・中国は、2億℃以上の高温プラズマを発生させる人工太陽を構築。
・太陽と同じプロセス(核分裂)を再現し、クリーンなエネルギーを実現。
中国では、ここ数十年間で電力消費量と発電量が大幅に増加し、2009年には、再生可能エネルギー技術への投資額が世界一となりました。
中国は原子炉技術の自立を最大限に高めたいと考えています。現在、数百の研究施設を持っており、核融合発電の開発に力を入れています。その一つが合肥にある先進超伝導トカマク実験施設(EAST)です。
原子炉は2006年に建設され、その後、定期的に改良が行われています。トカマク(強力な磁場で高温のプラズマをトーラス状に閉じ込める装置)としては初めて、ポロイダル磁石と超伝導トロイダルを採用しました。
最近、中国の科学者達は、EASTが2億℃を超える温度に到達したと発表しました。これは、太陽の核(1500万℃)の13倍以上です。原子炉の建設は完了し、2020年初頭から運転を開始するとのことです。
西南物理研究所が中国核工業集団公司と共同で開発したこの人工太陽は、「HL-2M」と呼ばれています。
クリーンなエネルギーを生み出す方法
当装置は、水素・重水素などの燃料を使い、太陽の動力源(核融合)と同じプロセスを再現します。当プロセスにおいて、水素とその同位体の原子が高い圧力と温度で結合し、中性子・ヘリウム同位体とともに膨大な量のエネルギーを放出します。
この核反応のプロセスは、環境に大きな影響を与えることなくクリーンなエネルギーを生み出せるため、世界のエネルギー問題を解決することができるのです。
2017年、EASTはトカマクとして初めて、摂氏5000万℃のHモードプラズマを100秒以上維持することに成功しました。2018年には、1億℃を超える高温プラズマを発生させました。
EASTはこれまでに、電球20万個分に相当する1,000万ワットの電力を出力することに成功しました。
これは大きなマイルストーンの達成ですが、持続的な核融合エネルギーを得るためには、温度を数億度まで上げ、パルスを数千秒に延ばす必要があります。
今後、反応の制御性を高め、核融合で十分な再生可能エネルギーを生み出すという目標を実現するために、さらなる研究が必要です。
HL-2Mは、フランスにあるITER(国際熱核融合実験炉)のテストベッドです。ITERは国際的な核融合研究・工学メガプロジェクトであり、中国もその一翼を担っています。