もし今後スマートフォンの多様さが加速することに戦慄が走る人種は、デベロッパーの方たちくらいかもしれませんが、安心(?)してください。スマートフォン市場は今後多様さよりも「収れん」に向かっていくかもしれない、という調査結果が発表されました。
先日カナダの投資会社であるCannaccord Genuity社が、主要なスマートフォンメーカーの営業利益を調査したレポートを公表しました。
その各メーカーの調査結果をまとめたものが下表です。
上表の各メーカーの「operating income(営業利益)」の項目にご注目ください。
2015年通年単位だと、スマートフォンデバイス市場にて大きく黒字化できているのは、iPhoneシリーズを提供するAppleとGalaxyを提供するSamsungの二社。さらに詳しく見ると、営業利益トップのAppleは第二位のSamsungに5倍以上の溝を空ける「ほぼひとり勝ち」状態です。
Samsungもどの四半期でも黒字収支で堅調な推移を見せ、営業利益率(operating margin)も10%を維持するなど健闘していますが、日本では「イオンスマホ」として流通している中国のTCL社を除き、その他のスマホ製造メーカーの営業利益率は、マイナスもしくはゼロ収支。
Windows Phoneを提供するMicrosoftの営業利益率-32%を筆頭に、Xperiaシリーズを展開するSonyやlenovoは-6%、台湾拠点のHTCは-12%と、かなり苦戦を強いられている状況が想像できます。
特に営業利益率のマイナスが大きいWindows phoneはスマホ市場から「撤退」も噂されるほど。スマートフォンを作っても作っても赤字もしくは儲けなし、の状況は経営判断のひとつとして当然「市場からの撤退」も選択肢に入ってくることになりかねません。
もちろん上表は6四半期分のデータではありますが、通年のデータがそろっているのは2015年のみ。1年と半年の推移だけで即撤退とはならないと思いますが、AppleとSamsungの二強状態がこの先も継続するなら、スマートフォンメーカーはその数を減らす可能性もありえることかもしれませんね。
もちろん今後スマートフォン市場にイノベーションを起こすような企業が現れればAppleとSamsungの二強状態の牙城を突き崩すこともあり得ますが、2016年第2四半期までは「iPhone最強」の状態が継続しているようです。
(※本稿は「Apple and Samsung are the only companies making money from smartphones」を参考にしています)