先週NY市で開催されたAdobe社主催の「99U Conference」で、とても面白いワークショップが行われたようです。
このワークショップはクリエイティビティを心理学的なアプローチから研究しているMaria Konnikova(マリア・コニコヴァ)氏によるもので、同氏によると「時間を浪費している時こそ、この世において最もスマートかつ生産的なことをしている時間」となるそうです。
また今年開催されたTED Talkにおいて、ウォートン・ビジネススクール協会の心理学者Adam Grant(アダム・グラント)氏も、節度のあるぐうたらはオリジナリティ溢れる思考をする人にとって必須の習慣、と主張しています。
グラント氏はその教え子の研究により「仕事の前にテレビゲームをしてから出社する人は、テキパキと仕事をこなしている人よりもオリジナリティの高いアイデアを出すことがわかった」と説明しています。
ちなみに規格外の発想をするスティーブ・ジョブスやキング牧師も慢性的な怠惰癖があったそうですし、レオナルド・ダ・ヴィンチも「モナリザ」を完成させるまでに16年もかかっています。
先述のMaria Konnikova氏は「こうした怠惰に時間をつぶす目的は、仕事に手を付ける前にビジョンを明確にするためのもの」だと言います。
例えば上図はオクタビオ・オカンポによる騙し絵ですが、最初見たときには向かい合う老カップルの絵に見えます。しかし1秒か2秒経過すると、金色のゴルベットと2人のミュージシャンの男が浮かんできます。
この絵からゆっくりと視線を引き、細部にわたって精査した人は多層的に描かれたさまざまなイメージを受け取ることができますね。
これとまったく同じようにクリエイティブな発想をするとき、「立ち止まる」ことで私たちの脳はものごとの画期的な関連性を見出し、パターンを認識し、違ったアングルから眺めることができます。
そのため同氏は、クリエイティブな発想をするためにマルチタスク形式で仕事をこなすことはやめるべきだとアドバイスしています。それよりもモバイルを自宅に置いたまま、仕事関係のネットワークから自分を切り離して散歩をじっくりと楽しむほうがよいのだそう。行く先も決めずにぶらぶらと歩いているほうが、クリエイティビティははるかにブーストされるようです。
(※本記事は「To boost your creativity, procrastinate」を翻訳・要約したものです)