CNタワーは、カナダで最も人気のある観光名所のひとつです。トロントのダウンタウンに位置し、1976年に完成して以来、展望台や通信塔として利用されています。また、レストランやその他のアトラクションも併設されています。
開業以来、毎年世界中から数百万人の観光客がCNタワーを訪れています。現在は、連邦政府公社カナダ・ランズ・カンパニーが所有し、世界大タワー連盟に加盟しています。この記事では、CNタワーに関する興味深い事実のうち、ご存じないかもしれない点をいくつかまとめてみました。
16. 基本情報・統計
建設開始:1973年
高さ: 553.33 m
建築家:E.R.ボールドウィン、M.ハウスデン、J.アンドリュース、ウィーブ・ゼラファ (WZMH アーキテクツ)
階段の数:1,776
エレベーターの台数:11
総工費:4,800万USドル
15. 1968年に構想された
CNタワーの建設
画像出典:Robert Taylor
このような巨大な建造物の構想は、1968年にカナディアン・ナショナル鉄道がカナダ最大の送電塔を建てることを決定したときに生まれました。カナディアン・ナショナル鉄道とカナダ国内のハイテク産業の力を示すためでした。4年後の1972年にプロジェクトが決定され、その翌年から建設が始まりました。
14. 名前の由来
「CN」は、建設を認可した鉄道会社「Canadian National【カナディアン・ナショナル】」の略称です。このタワーと土地は、同社が所有していたものです。しかし、1995年にカナダ・ランズ・カンパニーに売却されました。
13. 建設自体にも大勢の人が魅了された
1974年末、主要構造部が完成し、あとはメインアンテナを設置するのみとなりました。これは、当初はクレーンで行う予定でした。
ところが、最終的には重量物の運搬を得意とするシコルスキー社のヘリコプター「S-64スカイクレーン」の力を借りて、建設を行うことができました。このヘリコプターは、3ヵ月半かけて36回に分けてタワー全体を運びました。
その模様は新聞にも掲載され、観光客や地元の人々の人気を集めました。このヘリコプターは「オルガ」と名付けられました。
12. 世界最大級の高さを誇る建造物
CNタワー
画像出典:Wladyslaw Sojka
CNタワーは、世界で最も高い自立式タワーのひとつであり、西半球では最も高いタワーです。1975年から2007年までの32年間、最も高い自立式建築物の王座を維持していました。これを追い越したのは、2008年竣工のブルジュ・ハリファと、その翌年の広州塔だけです。
ブルジュ・ハリファ【ドバイ】が最も高い自立式建築物になった後、ギネスはCNタワーを最も高い自立式タワーに分類し直しました。しかし、2010年に中国の広州塔(604m)に抜かれました。
2011年には、東京スカイツリー(高さ634m)が再び記録を更新。現在634mで世界一の高さを誇っています。
11. エッジウォーク
2011年、CNタワーは開業35周年を記念して、地上356mにある吹きさらしの外周を歩くことができる「エッジウォーク」プログラムを開始しました。
10. 世界一高い電波塔
CNタワーは世界一高い電波塔ではありませんが、電波塔はすべて支線【背の高い構造物を支えるためのワイヤー】や支持ロープで支えられています。最も高い支持塔は、ノースダコタ州ブランチャードにあるKVLY-TV塔です。他にも、メキシコ湾にあるペトロニアスプラットフォームという、高さ610mの大きなタワー【石油プラットフォーム】があります。
9. 世界一高い場所にあるワインセラー
CNタワーには、世界一高い場所にあるワインセラーがあります。地上351mの高さにあるCNタワーの「天空のワインセラー」は、まさに唯一無二の存在です。一般的な地下ワインセラーと同じように、温度調節機能、チェリー製の二重扉、約9000本のワインボトルを備えています。
8. 世界有数の高さを誇る展望台
スカイポッド
画像出典:Matthew Henry
CNタワーの展望台「スカイポッド」は高さ447メートルで、世界で最も高い展望台のひとつです。スカイポッドは1976年の建設以来、最も高い展望台の称号を保持していましたが、その後2008年に上海環球金融中心(492mの展望台)に取って代わられました。CNタワーには、他にも地上346mと342mの2つの展望台があります。
7. 展望フロアのガラス床
低い方の地上約342mの展望台にあるガラス床は、床がガラス張りになっているデッキとしては世界で最も高いもののひとつです。この床は、一般的な床と比べて5倍以上の強度を持つ強化ガラスを何層にも重ねて作られています。
1994年の開業当時は、このような構造物は世界初でした。このガラスの床は、35頭のヘラジカの圧力に耐えられるそうです。ちなみに、ヘラジカのオスの体重は350〜700kgです。
6. インテリジェント照明
このタワーは、明るく色が変化する照明でも知られています。タワーのエレベーター昇降路には、下からメインポッド、そしてアンテナまで、約1,330個のLEDライトが設置されています。休日や重要なことがあった時には、照明の配色を変えています。
鳥の渡りの季節(春と秋)には、鳥のけがを防ぐために、これらの照明を通常より暗くします。
5. 現代世界の七不思議のひとつ
CNタワーは、ユネスコの世界七不思議に指定されているわけではなく、米国土木学会によって世界七不思議に分類されています。この称号を共有する他の建造物は、ゴールデン・ゲート・ブリッジ(サンフランシスコ)、パナマ運河、英仏海峡トンネル、エンパイア・ステート・ビル、イタイプ・ダム(ブラジルとパラグアイの国境を流れるパラナ川)、オランダのデルタ整備計画などです。
4. スカイポッドからナイアガラの滝が見える
晴れた日には、タワーで最も高い展望台であるスカイポッドから、有名なナイアガラの滝を眺めることができます。また、スカイポッドからは、アメリカのナイアガラ断崖のいくつかのポイントも見ることができます。同様に、少なくともトロントから西に60km離れた都市オシャワ、北に約40km離れたオンタリオ州のケネディストリートから、このタワーを見ることができます。
3. タワーからベースジャンピング
2015年、第17回パンアメリカン競技大会の開幕を数週間後に控え、フランスからバンサン・ルフェとフレッド・フーゲンという2人のプロのベースジャンパーがタワーの頂上から飛び降りました。彼らはパラシュートの助けを借りて、無事に陸地に降り立ちました。
2. タワーには定期的に雷が落ちている
落雷に見舞われたCNタワー
画像出典:Raul Heinrich
トロントのCNタワーは、世界最大級の避雷針です。毎年70〜80回の落雷を経験しています。場合によっては、この数字がさらに大きくなることもあります。2011年には、2時間足らずの間に52回の落雷がありました。
ライアソン大学【2022年にトロント州立大学に名称変更】のアリ・フセイン教授によると、このタワーは一般にマイナス電荷を帯びる低い雲に非常に近く、そのためタワーのアンテナの周りに高い電界が発生するそうです。それでも、この落雷は、構造物やその中にいる人に害を与えることはありません。
1. タワーの壁面にはタイムカプセルが埋め込まれている
1976年、タワーの落成式が行われた際、壁の一角にタイムカプセルが埋め込まれました。タイムカプセルの中には、当時のカナダ首相や州首相からの祝電など、記念品が収められています。また、トロント・スター紙やグローブ・アンド・メール紙などの全国紙のコピーも入っています。カプセルの正式な開封は2076年に予定されています。