・2021年現在、SpaceX社の発行済み株式数は1億6,000万株以上、価格は1株当たり419.99ドルである。
・最新の資金調達により、SpaceX社の評価額は740億ドルに達した。
・私企業【株式は公的市場を持たない】であるため、株式市場から株を購入することはできない。
SpaceX社は、世界で最も価値のある民間企業の1つになりました。技術やマーケティング手法で業界を破壊するのではなく、既存企業と正面から戦うことで成長してきたのです。
SpaceX社が目覚ましい勢いで成長しているため、多くの投資家がその株の購入を望んでいます。では、SpaceX株を直接購入することはできるのでしょうか？
答えは「NO」です。
SpaceX社は私企業であり、アメリカの証券取引所には上場していません。したがって、株式市場から株式を購入することはできないのです。
実は、SpaceXの株主はたくさんいます。ただ、一般の個人投資家ではありません。その多くは私企業に投資する投資会社で、中にはイーロン・マスク（CEO）自身のような富裕層の個人もいます。
SpaceX社の所有者は誰か？
イーロン・マスクの信託は、SpaceX社の発行済み株式の54％を保有し、発行済み株式の78％を議決権行使で支配しています。
他の投資家はSpaceX社の株式を10%以上は保有していません。Google社の親会社であるAlphabetは7.5%の株式を保有しています。その他の主要株主は、Valor Equity Partners、Founders Fund、Draper Fisher Jurvetson、Capricornなどです。
マスクにはIPOを申請する計画はない
イーロン・マスクにはいくつかの計画がありますが、IPO【新しく公開された株の取引が可能になること】を実現することはその中に入っていません。彼は、ロケット打ち上げのコストを10分の1にし、商業衛星の打ち上げとアメリカ政府のミッションを継続し、スターリンク (Starlink)というグローバルな衛星インターネットサービスを構築し、最終的には火星に人類を送り込みたいと考えています。
SpaceX社は、これらのプロジェクトを実現するために必要な技術を開発するための資金を必要としています。その資金を得るために、同社はエクイティファイナンス【企業が新株発行を通じて、事業のために資金を調達する行為】と負債を複数回行っています。
CNBC【アメリカのニュース専門放送局】によると、SpaceX社は2019年の1年間だけで10億ドル以上の資金を調達したそうです。この資金は、SpaceX社がスターリンクを運用レベルに引き上げるのに役立つもので、完成すれば、地球低軌道を飛行する11,000以上の衛星で構成されることになります。このネットワークは、さらに高度な宇宙船やロケットの製造に使用できる収益を生み出すでしょう。
SpaceXの株価はいくらか？
シリーズKの資金調達で5億3600万ドルを獲得し、SpaceXの価値は333億ドルにまで上昇しました。2019年、SpaceXの発行済み株式はおよそ1億6000万株で、1株あたりの価格は204ドルでした。
SpaceX社の評価額と資金調達ラウンドの比較グラフ
出典：Forge Global
過去10年間、先進的なロケットや宇宙船を開発するために資金を調達してきたことで、SpaceX社の評価額は着実に上昇してきました。同社は、私的な投資家から簡単に資金を引き出せるようになっています。
実際、2019年の株式増資はいずれも応募超過で、同社は求めていたよりも1億ドル多く調達しました。2019年4月の直近の資金調達では、投資家の需要は非常に高く、さらに4億ドルを調達できたと報告されています。
その後
2021年2月、SpaceX社は8億5千万ドルの株式資金調達ラウンドを完了し、評価額は740億ドルになりました。同社は1株あたり419.99ドルで新たな資金を調達しました。
これは、SpaceX社の評価額が、前回2020年8月の資金調達ラウンドで、460億ドルの評価額で20億ドルを調達したときから60％急上昇したことを意味します。
スペースX社の収益
2018年、SpaceX社の収益は22億ドル（前年比69％増）となりました。EBITDA（Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略【税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益】）マージンは10.8％でした。
2013年から2018年までのSpaceX社の収益グラフ
この数字は、SpaceX社のロケット打ち上げコストがライバル企業よりもずっとずっと低いにもかかわらず、ロッキード・マーチン社やボーイング社が獲得したEBITDAマージンの13.5％と13％に驚くほど近いものです。
SpaceX社は、ロケットを飛行機と同じように完全再利用可能にすることで、打ち上げコストのさらなる低減を図っています。成功すれば、宇宙へのアクセスコストは最大100分の1にまで削減されるでしょう。
さらに、マスクは、スターリンクはSpaceX社のロケット打ち上げ事業の10倍以上の収益を上げることができる、と考えています。すべてが計画通りに進めば、スターリンクからの収益はNASAの年間予算以上になる可能性があります。
「世界のインターネット接続の総収入は約1兆ドル【年間】で、スターリンクを使えば、我々はその3％程度に近づけるのではないかと考えている」- イーロン・マスク
SpaceX社に投資する唯一の方法
SpaceX社に間接的に投資するには、その一部所有者であるAlphabet社に投資する方法があります。Alphabet社はFidelity社とともにSpaceX社に10億ドルを投資し、民間宇宙機関の10％の所有権を獲得しました。
2010年の未公開画像
出典：SpaceX
したがって、理論的には、Alphabet社の株を所有することは、間接的に治外法権の一端をつかむ方法となります。適正な価格で株を買えば、賢明な資金移動となるかもしれません。
2018年、Google社の売上高は1362億2千万ドルに達し、480億ドルの純営業キャッシュフローがありました。2019年3月までの12カ月間の粗利益は800億ドルで、前年比17.5％増となりました。
もちろん、Alphabet社株を買うことは、Google、Android、YouTube、自動運転車プロジェクトなど、同社の製品群を少し所有するという付加価値があります。
今のところ、これがSpaceX社に投資できる唯一の方法です。しかし、苦労して稼いだお金を株式市場に投入する前に、できるだけ低いリスクでご自身のポートフォリオを多様化することを心がけましょう。
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