・バイオセンサー搭載の新型メガネで、涙から血糖値を測定。
・この方法だと安全で痛みもない。
・また、血中のビタミンやアルコールの濃度も測定できる。
この10年間で、ウェアラブルデバイスは非常に大きな商業的関心を呼び、ウェアラブルおよびモバイル検出システムの進歩に向けた大きな努力を促してきました。物理センサーやウェアラブルモビリティは早くから注目されていましたが、最近のトレンドは、(生)化学的指標を検出できるデバイスの開発に移行しています。
ウェアラブル化学センサーは、シール型などの一時的なタトゥー、マウスピース、織物、リストバンドなど、いくつかのプラットフォームにすでに組み込まれています。今回、カリフォルニア大学とサンパウロ大学(ブラジル)の科学者たちは、さらに一歩進んで、人の涙から血糖値を測定できる新しいバイオセンサーを開発しました。
どのように機能するのか?
涙に含まれるグルコースオキシダーゼ酵素(主に体液中の遊離グルコースの検出に使用)を識別します。人間の涙には様々な代謝物が含まれており、その濃度を測定することで、血中濃度を同時に明らかにすることができます。
研究者たちは、メガネの鼻梁パッドに流体素子を取り付け、刺激された涙を直接収集できるようにしました。
涙は涙腺から分泌され、涙がグルコースオキシダーゼに触れると同時に電子の流れが変化します。すると信号が発生し、メガネのアームに内蔵されたチップで処理されます。その結果は瞬時にスマートフォンやパソコンに送られ、患者はリアルタイムで糖尿病の状態を把握することができます。
これは、リアルタイムに涙を採取し、刺激された涙のアルコールを直接測定できる初めてのデバイスです。ワイヤレス電子回路をあらゆるフレームに組み込むことができ、完全にポータブルで使いやすいファッショナブルな検出装置を実現します。
バイオセンサー搭載のメガネ
出典:Juliane Sempionatto Moreto
現在、ほとんどの人が血糖値を測定する携帯型の糖度計を使用しています。これは、1日に何度も指先を刺して(血液サンプルを採取して)行うもので、針を刺すことで感染のリスクが高まるため、痛みを伴ううえに安全性の低い作業です。
一方、新技術は、安全で痛みもありません。この装置は、鼻パッドに接続された結合電極を変えるだけで、血中のビタミンやアルコールの濃度を測定することもできます。
研究者たちは、このような装置によって、農村部で顧みられない病気を診断し、予防することができると考えています。実際、この技術は、生まれた直後、あるいは生まれる前の遺伝性疾患の診断にも利用できるかもしれません。
道のりはまだ長い
このシステムをより正確なものにするためには、さらなる研究が必要です。また、涙の刺激や採取が分析物濃度に与える影響についても、詳細な知見を得る必要があります。研究チームは、3年以内の実用化を目指しています。それでも、バイオセンサー搭載のメガネがいつ市場に出回るかはわからないそうです。