実戦投入され始めた会話ボットたち
昨年7月にLINEに、そして12月にはTwitterに登場して大きな話題となった女子高生会話AIボット「りんな」(Microsoft開発)ですが、そのかなりリアルな会話能力に驚いた方も少なくないはず。
明日が休みのような気がしてるが、明日はまだ火曜だよ、わたし…
— りんな (@ms_rinna) 2016年5月9日
確かにこうしたAI(人工知能)による「会話能力」は目を見張るものがあるのですが、筆者は正直なところ「会話ボットを開発して一体どんなビジネス活用の方法があるんだろう?」などと愚かにも疑問に感じていたのですが、そうではなかったのです!
ここ最近いよいよこうした会話ボットたちが産業的に実戦投入されるニュースを散見するようになりました。実際の事例を見てみましょう。
会話ボットたちのビジネス活用4つの事例
【事例1】SELF(SELF株式会社)
こちらのSELFの最大の特徴は「ユーザーの状態を推測計算し、その状況にあった内容を話しかけてくる」ことで、例えば、
例1:もしもユーザーが、「会社員で平日の昼間に家にいる」場合 →出力会話:『まさか遅刻しているのか? 体調悪いのか?大丈夫か??』
となります。
一見すると気の利いた会話ボットですが、ユーザーの位置情報や生活習慣などを読み込んで「ユーザーを理解している」ということは、介護・看護の領域での活用の道も見えてきそうです。つまりこれまで介護ヘルパーや看護師が行っていた業務の一部を代替できる可能性がありますね。
【事例2】MINARAI(アパホテル/Nextreme)
こちらの会話ボットは、アパホテル株式会社の元谷芙美子社長をモデルにした人工知能ボットで「人工知能と人との協業」を特徴としたものです。
もちろんこの「MINARAI」が担当するのは、ホテルのフロント業務。フロント業務限らず受付業務は会話ボットが代替できる可能性を感じられますね。
【事例3】Orange Messenger(株式会社エスキュービズム・テクノロジー)
http://tech.s-cubism.jp/news/detail/160513.html
Webサービスでも会話ボットの進出が見られました。こちらの「Orange Messenger」では「申し込み受付」と「カスタマーサポート」業務を代替することができます。
Webサービスの受付業務は現在でも自動化されていますが、会話ボットを用いることでより機械的ではない対応ができるという、上記ふたつとは逆方向のアプローチになるのが興味深いですね。
【事例4】BOT TREE for MEDIA(株式会社ZEALS)
この「BOT TREE for MEDIA」はWebメディアに特化したコンシェルジュのような役割の担うボット(API)です。上図のように、ユーザーのニーズに会話形式でおすすめ記事をレコメンドしてくれます。
記事の「配信」面の一部を会話ボットが担ってくれるとも考えられますね。Webメディアでなかなか双方向的なユーザーとのコミュニケーションは取れませんが、ユーザーの情報ニーズの吸出しなどにも活用できる可能性がありそうです。
まとめ
実戦投入されている会話ボットは今回紹介したものだけではありませんが、産業的な活用の可能性が模索されていることがわかりますね。
会話ボットたちが担う「BtoC」および「BtoB」コミュニケーション領域は今後も拡がりそうですね。
(※訂正とお詫び)
Orange Messenger(株式会社エスキュービズム・テクノロジー)の画像およびリンク先に一部誤りがありました。
5/16日に修正しております。