車のエンジンの進化というものは、車のモデルやデザインの開発と並行して行われてきました。つまり、かなり長い歴史があるのです。現代の車のエンジンは複雑で私たちの様々なニーズに合うように特別に作られているのです。
パワーを重視する人もいれば、燃費だけを重視する人もいます。そんな顧客たちの全てのニーズに応えるため、自動車メーカーはここ数十年にわたって何種類もの異なる自動車エンジンを開発してきました。今回は、それぞれのエンジンのタイプについてご説明しますので、エンジンについてより深く学びましょう。
内燃機関(インターナル・コンバッション・エンジン)
内燃機関(ICE)は、燃料の燃焼がチェンバー内で行われるタイプの熱機関です。エンジン内部で燃料が燃焼すると、温度と圧力が上昇します。この燃焼によって生成された高圧力は、パワーピストンやローター、ノズルへと直接加わります。
これが車を動かす力であり、化学エネルギーを有用な機械エネルギーに変換しています。このようなエンジンは、一般に自動車の動力として自動車産業で使用されます。内燃機関は、点火のタイプ、ストローク数、デザインなど、多くの基準で分類できます。
熱機関は、燃料の燃焼が機関外部にて行われる外燃機関とも区別できます。ここでは、自動車には使用されていないため、外燃機関については詳しく説明しません。では始めていきましょう。
ストローク数での分類
17. 2ストロークエンジン
2ストロークエンジンにおいては、ピストンが2ストロークでパワーサイクル1周期が完了します。1回燃料燃焼するごとに、シリンダー内で上下にピストンが1回動き、クランクシャフトが1回転します。
このタイプのエンジンでは、燃焼行程の終わりと圧縮工程の始まりが同時に起こります。つまり、吸気と排気が同時に発生するということです。2ストロークエンジンは、4ストロークエンジンと比較して高トルクなのです。
16. 4ストロークエンジン
4ストロークエンジンは、クランクシャフトを1回転する時にピストンが4ストロークする内燃機関の変種です。ここでのメカニズムは、2ストロークエンジンのメカニズムとは異なります。
ここでは、ピストンはシリンダー内で上下に2回動き、クランクシャフトは2回転します。このタイプのエンジンは、2ストロークエンジンに比べてアベレージが高くなっています。 4ストロークエンジンは、一般的に自動車やトラックに使用されています。
15. 6ストロークエンジン
6ストロークの内燃機関は開発段階にありますが、自動車業界では既に多くの話題を呼んでいます。 6ストロークエンジンには、従来のモーターに比べていくつかの専用の利点があり、燃料効率の向上、機械の複雑さの軽減、排出ガスの削減につながる可能性があります。
デザインでの分類
14.レシプロエンジン
レシプロエンジンの主要コンポーネントはピストンで、これが圧力を回転運動に変換しています。エンジンには1つもしくはそれ以上のピストンが使われている場合があり、それらのピストンはシリンダーの中に置かれています。加圧ガスが注入されてシリンダー内で加熱されると、ピストンが往復運動を開始します。この運動がクランクシャフトの力を借りて回転運動に変換されます。
13. ヴァンケルエンジン
ヴァンケルエンジンは、ローターエンジンとしても知られています。これはピストンの代わりに偏心回転システムを使用して圧力を回転運動に変換するためです。ヴァンケルエンジンは、より人気のあるライバルのレシプロまたはピストンエンジンと比較して、よりシンプルかつスムーズで、はるかにコンパクトです。
ピストンよりも機械的には優れていますが、ヴァンケルエンジンはあまり自動車業界では使用されていません。何故なら効率が悪く、燃費と排気ガスの問題があるからです。
ヴァンケルエンジンは、2ストロークエンジンや4ストロークエンジンと比較して、1回転あたりの出力パルスが多いため、一般にレーシングカーで使用されます。最も人気のある例の1つは、マツダのRX-8です。
着火方法による分類
12. 圧縮点火エンジン
圧縮点火エンジンでは、チャンバー内での燃料の燃焼は、断熱圧縮によりガスまたは空気によって起こる高温によって引き起こされます。ディーゼルエンジンなどは空気を圧縮することによってのみ動くため、圧縮点火エンジンの良い例です。
他の内燃機関よりディーゼルエンジンを使用することには多くの利点があります。熱力学的効率が良いこととエンジンへの寄生負荷が軽減できることはその中のほんの一部です。
11. 火花点火エンジン
全てのガソリンエンジンは火花点火に基づいており、点火プラグは混合気の燃焼に点火します。火花点火エンジンは一般に「ガソリンエンジン」と呼ばれますが、オートガス(LPG)、メタノール、バイオエタノール、圧縮天然ガス(CNG)、水素、およびニトロメタンでも動きます。
10.電気モーター
従来のICE搭載車とは異なり、電気自動車は取り付けられている充電式バッテリーから電力を得ます。これらのバッテリーは、エンジンだけでなく他の電気機器にも電力を供給します。電気モーターは単に電気エネルギーを機械エネルギーに変換します。
