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ついに「シクロカーボン」の合成に成功!炭素原子18個からなる初の環状分子

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本記事は、Cyclocarbon: The First Ring-Shaped Molecule Of 18 Carbon Atoms
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約2分0秒

・長年の懸案であった環状分子カーボン-18の合成に成功。
・熱力学的に安定していると考えられる最小のシクロ[n]カーボンである。
・近い将来、分子サイズのトランジスタの開発に利用できる可能性がある。

 

「グラフェン」【炭素が六角形の編み目のように結びついている、非常に薄いシート状の物質】と「カーボンナノチューブ」【炭素原子が六角形に並んだ表面構造をもつ、管状の物質】の発見は、合成炭素同素体という新しい分野に火をつけました。「フラーレン」【多数の炭素原子が相互作用で結びついた同素体】は、他の原子を含まない炭素の唯一の分子同素体です。楕円形、球形、チューブのような形をしており、完全に炭素原子でできています。

 

一方、シクロカーボンの存在は、何年もの間、論争の的となってきました。多くの化学者がシクロカーボン(n個の炭素原子だけで構成される分子)の合成を試みてきたものの、実りある結果はこれまで得られていませんでした。

 

最近、IBMとオックスフォード大学の研究者たちが、史上初の純粋な炭素の環、つまり18個の炭素原子を含む環状分子の合成に成功しました。この環状分子は長年にわたって科学者を魅了してきた化合物です。

 

純粋な炭素

炭素は宇宙で4番目に質量が多い元素で、信じられないほど独特な性質を持っています。炭素の複数の原子が結合して、新しい化合物を形成することができるのです。例えば、各原子は四面体形状の4つの最も近い原子と結合してダイヤモンドを形成することができます。

 

ノーベル賞を受賞した化学者のロアルド・ホフマンをはじめ、多くの化学者が、炭素は近くの2つの原子と結合して鎖を形成することもできると長い間仮定してきました。その可能性は2通りあって、各炭素原子が両側で二重結合を形成する場合(両側で2個の電子を共有することによって)、あるいは片側で単結合、もう一方の側で三重結合を形成する場合です。

 

シクロ[18]カーボン

この研究で研究チームは、長い間待ち望まれていた環状分子カーボン-18を作り出し、画像化することに成功しました。まず、酸素原子に結合した炭素4個の正方形分子を合成しました。次に、これらの分子を低温の高真空チャンバー内で塩化ナトリウムの二重層上に置きました。

 

画像出典: Nature
【左画像内の文章:単結合と三重結合が交互に並んで環を構成している】

 

さらに酸素を含む部分を取り除くために、原子間力顕微鏡を使いました。何度か試行錯誤を繰り返した結果、顕微鏡画像からシクロ[18]カーボンの構造が発見されたのです。

 

シクロ[18]カーボンは単結合と三重結合を交互に持ち、これが炭素の環や鎖に半導体の性質を与えています。炭素原子の長くまっすぐな鎖もまた、半導体の挙動を示す可能性があります。そのため、近い将来、分子サイズのトランジスタ【電子回路において、信号を増幅またはスイッチングすることができる半導体素子】の開発に利用できる可能性があります。

 

カーボン-18の環は、熱力学的に安定していると考えられる最小のシクロ[n]カーボンであり、ひずみエネルギーは1モル当たり72キロカロリーです。この分子の他の基本的な性質はまだ研究中です。

 

研究チームは、一度に複数の分子を作ることには成功していないものの、複数のシクロカーボン構造が得られるかもしれない別の方法を試し続ける予定です。この研究はまた、原子の操作によって、他のとらえどころのない炭素を多く含む分子を合成する新たな道を開くものでもあります。

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