・私たちの太陽系は、「ウォルフ・ライエ星」と呼ばれる巨星のバブルの中で形成された可能性があります。
・これらの星は、大きさが太陽の50倍ほどあり、核は100万年以上前のものでした。
・超新星爆発と同じように、巨大なウォルフ・ライエ星の生命はずっと前に終わっていました。
ここ数十年の間に宇宙に関する驚くべき発見がいくつもあったにもかかわらず、私たちの太陽系がどのようにして形成されたのかは未だにによくわかっていません。その全貌は謎のままなのです。しかし、今回、シカゴ大学の研究者たちが、太陽系の全貌を説明する包括的な理論を発表しました。
私たちが知っているのは、太陽系が約46億年前に超新星の近くで形成されたということです。しかし、この理論では、鉄60という同位体が存在しないことや、アルミニウム26という同位体が初期の太陽系内に豊富に存在したことを説明できませんでした。
今回の研究では、太陽の約50倍の大きさを持つ「ウォルフ・ライエ星」と呼ばれる巨星から始まる新しいシナリオが提案されました。私たちの太陽系は、この巨大なウォルフ・ライエ星のバブルの中で形成された可能性があります。この研究では、銀河系内の他の場所と比較した際の太陽系内におけるこれら2つの同位体(鉄60とアルミニウム26)の割合という、長年の宇宙の謎に取り組んでいます。
ウォルフ・ライエのバブル
2015年に行われた研究で、初期の太陽系ではアルミニウム26が多く、鉄60の同位体が少なかったことが明らかになりました。このことから、なぜある同位体が太陽系に出現し、他の同位体が出現しなかったのかという疑問が生じました。そこで科学者たちは、大量のアルミニウム26が放出され、鉄60が放出されないウォルフ・ライエ星を研究することにしました。
ガスや塵が中に閉じ込められて星に凝縮されるため、ウォルフ・ライエのバブルの殻は星を形成するのに最適な場所です。研究者たちによると、太陽のような恒星の1〜16%はこのような恒星の元で形成されている可能性があるそうです。
研究者たちは、ウォルフ・ライエ星から放出されたアルミニウム同位体が、星の周辺で形成された塵の粒に乗って外に運ばれると考えています。このような粒子は殻の片側を通過できるくらい大きな運動量を持っていますが、ほとんどの粒子は自壊してしまい、アルミニウムを殻の内側に閉じ込めてしまいます。
吹きさらしのバブルでは、中心から外側に向かって、下記の異なる5つの領域を識別することができます。
1.自由膨張する風
2.衝撃を受けた風の領域
3.光イオン化領域
4.薄く密度の高い殻
5.外部媒体
風の終端における衝撃は、自由膨張している風と衝撃を受けた風を分離することができます。外側の境界とは放射性衝撃であり、掃き寄せられた物質を圧縮して、内側に放射性衝撃と接触不連続の間に囲まれた薄く密度の高い殻を生成しています。
ウォルフ・ライエ星の核は、およそ10万年から100万年以上前のものでした。適切な条件が整っていれば吹きさらしのバブルの境界において星の形成が起こる可能性が高いと、理論的にも観測的にも考えられます。
超新星爆発と同様に、ウォルフ・ライエ型の巨星の寿命はとっくに終わっています。さらに、超新星爆発では鉄60が生成されますが、バブルの壁を貫通するほどの威力はないか、あるいは不均等に分布していました。
人類が宇宙の歴史について知っていることはどれも確実ではありませんが、魅力的な理論であることは確かで、さらなる分析が必要です。