とはいえ、電気自動車は20世紀後半にやや人気を博しましたが、史上初の電気自動車は1880年代後半に製造されました。 2008年以降、温室効果ガス排出量の増加と燃料価格の上昇に関する懸念により、電気自動車の成長はプラス基調で推移しています。
電気モーターは、蓄積されたエネルギーの変換において、従来のICEよりも効果的です。また、ディーゼルエンジンよりも搭載効率が高くなっています。現在のほとんどの電気自動車は、リチウムイオンまたは鉛蓄電池を使用しており、それぞれに利点や欠点があります。
9. HCCI
HCCI(予混合圧縮着火エンジン)は、排出量の最小化と燃費の最良化に向けた革新的な一歩です。 HCCI技術は、従来のガソリンエンジンとディーゼルエンジンの特性を組み合わせて、ハイブリッドソリューションを生み出しています。
燃料の燃焼中の中心温度が低いため、窒素酸化物の排出量はごくわずかですが、燃料の不完全燃焼につながるので、一酸化炭素と炭化水素の排出量が比較的高くなります。 2017年の時点で、HCCIエンジンは商業的には生産されていません。ただし、機能しているHCCIプロトタイプはいくつかあります。
シリンダー数による分類
8. 単気筒エンジン
単気筒エンジンでは、クランクシャフトに接続されているシリンダーは1つだけです。これらはコンパクトかつ軽量で、重量と出力の割合が優れています。単気筒エンジンは、オートバイ、スクーター、ダートバイク、ゴーカートに使用されています。
7. 多気筒エンジン
多気筒エンジンは、単気筒の正反対のものです。エンジンには、1つではなく複数のシリンダーが備わります。2ストロークまたは4ストロークエンジンのいずれかで、ディーゼルまたは火花点火式です。
多気筒エンジンは単気筒エンジンに比べていくつかの利点があります。1分あたりの回転数が高く、アンバランスを解消するのに優れています。
シリンダーの配置による分類
6. 直列型エンジン
直列型エンジンとはどういう意味でしょうか。まあ簡単に言うと、単なるシリンダーの配置や形状のことです。直列型エンジンでは、シリンダーは、クランクシャフトの長さに沿って、直線的に(前後に)配置されます。
3つの異なるタイプの中で、インライン4は、コンパクトで燃費がよく、フラット6やフラット8エンジンよりもパワーと重量の比率が高いため、自動車業界で最も人気があります。
5. V型エンジン
V型エンジンのシリンダーとピストンは、2つの別々の平面に配置されており、上から見ると「V」字形に見えるようになっています。このエンジンのユニークな形状により、直列型エンジンと比較すると、エンジン全体の重量と長さが大幅に削減できます。
4. W型エンジン
W型エンジンが最初に登場したのは1909年のことで、アンザーニの3バンクエンジンを動力としたブレリオXI航空機がイギリス海峡を横断しました。しかし、自動車業界においてこのエンジンの最初の商業的に利用したのはフォルクスワーゲンです。 WまたはダブルV型エンジンには、次の3つの異なる構成があります。
1、まず初めは、同じクランクシャフトを共有する3バンクのシリンダーで構成されています。イギリスのブロードアローの官有物のマークに似ているため、ブロードアロー構成とも呼ばれます。
2、2つ目は、同じクランクシャフトを共有する4バンクのシリンダーで構成されています。これは「ダブルV」エンジンとも呼ばれます。
3、3つ目、最後は、2つのクランクシャフトと2バンクのシリンダーを備えたエンジンです。
このW字型エンジンは、主にフォルクスワーゲン車、とりわけブガッティヴェイロンで使用されています。
3. OPOCエンジン
OPOCエンジンは、両端にピストンがある2つのシリンダーで構成されています。シリンダーヘッドがないため、バルブもありません。従来のエンジンと比較して、対向シリンダー対向ピストンエンジンはベアリング負荷が非常に少ないので、摩擦が少なくなります。また、サイズが非常に小さいため、重量で比較すると大きなパワーを持っています。
吸気系統による分類
2. 自然吸気
自然吸気エンジンは、吸気が大気圧のみに左右され、ターボチャージャーまたはスーパーチャージャーによる強制的な誘導に依らないタイプの内燃機関です。 多くのスポーツカーは、ターボラグを回避するために自然吸気エンジンを使用しています。 ほとんどの自動車用ガソリンエンジンや自動車以外に使われる多くの小型エンジンは、自然吸引です。
1. 過給およびターボ過給エンジン
スーパーチャージャー付きエンジンとターボチャージャー付きエンジンには、いくつかの基本的な違いがあります。 スーパーチャージャーは、ターボチャージャーのように排気流ではなく、クランクシャフトを使用してエネルギーを駆動し、電力を生成します。
スーパーチャージャーはベルトを介してエンジンに直接接続されているため、最大50,000 RPMまで速度が上がります。一方、ターボチャージャーはエンジンに直接接続されていないので、最大15,000 RPM程度です。さらに、ターボチャージャーには炭素排出量を抑えるスモッグ変更器具が装備されているため、スーパーチャージャーよりも環境に優しいです。