創造力はかつて選ばれた少数が持つ不思議な才能だと考えられていましたが、20世紀の研究では、他のスキルと同じように、創造力は指導可能で学習可能であることが証明されています。
非創造的なキャリアからデザイン関係へ行ったことがある人なら分かるでしょう。練習することで、形と色に対して敏感になり、微妙な細部を認識するための目、そして見る人と共鳴するものに対する直感が育っていきます。 創造的であるかどうかにかかわらず、誰でもデザインスキルを身に付けることができるのです。
しかし、創造力にはさまざまな種類があります。完璧なカラーパレットを見つけるのに役立つ創造力は、画期的なアイデアを思いつくのに役立つ想像力とは異なります。
創造性を型にはめて考える必要がある場合(皮肉なことですが)、Adam Jorlen氏は5つのタイプの創造的思考を提案しました。
・発散的思考 多くの解決策の探求
・ラテラル思考 すぐに使える革新的なアイデアを思いつく能力
・美的思考、芸術と美を創造するための知識
・システム思考 複数の要素を1つにまとめるスキル
・インスピレーション思考、頭の中にひらめく思いつき
デザイナーは強い美的思考を持つ傾向があります。建築家や製品デザイナーなど、複雑な製品やサービスを扱う人々は、発散的思考やシステム思考が高まるでしょう。
この記事は、美的思考とは別のより創造性の高い分野で、デザイナーが視覚的側面だけでなく製品戦略やビジネス全体にも影響を与えることができるようにする方法についてご紹介します。
創造性のさまざまな側面の改良のための科学的に裏付けられた4つの戦略です。
1. ラテラルシンキング:逆の仮定
タクシー会社は車を持っていなければなりません。その仮定を逆に考えれば、Uberのビジネスモデルの核心になります:自動車在庫ゼロ、運転手は自身の自動車を提供します。
批判的思考で問題を解決するとき、私たちは暗黙のうちに仮定を制約として受け入れます。一方、ラテラル思考は、問題を見て、トピックに関する既存の知識に挑戦する、型にはまらない方法を模索します。
創造性のエキスパートであるMichael Michalko氏は、現在の思考パターンの限界から脱却し、開かれた可能性を高めるために逆仮定法を紹介しました:
・ステップ1:トピックに関するすべての仮定をリストアップする
・ステップ2:各仮定を逆にする
・ステップ3:これらの逆の仮定を可能にする方法を考える
というものです。
これは直接の解決策にはならないかもしれませんが、別の仮定に気づくのを助けるでしょう。さらに、型にはまらないアイデアに対してよりオープンになれるでしょう。
2. リテラル思考: さまざまな分野からのアイデアを集める
起業家Johansson氏は、画期的なアイデアを得る最善の方法は、さまざまな分野の交わるところで働くことだとしています。創造的なアイデアは既存の概念の組み合わせで、交わるところで作業することで、実証済みのアイデアをある分野のものを別の分野に適用したり、1つの分野の専門家では考えられなかった新しい概念を作り出したりができるようになるそうです。
異なる分野を学ぶことはかなりの時間かかかるように思えるかもしれませんが、そうではありません。すでに持っている知識を集めて自分のアイデアの本として作り上げることができます。
古典的な「アイデアを得るためのテクニック」という本では、マーケティングの専門家であるJames Webb Young氏が、アイデアをブレインストーミングするときの材料として一般的な知識を収集し続けることを提案しています。
よくできたデザイン、面白いコンセプト、トピックに関係する役に立つ知識、あるいは将来役に立つと思われる情報を目にするたびに、どこかに書くかスケッチをしてください。
3 x 5のカードを使用してアイデアを記録し、トピック毎に分類し、それらをスクラップブックまたはファイルにまとめるのもいいでしょう。
アイデアボックス Bobby Powers氏の 『失われた芸術』の画像
過去のプロジェクトの保存法と同じシステムを、ここでも使うことができます。 古いメモからインスピレーションを得る方法と同じように、以前のプロジェクトからの小さなアイデアのカードは、新しい発明を引き起こす可能性があります。 さらに、同じプロジェクトで作業をやり直さなくてもよくなります。
3. インスピレーション思考 : 意識しないあたため期間をとる
例えば、あなたが理解することができなかった問題を抱えているとします。問題について考えるのをやめると、最も期待していなかった時に突然答えが思いつきました。これは無意識に問題に取り組んでいる潜伏期間にあることです。
