・今後30年のうちに、エアコンは全世界で400%近く増加すると言われている。
・そうなると、2050年までに数千億トンの二酸化炭素を排出することになる。
・2100年までには、エアコンの使用だけで、地球の平均気温が0.5℃上昇すると言われている。
発展途上国において、エアコンの普及が進んでいます。都市化と所得の増加により、エアコンは大きな成長を見せています。ルームエアコンは12億台から45億台に増加し、そのうちインドだけで10億台以上を占めると予測されています。これは、気候変動や気温上昇に対する深刻な脅威となります。
インドは今後30年間で、例外的な成長を遂げるでしょう。2016年現在、この国では家庭の室内や事務所に約2630万台が設置されており、2050年には10億台の大台を超えると予想されています。インドはすでに深刻な大気汚染に直面しており、何らかの画期的なイノベーションが起きない限り、エアコンはさらに事態を悪化させるでしょう。
インド、メキシコ、中国などの暑い国では、生産性、健康、それにもっと極端なシナリオでは生存するために、冷房が必要になってきています。気候が温暖化するにつれて、私たちは快適な温度環境を得るためにエアコンへの依存度を高めています。エアコンという装置が、冷媒として大量の温室効果ガスを排出し、さらに地球の平均気温を上昇させるという悪循環に陥っているのです。
このようにエアコンが増えると、現在の3倍以上の電力が必要になると言われています。そして、この冷房技術をそのまま続けていくと、2100年にはエアコンの使用だけで地球の温度が0.5℃上昇すると言われているのです。
世界保健機関(WHO)によると、暑さにさらされることで、世界の高齢者がさらに年間38,000人死亡するとされています。2017年、ネイチャー誌に掲載された研究では、今世紀末までに世界人口の74%近くが年間最低20日間、有害な気温にさらされることになると報告されています。
だからこそ、地球温暖化の原因となるあらゆる要因を制御することが必要なのです。既存の冷却技術は大量のエネルギーを消費し、電力生産の大部分を化石燃料に頼っているため、大気汚染がさらに進行してしまいます。このような大気汚染がさらに進むと、2050年までに米国で年間1,000人がさらに死亡する可能性があるのです。
革新的な冷却ソリューションの必要性
最近、米国のロッキーマウンテン研究所は、効率的で環境に優しい冷却システムの緊急の必要性に光を当てる報告書を発表しました。また、気候への影響を5倍軽減するソリューションやプロトタイプを表彰するプログラムも発表されました。
この報告書によると、効率が5倍のシステムがあれば、2050年までに約1000億トンの二酸化炭素の排出を防ぎ、2100年までに地球温暖化を0.5℃下げる可能性があるとのことです。また、この好影響により、電力網の負担が軽減され、1兆4,000億円以上の設備投資が削減されることになります。
数多くの新技術、たとえば熱電冷却、磁力線冷却、強化乾燥剤材料を用いた高度除湿、熱電子冷却、深宇宙【地球の大気圏外の宇宙空間】放射冷却などが、試作段階において低コストとエネルギー消費の低減に有望な結果を示しています。これらはすべて、従来の蒸気圧縮機構に対抗する可能性があり、気候への影響を低減するためのさらなる機会を提供するものです。