中国政府は年に4億8800万回のなりすましコメントをソーシャルメディアに投稿していたことが判明しました。これらは体制にとって都合の悪いニュースやセンシティブな政治的な議論から中国国民を遠ざけるために意図したものであったようです。
この調査はハーバード大学の政治学者であるGary King氏が率いる3人の研究者によって行われたもので、同氏は膨大なデータを用いて政策を分析するスペシャリストであり、中国政府のオンラインでのプロパガンダ活動研究の第一人者でもあります。
中国政府はエージェントを用いて、ソーシャルメディア上で国民が政治的な議論に参加することを妨害し、その代わりに国威高揚を意図したプロパガンダ的な投稿を行っていると見られています。
これらの投稿は中国の一般国民から投稿されたものであると伝えられていましたが、今回の調査でほぼすべてのコメントが中国政府のエージェントによる自作自演コメントであったことが判明したことに調査員も驚きを隠せなかったと言います。
これらのコメントの半分は中国政府のWebサイト上に投稿された肯定的なコメントであり、残りの半分は800億にも昇る中国のソーシャルメディアへの投稿に混入されたといいます。これは中国のミニブログサイトに投稿されたもののうち1/178が中国政府による投稿であることを意味します。またこうした偽造コメント混入の影響を受けたサイトに中国の主要な検索サイト「Baidu」も含まれていたそうです。
また同氏らは、国民に政治的な議論を止めさせるためには対立する議論を重ねてよりも、タイミングを見計らって議論の腰を折り、面白いけれど政治色の薄い議題にすり替えることが効果的で、よく使われている手口だと指摘しています。
このために動員されている「五十角党」と呼ばれるエージェント組織は50万人にも昇ると見られていますが、その全容はいまだ明らかになっていないようです。
(※本稿は「China Fakes 488 Million Social
Media Posts a Year: Study」を翻訳・要約したものです)