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意外と知らないかも? 日常で見かける「熱エネルギー」の好事例12選

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本記事は、12 Examples Of Thermal Energy In Everyday Life
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約5分28秒

熱エネルギーとは、物体がその内部の粒子の運動によって持つエネルギーのことです。物体内部の運動エネルギーであり、物体の分子や原子のランダムな動きから生まれます。

 

物質を構成する分子や原子は常に動いていますが、物体が熱せられると、温度の上昇によってこれらの粒子の動きが速くなり、互いに衝突するようになります。この粒子の動きが速いほど、物体の熱エネルギーは高くなります。

 

数学的には、ボルツマン定数(kB)と絶対温度(T)の積として表すことができます。

 

熱エネルギー=kBT

 

「熱エネルギー」という言葉は、熱流によって移動する熱量や運ばれるエネルギーにも適用されることがあります。

 

熱エネルギーは、次の3つの過程を経て、ある物体から別の物体に移動することができます。

 

・伝導:最も一般的な熱の移動形態であり、物理的な接触によって発生します。内部エネルギーは、粒子の微視的な衝突と体内の電子の動きによって伝達されます。
・対流:液体や気体などの流体の移動により、ある領域から別の領域へ熱を移動させることです。
・放射:エネルギーが粒子や波の形で空間や媒体を伝わっていくことです。高温の物体ほど熱エネルギーを放射します。

 

この現象をよりよく説明するために、日常生活で目にする熱エネルギーの代表的な事例を紹介します。

 

12. 太陽エネルギー

熱伝達の種類:放射

 

太陽は、ほぼ完全な球体の高温プラズマであり、何十億もの化学反応によって水素をヘリウムに変え、最終的に大量の熱を発生させます。

 

この熱は、太陽の近くにとどまることなく、星から宇宙空間へと放射されます。このエネルギー(熱)のごく一部が光の形となって地球に届きます。そのほとんどは、赤外線、可視光線、紫外線です。このように熱エネルギーが移動することを熱放射といいます。

 

熱エネルギーの一部は大気を通過して地表に届きますが、一部は雲に遮られたり、他の物体で反射されたりします。地表に到達した太陽光は、地表を暖めます。オレゴン大学によると、1日24時間で、地球全体が1平方メートルあたり平均164ワットを受けているそうです。つまり、地球全体で84テラワットの電力を受け取っていることになります。

11. 溶ける氷

熱伝達の種類:対流

 

熱エネルギーは常に温度の高いところから低いところへ流れます。たとえば、飲み物に氷を入れると、熱は液体から氷に移動します。飲み物から氷に熱が移動すると、液体の温度は下がります。熱は、平衡状態になるまで、飲料の中で最も冷たい部分に移動し続けます。この熱の損失により、飲料の温度が急降下するのです。

10. 燃料電池

水素と酸素をエネルギーとする燃料電池

 

熱伝達の種類:燃料電池の種類により異なる

 

燃料電池は、燃料と酸化剤ガスの化学エネルギーを電気エネルギーに変換する電気化学装置です。燃料電池が作動するとき、エネルギーの大部分は電気エネルギーの生成に使われますが、燃料電池の種類によっては、残りの部分が熱エネルギーに変換されます。

 

この過程で発生する熱を利用することで、エネルギー効率を高めることができます。理論的には、燃料電池は従来のプロセスよりもはるかにエネルギー効率が高く、熱電併給システムで廃熱を回収すれば、最大90%の効率を達成することができます。

9. 地熱エネルギー

熱伝達の種類:マントル対流

 

地熱とは、地球の地下に存在する熱のことです。地熱は、地殻の下にある流体や岩石に含まれており、地球の高温の溶岩、マグマの奥深くに存在します。

 

これは、物質の放射性崩壊と惑星形成時の継続的な熱損失から生成されます。コア・マントル境界の温度と圧力は4000℃以上、139GPa以上に達する可能性があり、一部の岩石は融解し、固体マントルは塑性変形を起こします。

 

その結果、マントルの一部が上向きに対流します(溶けた岩石は周囲の固体岩石より軽いため)。地熱は、蒸気や水によって地表に運ばれ、冷房や暖房に利用されたり、クリーンな電気を生産するために利用されたりします。

8. 海洋の熱エネルギー

熱伝達の種類:対流と伝導

 

何十年もの間、海は温室効果ガスの排出による大気中の余分な熱の10分の9以上を吸収してきました。ある研究によると、過去10年間で、海は1平方メートルあたり0.5〜1ワットのエネルギーで加熱されてきたということです。

 

海は、熱エネルギーを蓄積する大きな可能性を秘めています。海洋の表面は直射日光に長時間さらされるため、浅海域と深海域の温度には大きな差があります。

 

