・新しいフォトニックファイバーは、連続的な圧力センサーとして機能する可能性がある。
・透明で伸縮性のある素材を何層にも重ねて作られている。
・この複数の層が光を反射し、異なる色を作り出す。
・圧力レベルをモニターすることで、圧迫包帯に使用することができる。
圧迫療法は、足首や脚を穏やかに圧迫することで、下肢の血流量を増加させるために行われます。静脈壁を徐々に伸ばし、全体の血液循環を良くして、むくみを解消します。一般的には、圧迫包帯やストッキングを患肢にしっかりと巻き付けます。ところが、これらの包帯やストッキングが手足にどれくらいの圧力をかけているのかをモニターすることは困難です。
MIT【マサチューセッツ工科大学】のエンジニアは、この問題を解決するために、連続的な圧力センサーとして機能するフォトニックファイバーを作りました。これは、圧迫包帯のような形をしています。このファイバーは、包帯を伸ばすと色が変化します。
どのように役立つのか？
患者や介護者は、カラーチャートを使って、適切な圧力の色を示すまでファイバーを引き伸ばすことができます。これにより、脚に最適な圧力レベルの包帯を効果的に巻くことができます。
医療現場においては、毎年、世界中で何百万人もの人が悩まされている静脈性潰瘍など、包帯やストッキングを適切な圧力で使用することが非常に重要です。そこで活躍するのがフォトニックファイバーです。このファイバーは、人間の目で簡単に識別できるような色を反射します。追加の装置を使わなくても、包帯によって加えられた圧力のレベルを知ることができるのです。
色の変化とは？
画像出典：研究者
このファイバーは、透明な伸縮性材料の薄いシートから作られています。この素材をゼリー状に巻き上げたものが、数百ナノメートルの厚さのロール層です。
このユニークな構造形態では、個々の層間の各界面が光によって反射されます。一定の厚さの複数の層があるため、光は層ごとに反射し、青色などの可視光線の特定の色を強くし、他の色の明るさを弱めることができます。
したがって、目に見える包帯の色は、ファイバーの中の層の厚さによって決まります。この色は、形状が保たれている限り、持続します。具体的には、このファイバーの設計は、透明な薄いシートが光を反射して、層の幾何学的なパラメータと材料の組成に基づいて鮮やかな色を生成する、光の干渉を利用しています。
層の厚さを変えることで、色を調整することができます。このためには、特殊なファイバー設計のために設定された標準的な光学モデリング手法が必要です。たとえば、最適な圧力を示す緑色と、注意が必要な高い圧力を示す赤色を反射する、というように、ファイバーをカスタマイズすることが可能です。
ファイバーの圧力による色を示す光学顕微鏡写真
研究者たちは、これらのフォトニックファイバーを圧縮包帯の長さに沿って縫い合わせました。そして、カラーチャートを描き、ファイバーの圧力と色の相関を調べました。この包帯を十数名の被験者に使ってもらい、その効果を検証したところ、被験者はファイバーの色を理解し、カラーチャートを使って対応する圧力をかけることができたのです。
この結果は、フォトニックファイバーが圧迫療法の効率を高め、治療期間の短縮、患者の予後の改善、医療制度における数十億ドルの節約につながる可能性を示しています。
次の段階は？
既存のフォトニックファイバーは、数インチの長さしかありません。科学者たちは、ファイバー製造のプロセスをスケールアップすることを計画しています。今後数年間で、このようなファイバーを何キロも製造することになり、結果的にコストを下げることができるでしょう。
将来的には、このファイバーはスポーツシューズや運動着に使用され、運動中の筋肉の歪みなど特定の事柄を示すことができるようになるかもしれません。さらに、科学的な道具や機械のための遠隔読み取り可能なひずみゲージ【物体のひずみを測定するための力学的センサー】や、反復的で高い変形が要求されるその他のスマートウェアラブル技術に活用される可能性もあります。
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