2014年現在で、世界の総発電量のうち、原子力によるものはわずか11%、石炭によるものは約39%です。しかし、クリーンエネルギーへの需要が高まっていることから、この統計はまさに変わりつつあります。ただし、原子炉やその他の重要な構成要素の取り扱いは、この形態のエネルギー源を他のどのエネルギー源よりもはるかに危険にしています。
東アジアの一部の国々の技術的進歩により、最大級の原子力発電所のほとんどがその地域にあります。この記事では、国際原子力機関(IAEA)が発表したデータに基づいて作成した、原子力発電所のリストをご紹介します。
15. 陽江原子力発電所
純容量:4,000 MWe【メガワットエレクトリカル、電力の出力単位】
国:中国
中国の比較的新しい発電所である陽江【中国語:阳江】原子力発電所は、4基の加圧水型原子炉(CPR-1000)を備えており、それぞれの純容量は1000MW【メガワット】です。4基のうち1基は2014年に、4基目と最後の1基は2017年に運転を開始しました。
2013年、広東核電合営有限公司は、さらに2018年に稼働する予定の2基の原子炉を増設することを発表しました。この2基の原子炉の正味出力1000MWを加えると、陽江原子力発電所は世界で4番目に大きな原子力発電所になります。
14. 寧徳原子力発電所
純容量:4,072 MWe
国:中国
寧徳【宁德】原子力発電所は、中国の6大原子力発電所の一つで、純容量は3000MW以上、全国に合計10基が稼動しています。寧徳と陽江の両発電所は中国国内の原子力産業において重要な役割を果たしており、これらの発電所の80%は地元企業によって作られています。
現在、3基の原子炉が稼働しており、1基が建設中です。さらに2基の原子炉が、この発電所の第2期拡張工事で計画されています。
13. 秦山原子力発電所
秦山フェーズIII 1号機・2号機 / 画像提供:カナダ原子力公社(AECL)
純容量:4,101 MWe
国:中国
中国では2番目、アジアでは8番目の規模を誇る原子力発電所です。浙江省秦山市に位置し、総設備容量は4,310MW、純容量は4,101MWです。この発電所は3つのフェーズに分かれており、フェーズ1には純容量298MWの国産初の小型原子炉が設置されています。
一方、第2フェーズは610MWの中型加圧水型原子炉で構成されています。2002~2003年には、やや大型のCANDU型PHWR2基(第3フェーズ)が稼働可能になりました。これは秦山核電公司が所有・運営しています。
12. 紅沿河原子力発電所
純容量:4,122 MWe
国:中国
紅沿河【红沿河】原子力発電所は、中国で最も新しく、最大の稼働中の原子力発電所です。現在、CPR-1000型原子炉を4基保有していますが、2020年までにCPR-1000型原子炉をさらに進化させたACPR1000型原子炉を2基稼働させる予定です。ACPR1000は、コアキャッチャー【原子炉で炉心溶融事故が発生した場合に備えて、原子炉格納容器の下部に設置される装置】や二重格納容器などの安全対策が施された最新型の原子炉です。
11. 福島第二原子力発電所
純容量:4,400 MWe
国:日本
日本の福島第二原子力発電所は、関西電力が大飯発電所の2基の廃炉を発表したことにより、アジアで6番目に大きな原子力発電所となりました。福島第二原子力発電所には、稼働中の沸騰水型原子炉が4基あり、それぞれの正味電気出力は約1,100 MWです。
2011年に発生した大地震による壊滅的な津波の後、第二発電所の原子炉4基はすべて自動的に停止状態になりましたが、その後、無事に復活しました。また、最近では2016年の地震で、一部の原子炉の冷却システムが故障しました。
10. 月城原子力発電所
画像提供:IAEA Imagebank
純容量:4,598 MWe
国:韓国
月城原子力発電所は、世界でも数少ない原子力発電所の一つであり、韓国では唯一、核廃棄物を含む様々な種類の燃料で運転可能なCANDU型PHWR(加圧重水型)原子炉で稼働しています。
この発電所には原子炉が6基あり、そのうち4基は旧型のPHWR型で純容量はそれぞれ653MW、2基は2012年と2015年に運転を開始したOPR-1000型の加圧水型原子炉Shin Wolsong-1号炉とShin Wolsong-2号炉で997MWの電気容量を有しています。
9. カットノン原子力発電所
画像提供:Stefan Kühn
純容量:5,200 MWe
国:フランス
フランスは、ウクライナ、スウェーデン、ベルギーに次いで、純容量3,000MWe以上の原子力発電所を有するヨーロッパ4カ国のうちの1つです。フランス国内で3番目に大きなカットノン原子力発電所は、モーゼル川沿いのグランエストに位置しています。
この発電所は、加圧水型原子炉4基で構成されており、1基あたりの電気出力は1300MWです。4基の原子炉はいずれも1971年から1991年にかけて建設された比較的近代的なものです。同発電所は、世界最大級の電力会社であるフランス電力会社(EDA)が所有・運営しています。
8. パリュエル原子力発電所
画像提供:Entreprise et Découverte
純容量:5,320 MWe
国:フランス
パリュエルは、カットノンに次いでフランスで2番目に大きい原子力発電所です(電気出力において)。ノルマンディー地方の海岸都市ディエップから約40kmのところに位置し、西欧では最大級の原子力発電所です。4基のPWR型原子炉があり、それぞれの総出力は1,382MWです。
