発生しました。
電子スピンがナノマグネットにより形成された磁場の下で崩壊し、絡み合いを引き起こしやすくなったのです。
一度絡み合いを起こした2つの粒子は、たとえ離れていたとしても、片方の粒子が分かればもう片方の粒子の物理的な特徴をつかむことが出来ます。これにより、量子データのトランスポーテーションが可能となっています。
一方の粒子はもう片方の粒子の偏光状態を記憶するので、量子の情報を蓄積する際にこのプロセスを再利用出来ます。最終的には、分散型の量子コンピュータで繰り返し利用出来るように量子の規模を拡大することと、長時間利用出来るような量子コンピュータの開発が目標となってきます。