自身のWebデザインのスキルやコーディングのスキルをポートフォリオ以外で証明できるものがあると便利だと思いませんか?ポートフォリオは確かに参考になりますが、その人がそのプロジェクトにどこまで関わったのかあいまいな部分もありますよね。
正直なところ、筆者はその存在をボンヤリとしか知りませんでしたし、また周囲でも資格を取ったという人を見たことがありませんでした。でもあるんです、Webクリエイターのための資格試験が。それも国家検定資格まで!
というわけで、今回はIT/PC関連資格の参考書を数多く出版されている「FOM出版」の岩崎 真治氏に、Webクリエイターに関係の深い「ウェブデザイン技能検定」と「Webクリエイター能力認定試験」についてお話をうかがいました。
Webクリエイターに関係深い「ウェブデザイン技能検定」「Webクリエイター能力認定試験」とは?
――まずは「ウェブデザイン技能検定」と「Webクリエイター能力認定試験」について簡単に教えていただけますか?
まず「ウェブデザイン技能検定」はウェブ業界唯一の国家技能検定で、合格すると「技能士」と称することができます。
一方、「Webクリエイター能力認定試験」は民間の試験主催団体「サーティファイ」が実施する検定試験ですが、ウェブデザイン技能検定より歴史が長い分、知名度も高く累計受験者数も多くなっています。
――どんな試験内容なんでしょうか?
「ウェブデザイン技能検定」では、ウェブデザインやサイト構築を中心に、インターネットやネットワーク、マルチメディアなども含めて、総合的なウェブの知識や能力が認定される試験です。
「1級」「2級」「3級」の3つの等級があり、上位の級の受験には一定の要件を満たす必要があります。また各級の試験は、「学科試験」と「実技試験」の2部構成になっています。
「学科試験」では、正誤式および四者択一の選択形式で、ウェブデザインやサイト構築に関する知識を中心に、その周辺知識も問われます。
「実技科目」では、実際にパソコンを使ってWebページを制作する実習形式で、HTMLやCSSを正しく記述できるかどうかが問われます。さらに、1級や2級では、Javascriptを正しく記述できるか、Dreamweaver、Flash 、Photoshop、Fireworksなどのアプリを使いこなせるかどうかも問われます。
一方「Webクリエイター能力認定試験」では「HTML5」対応試験の場合、Webサイト制作のデザイン能力およびWebページのコーディング能力が認定される試験で、「エキスパート」と「スタンダード」の2つの等級があります。
エキスパートレベルの試験は「知識科目」と「実技科目」の2部構成になっていますが、スタンダードレベルの試験は、「実技科目」だけで、受験者の負担が少なくなっています。
「知識科目」では、四者択一の選択形式で、Webデザインやサイト構築に関する知識が問われ、「実技科目」では実際にパソコンを使ってWebページを制作する実習形式で、HTMLやCSSを正しく記述できるかどうかが問われます。
(註:Webクリエイター能力認定試験は、マークアップ言語別に「HTML5」「XHTML1.0」「HTML4.01」の各対応版試験が用意されており、それぞれ出題範囲や試験形式が異なります)
――難易度はそれぞれどんな感じでしょうか?
「ウェブデザイン技能検定」は、出題範囲が広範に渡っており、「受験者泣かせ」の試験と言えますね。合格率は公表されていませんが、3級で6割程度、2級が4割程度と推測されます。難易度は、3級は中程度、2級は高めと言えます。
平均学習時間は「2級 80時間」「3級 36時間」が目安です。
「Webクリエイター能力認定試験」のほうは、初心者から学習を始めても、集中的に学習すれば短期間で合格レベルのスキルを習得できます。合格率は80%を越えており、取得しやすい資格と言えます。難易度は高くありません。
平均学習時間は「エキスパート 38時間 」「スタンダード 24時間」が目安でしょう。
――「ウェブデザイン技能検定」や「Webクリエイター能力認定試験」の資格を取得するメリットは?
ちょっとベタですが、「自分のスキルをアピールできる点」と「仕事に活かせる点」です。
実際、ほとんどの方が、Web制作系の仕事に就くためのスキル証明として、受験を目指しています。
――ここ最近の資格取得に対するニーズはどんな状況でしょうか?
参考書の売上状況としては、平成23年度までは右肩上がりですが、平成24年度以降はほぼ横ばいという状況で、平成24年度以降は一定の需要を保っているという状況です。
――上記の資格以外に「これ取っておくといいよ!」というオススメ資格はありますか?
注目の試験は、「情報セキュリティマネジメント試験」です。
平成28年4月に初めて実施されましたが、応募者数は22,903人に上り、注目の高さがうかがえます。いま最も熱いIT資格として、受験者は今後もさらに増加すると思われます。
背景として東京オリンピック・パラリンピックを控え、組織内の情報を守る人材の育成が急務となっています。現在、国を挙げた情報セキュリティ人材の育成が急ピッチで推進されており、今後は有資格者であることが官公庁の調達要件として指定されたり、優遇措置が取られたりすると考えられます。
――ありがとうございました。
まとめ
実はかく言う筆者も最近広告関連の資格を取得したのですが、取得してよかったと思ったのは同僚に自慢できるということもありますが、資格取得のために「体系的に勉強できた」ということでした。
それまで「Webでいくらでも学べるでしょ?」と思っていましたが、Web上にある情報や知識はどうしても断片的になりがちです。試験勉強を通して体系的に学習することで、自身の知識の偏りを痛感した部分が結構ありました。
就職/転職だけでなく、これまで培った知識の整理や体系化のためにも、一度参考書を手にとられてみてはいかがでしょうか?新しい「発見」がきっとありますよ!
■FOM出版