違法なビジネスが世界中で最も収益性の高い事業のひとつであることは、周知の事実です。その中でも最も評判が良くない麻薬密売は、すべての違法犯罪活動の収益の大部分を占めています。国連薬物犯罪事務所によると、違法薬物取引だけで年間6,000億ドル以上の利益をもたらしているのです。
こうした活動は政府にとって常に大きな課題であり、国の経済や環境にも大きな脅威となっています。ほとんどの国では、この種の違法行為に対して厳しい法律が定められていますが、それにもかかわらず、違法ビジネスは驚くべき勢いで拡大しています。この記事では、多くの国の経済に大きな悪影響を与えている、世界中で最も非倫理的で違法なビジネスをご紹介します。
14. 密造酒/酒類密輸
1925年、カナダのエルク湖での警察の手入れ
密造酒(bootlegging)、または酒類密輸(rum running)とは、アルコール類の不法輸送を含む違法ビジネスを指す言葉です。アルコール密輸の最も古い例として知られているのは、アメリカの内戦中に、カリブ海産の安価なラム酒をフロリダ経由でアメリカへ違法に輸送した船の記録です。
アルコール密輸は、今でも多くの国で組織犯罪者たちによって行われています。彼らは税金や最低購入価格を逃れるために、違法に酒を売買しているのです。イギリス政府は、違法なアルコール密輸活動のせいで、推定20億ドルの税金を徴収できていません。さらに、密造酒は品質や規格が低いため、毎年何千人もの死者を出しています。
13. 文化財の密売
王妃ネフェルティティの胸像
【エジプト新王国時代の第18王朝のファラオだったアメンホテプ4世の正妃。この胸像は、1912年に古代エジプト彫刻家トトメスのアトリエ跡(ナイル川河畔)で発見され、様々な取引を経て、現在はベルリン美術館所蔵】
文化財とは、私たちの文化遺産に欠くことのできない、物理的な実体です。文化財には、歴史的建造物から小さな工芸品や絵画まで、あらゆる規模のモニュメントが含まれます。文化財の盗難は、私たちの文化的アイデンティティの存続を脅かすものとして、歴史学者や国連の間で関心が高まっています。
ここ数年、盗難の件数が大幅に増加しているため、博物館、非営利団体、法執行機関から、より組織的な関心を集めるようになり、その多くが、盗難、紛失、回収された美術品について人々に知らせるWebサイトを公開しています。
12. 人間の臓器の闇取引
世界の腎臓提供パターン
人間の臓器の闇取引とは、移植用の臓器を違法に売買することです。臓器の商業的売買は、イランを除いて世界中で禁止されています。ある報道によると、毎年約2,000人のインド人が自分の腎臓を5,000ドルという低額で違法に売っており、それらは後に1回の移植につき20万ドルもの高値で売られているということです。
グローバル・フィナンシャル・インテグリティ社の別の報告書によると、違法な臓器売買は年間6億ドルから12億ドルの利益を上げていると推定されています。
11. 違法な兵器の密売
違法な兵器の密売は、爆発物、小型銃、軽火器から重機関銃までを取り扱っています。これは、世界中でテロ活動を増加させる直接的な原因となっています。報告によれば、毎年推定6,300万丁の銃がインドとパキスタンに密売されているそうです。
違法兵器取引の市場規模を推測するのは非常に困難です。アメリカとアフリカは、違法兵器が最も多く出回っている国であると考えられています。違法兵器取引の推定額は年間約600億ドルで、これは世界の兵器取引全体の約20%にあたります。
10. 違法な原油取引
原油の輸送
違法な原油取引は、アフリカやアジアを含む一部の国々で大きな問題となっています。世界各地から毎日10万バレル以上の原油が密輸されていると推定されています。メキシコでは、窃盗団が油送管を盗掘し、石油会社は年間7億ドルの損失を被っています。
ソマリア【東アフリカの国】の海岸では毎年、原油の大部分がソマリア沖の海賊に襲われています。違法な原油は毎年150億ドル以上を稼いでいると推定されています。
9. 野生生物の違法取引
画像出典:Wikimedia
野生生物の違法取引には、異国の珍しいペット、肉、野生動物の皮、淡水亀、カメ、オオトカゲ、フカヒレなどあらゆるものが含まれます。2007年から2012年にかけて、サイの密猟は5,000%に増加しています。野生生物の違法取引の主な例としては、歯を目的としたゾウ、皮を目的としたライオンやトラが挙げられます。2015年、このビジネスで生み出された利益は約320億ドルでした。
