・新種rectennaでは、WiFiの電波を電力に変換することができます。
・研究者はrectennaに通常WiFi信号を照射し40㎼の電力を発生することに成功しました。
・この電力量はシリコンチップを駆動したりLEDを点灯させるのに十分です。
ワイヤレス電力伝送という技術
ワイヤレス電力伝送の起源というと、Nikola Teslaがワイヤレスで電気エネルギーを伝達する方法を模索していた19世紀後半に遡ります。その数年後、イタリアの発明者Guglielmo Marconiは商業的にも完璧に成功した無線電信システムの発明に成功しました。
それに続き(20世紀半ば)、シリコンのような硬質基板上に効率的な無線周波数エネルギーを生み出す手法が確立されました。しかし、日常的に使用する電子システムにこの技術を適用することは困難を極めます。ユビキタスセンシングを真に可能にするため、広範囲かつ柔軟性ある半導体が研究されてきましたが、科学者達はこの分野で重要なマイルストーンを迎えるに至っていません。
最近になり、研究チーム(MIT)は、WiFiの電波信号を電力エネルギーに変換し電子機器に電力供給することができ、柔軟性も備えた初めてのデバイスを生み出すことに成功しました。新種rectenna – AC電磁波をDC電気に変換する機器 – は、電磁波をAC波形として確保するために柔軟な高周波アンテナを使用します。
このアンテナは、その後、二次元半導体で作られた独自機器に取り付けられることになります。この機器は、AC信号をDC電圧に変換することでバッテリーを充電のうえ電子回路に電力を供給します。
この独特な機器とは一体どういうものか?
従来のrectennaは、ガリウムヒ素やシリコンを使用する整流器としてAC信号をDC電力に変換していました。これら半導体はWiFi帯域を賄っていますが柔軟性には劣ります。広大な場所(壁・建物の表面)で使用するため、非常に高価になりがちでした。
科学者達は何十年もの間、これら問題を解決しようと努力してきました。いくつかの効率的なrectennaの開発には成功しましたが、低周波数で働くもので、ほとんどのWiFiおよび携帯電話信号があるGHz周波数の信号を変換することはできなかったのです。
今回の研究では、研究者達はわずか3原子の厚さの二硫化モリブデンという新しい材料を使用しました。この物質の原子が特定の化学物質と接触することで、それらはスイッチのように機能し、自らを再配置します。それを材料として半導体から金属へと変化させることができたのです。
これにより、ショットキーダイオードと呼ばれる半導体と金属の接合が形成され、容量と直列の抵抗が同時に最小限に抑えられます。
ショットキーダイオードの容量は、既存整流器の容量よりも遥かに低い容量です。したがって、携帯LTE、Bluetooth、およびWi-Fiで使用される無線周波数帯域をカバーして、遥かに高速のレート(最大10ギガヘルツ)でワイヤレス信号を確保および変換できます。
研究結果とアプリケーション
今回の最大出力効率は約40%ですが、WiFi電波信号の入力により異なります。ガリウム砒素やシリコンの従来rectennaは約50%から60%の効率を有します。研究チームは、より複雑かつ効率的なシステムを開発することを計画しています。
今回の新しいrectenna装置の用途としては、手のひらサイズの電子機器や医療機器、および「IoT(モノのインターネット)」用のセンサーへの電力供給が含まれます。この研究ではrectennaが通常のWiFi電波信号(150㎼)を照射したときに40㎼の電力を生成することに成功しました。
今日の科学者達は、診断のために服用者の健康データをコンピュータに返送できる丸薬を開発しています。将来的には、新しいレクテナはそのような埋め込み型医療機器に電力を供給するためにも使用できる可能性があります。