この無意識のあたため期間を持つことは、最もインスピレーション創造力が高まる方法です。私たちはそれをほとんどコントロール(または理解)できていないかもしれませんが、頻繁に起こるようにするためにできることがあります。
・問題の早期解決に努める
集中するのに数時間を費やし、開始を遅らせる人がいますが、このプロセスでは無意識のあたため期間のための時間がなくなる可能性があります。 代わりに、関連の資料を読み、良い質問をいくつかまとめたりと他のことをしている間に無意識のうちに問題に取り組むことができます。
・進めなくなったら休憩する
問題を常に考えていると、ストレスが増すだけで、脳の原始的な部分に栄養を送り、抽象的な思考や創造性を下げることになります。
短い休憩としてでさえ、あたため期間での創造性に有益であり得ることが研究によってわかっています。 重要なのは、簡単すぎない別のことをすることです。(簡単すぎるとまた問題のことを考えてしまうので)難しすぎてもいけません。(精神的エネルギーをより多く使ってしまうので)
・もう一晩
睡眠はより長いあたため期間と関係があります。睡眠中に、あなたの脳は記憶を集め、新しいつながりを作り出します。問題について考えるのにもう一晩待ち、翌朝それを再検討することができれば、驚くアイデアが見いだされるかもしれません。
・厳しい締め切り設定をしない
最後に、次のデザインプロジェクトを計画するときは、デザインについて考えないあたための時間を必ず含めてください。
締め切りのデッドラインが創造力を高めるという神話がありますが、 研究により、人々は、より創造的であると「感じる」にもかかわらず、時間的プレッシャーで実際にはそれほど創造的ではないことがわかっています。さらに、厳しい時間的プレッシャーの日だけでなく、それに続く日にも創造性が減少するとされています。
組織行動と認知科学の学者Richard Boyatzis氏は「私はアドレナリン中毒者で、ストレスがある環境でベストを尽くせる」と言う人がいますが、本当に馬鹿げていると語っています。
4. 分岐思考 : アイデアの割り当てを設定する
これはおそらく創造的なプロセスで最も重要な要素です。
知的で創造的な人々が最良のアイデアを出すと思うかもしれませんが、実際には、クリエイティブな天才からのアイデアの多くは、何でもないものです。アインシュタインの論文のほとんどは誰にも参照されていませんでした。今日のモーツァルト、バッハ、ベートーヴェンも全作品の35パーセントしか演奏されていません。
言い換えれば、革新的なアイデアはランダムなものです。アイデアの質との最も強い相関関係を持つものは、知性でも過去の成功でもなく、アイデアの量であることが研究による一貫した結果です。
1つよい考えを見つけた後、ブレーンストーミングプロセスを止めてしまうことがよくあります。厳しい締め切りの設定と大変な作業のプレッシャーが、そうさせているようです。可能性を尽くし、思いつかなかった選択肢が出てくるのを無視しないようにしましょう。
Thomas Edison氏と他の多くの人々が適用した方法は、アイデアの割り当てを設定することです。 Crazy Eightsなどのブレインストーミングの演習はこのコンセプトに基づいていますが、アイデアの数を増やすためにだれでも挑戦することができます。
ここではアイデア瞑想を助けるためのいくつかの演習があります:
問題フレーミングでの見方の変更
その企業の従業員ではなく、その会社の新製品に対応する必要がある競合他社の立場で考えましょう。理想的なユーザーのためにデザインするのではなく、最もせっかちなユーザーになりましょう。リスク回避者ではなくリスクテイカーである場合(またはその逆の場合)、解決法はどのように変わるでしょうか。
繰り返す
アイデアが出てそれを選択したら、代替、結合、調整、変更、別の用途に使用、削除、元に戻すの順に繰り返します。
クレイジーエイト
デザインスプリントでご存知かもしれませんが、これは基本的に、8分で8つの異なるアイデアをスケッチするやり方です。目標は、より創造的な解決策のためのアイデアを外すことです。
写真:Smashing MagazineのデザインスプリントCrazy 8に関する記事
他にもたくさんのアイデア生成方法があります。重要なのは、問題をさまざまな観点から考え、最も可能性の高いものから可能性の低いものまで解決策を模索することです。