この温度差を利用して、熱機関を動かし、発電することができるのです。このようなエネルギー変換は、海洋温度差発電と呼ばれ、連続運転が可能であり、様々なスピンオフ産業を支えることができます。

7. ソーラークッカー

熱伝達の種類:放射と伝導

 

ソーラークッカーは、直射日光のエネルギーを利用して、飲み物やその他の食品材料を加熱、調理、低温殺菌する、高い技術レベルを必要としない、安価な装置です。晴れた日には、最高で400℃の温度を達成することができます。

 

すべてのソーラークッカーは、次の3つの基本的な原理で動作します。

 

・太陽光の集光:鏡面加工を施し、太陽光を小さな調理スペースに集中させます。
・光エネルギーを熱エネルギーに変換:受光部(鍋)に光が当たると、光は熱に変換されますが、これが伝導と呼ばれるものです。
・熱エネルギーの閉じ込め:ガラス蓋が調理器内の空気を外気から遮断し、対流(熱の損失)を最小限に抑えます。

6. 手をこすり合わせる

熱伝達の種類:伝導

 

手をこすり合わせると、摩擦によって機械的エネルギーが熱エネルギーに変換されます。機械的エネルギーとは、手の動きのことです。

 

摩擦は、接触している2つの表面の荷電粒子間の電磁気的な引力によって起こるため、手をこすり合わせると、手の分子間で電磁エネルギーの交換が行われることになります。その結果、手の分子が熱的に励起され、熱としてエネルギーが発生するのです。

5. 熱機関

熱伝達の種類:対流

 

熱機関は、熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、機械的な仕事をするために使用します。エンジンは、(周囲に比べて)暖かいエネルギーを得て、それを運動に変えているのです。

 

エンジンの種類により、原子力のエネルギーを使って熱を発生させるもの(ウラン)、燃料に点火して燃焼させるもの(石炭やガソリン)など、様々なプロセスが適用されます。しかし、熱を仕事に変えるという点では同じです。

 

身近なところでは、蒸気機関車、内燃機関、火力発電所などが熱機関です。いずれも、熱せられた気体の膨張を動力源としています。

4. キャンドルの燃焼

熱伝達の種類:伝導、対流、放射

 

キャンドルは、熱を発生させることで明かりを灯します。化学エネルギーを熱に変換しているのです。化学反応は燃焼と呼ばれ、キャンドルのロウが空気中の酸素と反応し、少量の蒸気とともに炭酸ガスという無色の気体をつくります。

 

蒸気は炎の青い部分で発生し、そこではワックスがたくさんの酸素できれいに燃えます。しかし、完璧に燃えるロウはないので、炎の明るい黄色い部分にも少し煙(エアロゾル)を発生させます。この間、芯はロウを吸収して燃焼し、光と熱エネルギーを発生します。

3. 電気トースター

熱伝達の種類:熱の放射

 

電気トースターは、電気エネルギーを効率よく取り込み、熱に変換しています。そのために、細いワイヤー(フィラメント)をパン全体に行き渡るような間隔で何本も並べた構造になっています。

 

ワイヤーに電気が流れると、エネルギーは一方の端からもう一方の端へと移動します。このエネルギーは電子によって運ばれます。その過程で、電子は互いに、また金属線内の原子と衝突し、熱を発生させます。電流が大きく、ワイヤーが細いほど、衝突の回数が多くなり、熱も多く発生します。

2. 現代の家庭用暖房システム

熱伝達の種類:対流

 

建物に設置される暖房システムは、温風暖房と温水暖房の2種類が一般的です。温風暖房は、熱エネルギーを使って空気を温め、ダクトやレジスターなどのシステムで循環させます。暖かい空気はダクトから吹き出し、冷たい空気を押し出しながら部屋中を循環します。

 

一方、温水暖房は熱エネルギーを使って水を温め、それをパイプとラジエーターのシステムで建物全体に送り出すものです。高温のラジエーターは、周囲の空気に熱エネルギーを放出します。そして、暖かい空気は対流を起こしながら部屋中を移動します。

1. CPUなどの電装品

プロセッサーに搭載されたファン冷却のヒートシンク

 

熱伝達の種類:対流と伝導

 

CPUや、GPU、SoC【ひとつの基板上のシステム】は、電子回路の抵抗により、熱という形でエネルギーを放散しています。ノートパソコン/デスクトップパソコンのGPUは、モバイルプロセッサーよりも複雑で高速なため、消費電力や放熱量が大幅に多くなっています。

 

マイクロプロセッサーを最適な温度に保つために、様々なタイプの冷却システムが使用されています。たとえば、従来のデスクトップ用CPUの冷却システムは、デスクトップ用CPUの最大接合部温度を超えることなく、最大90ワットの熱を放散するように設計されています。

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