8. マネーロンダリングとペーパーカンパニー
マネーロンダリングとは、簡単に説明すると、他の違法なビジネスから得た利益を「合法的な」資産に変えるプロセスのことです。その多くの方法のひとつが、ペーパーカンパニーの設立です。ペーパーカンパニーは、違法ではないものの、事業活動や物理的資産を持たない会社です。ほとんどの場合、違法な収益を法執行機関から隠蔽するために使用されます。
7. IUU漁業
画像出典:アメリカ海洋大気庁
IUU(Illegal, Unreported and Unregulatedの略)漁業とは、違法・無報告・無規制に行われる漁業です。漁船が漁業に関する法律(地方政府および中央政府によって定義された)に違反して操業することで行われています。FAO(国連食糧農業機関)によると、IUU漁業は年間約230億ドルの損失をもたらしており、世界中のIUU漁業の約30%がインドネシアだけで起こっています。
6. 違法採掘
国の許可や採掘許可、鉱物輸送の制限を受けず、土地の権利もない状態で行われる採掘活動は、すべて違法採掘に該当します。違法な天然資源の採掘は、世界的な鉱物価格の高騰に伴い、差し迫った問題となっています。
小人数の犯罪者や採掘シンジケートが率いる大規模な組織犯罪に属することもあれば、職人採掘のように自給自足の活動である場合もあります。
5. 人身売買
人身売買とは、強制労働や違法な臓器売買、代理出産、強制結婚などを目的として、人間を取引するものです。世界中で最も急速に拡大している違法行為のひとつです。2010年では、人身売買の国際取引額は300億ドルを超えたと推定されています。子どもの人身売買の場合、人身売買される人の30%以上が18歳未満でした。
4. 違法伐採
違法伐採とは、国や地方自治体の同意なしに、また明らかに国内法に違反して、木や森林の伐採、売買が行われることを指します。違法行為は、違法な加工や輸出、租税回避、税関への不正な申告、不正な証明など、輸送中にも起こり得ます。
3. 麻薬密売
マイアミ・ビーチで押収した麻薬の荷揚げをするアメリカ合衆国沿岸警備隊(2014年)
麻薬密売は世界最大かつ最も危険な違法ビジネスのひとつです。国連の報告書によると、2003年、世界の違法薬物取引による推定収益は約3,200億ドルで、2016年には推定5,000億ドルに跳ね上がりました。
麻薬密売は世界的な現象ですが、特にアメリカやメキシコのような先進国は麻薬関連犯罪の影響をより大きく受けています。FBIの報告では、1990年代には、違法薬物が原因で米国市民の約5%が毎年死亡していました。近年では、中小規模のオンライン麻薬取引も増加しています。
2. 偽造
真正のフラッシュメモリーICの偽造品
不正に製造された製品のレプリカは、偽造品の一種であり、本物の製品のダミーまたはコピー版です。偽造品には、衣服、靴、電子製品、美術品、海賊版ソフトウェア、映画などが含まれます。また、偽の企業ロゴやブランドも含まれます。
2007年のOECDの報告書によると、偽造品市場は全世界で2,500億ドルを超えています。商品の偽造は多くの場所で完全に禁止されています。偽造貨幣は多くの国で最も広く普及しており、大きな問題となっています。
偽造貨幣
貨幣の偽造は世界的な問題であり、様々な先進国や発展途上国が時折経験しています。貨幣の偽造はむしろ最近の現象だと思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。歴史家は、貨幣の偽造の起源はおそらく貨幣そのものと同じ時代にあると考えています。
簡単に言えば、偽造貨幣とは、その国の政府から法的な許可を得ることなく、実際の貨幣を模倣したものです。偽造貨幣に気づかずにいると、並外れたインフレや様々な経済問題を引き起こし、国家経済を疲弊させることになってしまいます。
1. 非倫理的ハッキング/サイバー攻撃
かつて、コンピュータの「黒幕」たちが、個人的な目的を達成するために他のシステムに侵入していた時代がありました。しかし、21世紀に入ってすべてが変わりました。「プロの」ハッカー・チームが大企業のシステムを襲撃し、それを(比喩的に言えば)人質にして身代金を要求するのです。
ある報告書によると、2016年では、世界的なサイバー攻撃が、4,500億ドル以上の損害を数社に与えたということです。