地球の核から最果ての銀河まで、宇宙に存在するすべてのものは原子でできています。元素の基本単位です。
これまでに118種類の元素が確認されており、すべて周期表に記載されています。
「原子」は英語では「atom」と言い、「分割できない」という意味を持つ古代ギリシャ語の「atomos[アトモス]」に由来しています。古代ギリシャの哲学者たちは、原子をさらに小さく分割することは不可能だと考えていました。しかし、20世紀初頭、科学者たちは素粒子(電子、陽子、中性子)を発見し、この事実が誤りであることを証明しました。
この記事では、原子にまつわる最も興味深い事実をご紹介します。この事実を知れば、さらに賢くなれるでしょう。それでは、一番短くて簡単なものから始めます。
1. 原子の構成
すべての原子は、1個の原子核【nucleus】(中心部にある)と1個以上の電子【electron】を含んでいます。原子核は通常、同数の陽子【proton】と中性子【neutron】で構成されており、これらを合わせて「核子」と呼びます。
2. 質量のほとんどを占める原子核
原子の中心にある原子核は、原子の質量の99.95%以上を占めますが、体積は原子の1兆分の1に過ぎません。つまり、原子の中のほとんどの空間は空っぽなのです。仮に原子核が小さなビー玉ほどの大きさだとすると、原子全体はサッカースタジアムほどの大きさになります。
3. 電子は非常に小さい
電子は原子の中で最も活動的な構成要素ですが、原子の質量にはほとんど寄与していません。例えば、水素原子の場合、電子の質量は原子核の質量の0.0005倍しかありません。
4. 原子は電荷を持つことができる
電子はマイナスの電荷を持ち、陽子はプラスの電荷を持ち、中性子には電荷がありません。電子と陽子の数が同じであれば、原子は電気的に中性です。しかし、原子に含まれる陽子の数が電子より少ないか、あるいは多い場合、全体としてプラスまたはマイナスの電荷を持つことになり、それはイオンと呼ばれます。
5. 陽子と中性子を結びつけているのは何か?
原子核の中で陽子と中性子を結びつけているのは、核力です。電子は、核力よりも弱い電磁気力という別の力で陽子に引き付けられています。
この核力は、重力よりも約1,038倍も強いのですが、非常に小さな規模でしか作用していません。
6. 地球上には自然界に94個の原子が存在する
118個の原子のうち、94個は自然界に存在しますが、そのうちの一部はごく微量で存在します。残りの24個は、実験室や原子炉で合成されたものでしかありません。
7. すべての原子はひとつひとつが唯一無二である
原子は、原子核に特定の数の陽子を含んでいます。例えば、ナトリウムは11個、銀は47個です。元素の同位体【原子核の陽子数が同じで、中性子数が異なる原子】は中性子の数で決まり、磁気特性は原子中の電子の数に影響されます。
8. 最大の原子と最小の原子
最も大きい元素(大きさの観点で)はフランシウムですが、非常に不安定なため、セシウムに軍配が上がります。セシウムの原子価殻は大きく、有効核電荷は比較的少ないです。
ヘリウム原子のイメージ図
出典:Wikimedia
一方、最も小さい元素はヘリウムで、周期表の希ガス族の最初のものです。その原子半径はセシウムの直径の約9分の一です。
9. 最も重い原子と最も軽い原子
オガネソンは、2002年に発見された最も重い元素(原子量の観点で)です。驚くほど化学反応性が高く、非常に珍しい物理的・化学的性質を持つ最初の希ガスです。ただし、オガネソンは「合成化学元素の中では」最も重い元素です。自然界に存在する最も重い元素はウランで、原子量は238.02です。
一方、最も軽い原子を持つ元素は水素です。水素は、1個の電子が周回する1個の陽子しか持っていません。最も一般的な同位体はプロチウムと呼ばれ、1個の陽子と0個の中性子で構成されています。
10. ある元素を別の元素に変換することは可能か?
ある極端な条件下では、電子と陽子を反発させる電磁力が強い核力に打ち勝ち、原子核から核子が飛び出して、全く別の元素が残ることがあります。これは核分裂反応です。しかし、この「崩壊]プロセスには犠牲と危険が伴います。科学者たちは、まだ核分裂を使って安全にエネルギーを生成することができていません。
11. 人体における原子
体重70キロの人間の体は、7×10の27乗個の原子で構成されています。水素、酸素、炭素の3つの原子で全体の99パーセントを占めています。
さらに興味深いのは、これらの原子の98パーセントは、自分でも気づかないうちに、毎年新しくなっているということです。最も変化の早い分子は水です。体内の水分子のほぼ50パーセントが8日ごとに入れ替わります。
さらに、100ナノメートルの人間の髪の毛は、100万個の炭素原子で構成されています。
12. 宇宙に存在する原子の数は?
観測可能な宇宙は広大で、その範囲は約930億光年です。この宇宙には、理論上、10の78乗~10の82乗の原子が存在すると言われています。
これは、決してでっち上げの数字ではありません。信頼のできるデータ(宇宙についてこれまでわかっていること)に基づいて計算されています。しかし、これらの推定値には大きな差があり、かなりの誤差があることが示唆されています。今後、宇宙の解明が進めば、より正確な数字が出てくるでしょう。
13. 放射性原子
不安定な原子では、力のバランスが崩れています。この場合、原子核には陽子か中性子のどちらかが過剰に含まれています。原子は、余分な粒子を排出したり、他の形でエネルギーを放出したりすることで、安定した状態になろうとします。このような不安定な原子核を持つ元素を放射性元素と呼びます。
例えば、フェルミウムは放射性元素であり、最も安定した同位体(Fm-257)の半減期【放射性物質内の同位元素の数が半分になるまでの期間】は100.5日です。
14. 原子を見る
原子は可視光線の波長に比べて非常に小さいため、世界最強の光学顕微鏡でも観察することができません。
走査型トンネル顕微鏡でとらえられた炭化ケイ素結晶の表面にあるケイ素原子
そこで科学者たちは、走査型トンネル顕微鏡と呼ばれる別のタイプの顕微鏡を使用します。走査型トンネル顕微鏡は、横方向の分解能が0.1ナノメートル、深さ方向の分解能が0.01ナノメートルで、物質内の個々の原子を画像化するのに十分な性能を持っています。
15. 原子の物性の量子的性質
あるエネルギー準位から別のエネルギー準位へ瞬時に「量子跳躍」する電子
原子は非常に小さいため、量子的な性質を持ち、古典的な物理学を適用してその振る舞いを予測すると、必ず不正確な結果になります。電子があるエネルギー準位(軌道)から別のエネルギー準位(軌道)へジャンプするとき、その間の空間を移動することはありません。ある軌道から消えて、すぐに別の軌道に現れるのです。
電子の挙動をより適切に表現し、推定するために、いくつかの原子モデルには量子物理学の法則が取り入れられています。