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宇宙に浮かぶ巨大なドーナツ─超巨大ブラックホールを中心に回るガス状構造とは

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本記事は、Giant Donut-Shaped Structure Rotating Around Supermassive Black Hole
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約2分34秒

・アルマ望遠鏡によって、世界で初めて、M77銀河の中心にある超巨大ブラックホールを中心に回転しているガストーラスが観測されました。

・この密度の高いガス状構造は、直径40光年(380兆km)もの幅があります。

 

宇宙のほとんどの銀河の中心には、巨大なブラックホールがあります。銀河が大きければ大きいほど、中心のブラックホールも大きくなります。しかし、物理学の現実はそれほど単純ではありません。銀河の大きさはその中心のブラックホールの100億倍近くあるので、全く大きさの異なる2つの天体が直接影響し合うことは難しいのです。

 

最近、地球上で最も高価かつ高性能な望遠鏡であるALMA(Atacama Large Millimeter Array)が、超巨大ブラックホールの周りを回転しているガスのトーラスを発見しました。活動中のブラックホールの周りを回転しているドーナツ型の構造を地上の望遠鏡で撮影したのは、今回が初めてのことです。

 

この研究は、超巨大ブラックホールを抱える銀河についての理解を大きく変えるものです。具体的にどのような現象が観測されたのか、詳しく見ていきましょう。

 

ほこりだらけで、ガス状で、直径380kmのドーナツ

 

研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて渦巻き銀河M77の中心部を観測しました。この領域は「活動銀河核」と呼ばれており、ここでは中心部にあるほとんどの物質が超巨大ブラックホールに向かって勢いよく落下しながら明るい光を放出しています。

 

この活動銀河核は周囲の環境に非常に強い影響を与えるため、ブラックホールや銀河の進化の謎を解くための重要な要素となっています。

 

研究チームは、超巨大ブラックホールの周りを直径40光年(380兆km)のぎっしり詰まったガス状構造が回転していることを発見しました。

 

この汚いドーナツ状のガス構造は、「AGNの統一モデル」として知られています。この構造は非常に薄く見えますが、アルマ望遠鏡の解像度が高いおかげで、直接見ることができるようになりました。

 

なぜM77なのでしょうか?

 

私たちの銀河系である天の川銀河の中心にも超巨大ブラックホールがありますが、その状態は非常に安定しています。ほんの少量の物質が付着しているだけなのです。そのため、活動銀河核を研究するには他の銀河の中心を見る必要がありますが、M77は活動銀河核を持つ地球に最も近い渦巻き銀河であるため、最適な候補だったのです。

 

どのようにして観察したのでしょうか。

M77銀河を観測したのは今回が初めてではありませんが、ブラックホールの周りで回転するガスのドーナツをこれほどはっきりと見つけた人は今までいませんでした。アルマ望遠鏡の優れた分解能に加えて、観測する分子の輝線の選択もこの構造を明らかにできた大きな要因の一つです。

 

研究チームは、HCN(シアン化水素)とそのホルミルアイコンであるHCO+から放出される特殊なマイクロ波放射を観測しました。CO(一酸化炭素)はさまざまな環境下でマイクロ波を放出しますが、HCNは密度の高いガスの中でのみマイクロ波を放出します。活動銀河核の近くに形成されたトーラスは、非常に密度が高いのです。

 

これまでの研究で塵の多いトーラスが東西に伸びていることが明らかになっていましたが、アルマ望遠鏡のデータにより、トーラスの回転方向が推定され、明らかにされました。しかし、超巨大ブラックホール周辺のガス分布はもっと複雑です。トーラスは非対称な構造をしており、その回転はブラックホールの重力に従っていないのです。

 

トーラス内のすべての物質は極めてランダムな動きをしており、活動銀河核の激しい歴史を示しているかのようです。とはいえ、回転する塵のトーラスの発見は重要なステップです。

 

技術情報

 

トーラスの西側の領域では速度分散が大きくHCN線やHCO線の発光が強いことから、非常に不均質な分子トーラスであることがわかります。

 

また、トーラス内の局所的な核のスターバーストにおける超新星からのフィードバックは、分子ガスを乱れさせるだけでなく、空間分布も変化させる可能性があります。その場合、活動銀河核からの放射は、トーラス内の領域によって分子ガスに異なる影響を与えることになります。

 

その結果生じる不均一な空間分布や分子ガスのダイナミクス、活動銀河核の多様な放射効果によって、観測されたような不均一な分子線発光を説明できる可能性があります。

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