・研究者らは降雪から静電気を発生する新しい装置を開発しました。
・この装置は降雪時に安定的に電力供給を得ることができ、ソーラーパネルと統合することも可能です。
・風向と降雪率をモニタリングする自己動力センサーとしても機能します。
降雪地帯では風力タービンや太陽エネルギーなどの環境に優しい再生可能なエネルギー源にアクセスするのは非常に困難です。短い日照時間、長期間の雲空、氷点下の気温、積雪量が多い等の極端な気象条件は、エネルギー生成に影響を与える可能性があります。
いくつかの代替技術がそのような地域の気象条件を利用することで実行可能なエネルギー供給を可能にします。しかし通常の気象センサーや気象観測所には多くの制約があります。例えば極端な環境で効果的に機能する能力、複雑な設計、コスト、持続可能な電源の必要性などです。
最近、ロサンゼルスのカリフォルニア大学の研究者は、降雪から電気を発生させることができる新しい装置を開発しました。それはプラスチックシートのように柔軟で安価な新しい仕組みの装置です。
雪の摩擦電気を利用したナノ発電機
このかしこい装置は、降雪量、雪の方向、そして風速を調べることができます。このナノ発電機は静電気を通して電荷を生成し、電子の交換を介してエネルギーを生成します。
ある物質が他の物質と相互作用すると、一方が電子を捕獲しますが、もう一方の物質は電子を放出します。これが電荷を分離して静電気を発生させる方法です。
今回の場合、雪には正電荷が有しており、電子を放出する準備ができています。研究チームは、水素と炭素と他の元素と共に酸素とケイ素原子からなる合成ゴムのような材料(シリコーン)を使いました。この物質はマイナスの電荷を有しているので、雪に触れると電荷を生成し、それがデバイスによって捕捉されて電気を生み出します。
参考:Sience Direct | DOI:10.1016 / j.nanoen.2019.03.032 | UCLA
この低コストの3Dプリントデバイスは、1枚のシリコーンと電荷を捕獲するための電極で構成されています。バイオメディカルインプラントから電線の絶縁まで、多くの製品に広く使用されているシリコーンが容易に入手可能であり製造面で有利です。
最高の性能を得るためには、素材はできるだけ多くの電子を集められるものがベストです。研究者はこのために様々な素材をテストし、シリコーンがテフロンやアルミ箔のような他の素材よりも電荷を生成することを発見しました。
具体的に言うと、このデバイスは0.2mW / m2の電力密度、そして8Vまでの開回路電圧を生成することができます。それは従来の太陽電池パネルと統合することで降雪時に安定的に電力供給することができます。
その他の用途
ナノ発電機はスキーなどのウィンタースポーツを正確にモニタリングし、ジャンプ、ランニング、ウォーキング時のアスリートのパフォーマンスを向上させることができます。クロスカントリースキーで使用される主な移動パターンなど、スマートウォッチでは検出できないパラメータも測定できます。
次世代の自己電源ウェアラブルデバイスは選手のパフォーマンスをより追跡し、歩行中、ジャンプ中、ウォーキング中、ランニング中であるかどうかを示すのに役立つでしょう。