すべての原子炉は1985~86年に商業運転を開始し、2026年までに運転を停止する予定です。この発電所では、季節ごとに発生する大量の藻類によって冷水の供給が頻繁に妨げられ、冷却に関する問題が何度も発生しました。
7. グラブリーヌ原子力発電所
画像提供:Douchet Quentin
純容量:5,460 MWe
国:フランス
グラブリーヌ原子力発電所は、世界で6番目、ヨーロッパでは2番目(ウクライナのザポリージアに次ぐ)の規模を誇る原子力発電所です。この発電所は900MWの原子炉6基で構成されており、2010年には世界で初めてテラワット時の電力を生産した原子力発電所となりました。2006年以降、この施設はマイナースケール(原子力事故・故障の評価のための国際原子力事象評価尺度)の原子力緊急事態を3回報告しています。
6. ザポリージャ原子力発電所
ザポリージャ原子力発電所の全6基。左端にはザポリージャ石炭火力発電所が見える。
純容量:5,700 MWe
国:ウクライナ
ザポリージャ原子力発電所は、ヨーロッパ最大の原子力発電所であり、また、国内にある4つの原子力発電所の中でも最大です。この発電所には、ロシア製のVVER-1000加圧水型原子炉(PWR)が6基あり、それぞれ950MWの電力を生成します。このクラスの原子炉は、ヨーロッパとアジアの一部でしか使用されていません。
1号機は、1980年に建設が開始され、1985年に運転が開始となり、1996年の6号機の運転開始後に運転が終了しました。国内の電力の約半分を原子力でまかなっています。2017年に行われた大規模改修により、発電所全体の寿命は今後10年間延長されています。
5. ハンビット原子力発電所
画像提供:IAEA Imagebank
純容量:5,875 MWe
国:韓国
ハンビット原子力発電所(旧名:霊光原子力発電所)は、5500 MWe以上の容量を持つ世界で6つの原子力発電所の1つです。韓国の全羅南道にあるこの発電所は、韓国最大の電力供給会社であるKEPKO【韓国電力公社】の子会社、Korea Hydro & Nuclear Power社【韓国水力原子力発電】によって運営されています。
この発電所の6基すべてが加圧水型原子炉(PWR)で、最初の2基は1986年に運転を開始し、その後、1994年、1995年、2001年、2002年に追加の原子炉が稼働となりました。2012年には、2003年から使用していた原子炉のうち2基が、部品の破損により8週間停止しました。
4. ハヌル原子力発電所
純容量:5,928 MWe
国:韓国
ハヌル原子力発電所(旧名:蔚珍原子力発電所)は、1988年に初めて運転を開始しました。現在、ハヌル原子力発電所には6基のPWRが設置されており、その純容量は968MW~997MWです。さらに2基が建設中で、2022年までに別の2基が運用となる予定です。
新基はAPR-1400、第三世代PWR、総出力1400MWで、運営するKorea Hydro & Nuclear Power社には約60億ドルの費用がかかると予想されています。すべての重要なシステムに韓国製の部品を使用したのは初めてのことです。
3. 古里原子力発電所
画像提供:IAEA Imagebank
純容量:6,040 MWe
国:韓国
古里原子力発電所は、アジア大陸では2番目、韓国全体では最大の原子力発電所です。1978年に運転を開始して以来、KEPCOの子会社であるKorea Hydro & Nuclear Powerが所有・運営しています。小型から中型のWH-60、WH-F、大型のOPR-1000 PWRの計7基の原子炉が稼働しています。
最新の原子炉ユニットには、韓国の最新型原子炉APR-1400が採用されており、正味の電気容量は1400MWです。今後、同じAPR-1400を使用したユニットが3基計画されています。
2. ブルース原子力発電所
画像提供:Chuck Szmurlo
純容量:6,384 MWe
国:カナダ
純容量において世界で2番目に大きな原子力発電所であるブルース原子力発電所は、オンタリオ州インバーヒューロンとティバートンのヒューロン湖東岸に位置し、そこから冷却水を取水しています。施設の敷地面積は約9.32平方キロメートルにわたります。原子炉の総数では世界最大の原子力発電所であり、現在稼働中の原子力発電所としても最大です。
1. 柏崎刈羽原子力発電所
画像提供:Flickr
純容量:7,965 MWe
国:日本
柏崎刈羽原子力発電所は、7,965MWの純容量を持ち、現在、世界最大の原子力発電所です。この巨大な発電所は、4.2平方キロメートルの面積に7基の原子炉ユニットが設置されており、そのうちの2つは改良型沸騰水型原子炉(ABWR)です。
7基の原子炉はすべて、燃料として低濃縮ウラン(LEU)を使用しており、ウラン235の濃度は約20%です。柏崎刈羽原発は、日本の経済にとって重要な役割を果たしています。このような大規模な発電所は、経済的にいくつかの利点がありますが、その一つは、個々のユニットの燃料補給が停止しても、発電所全体の純発電量に与える影響が少ないことです。
ただし、2011年以降、すべての原子炉ユニットが停止しています。再稼働予定日は最も早くて2019年4月に設定されています。