体内の他の器官と同じように、人間の目もまた、視覚を提供する複雑なシステムです。目の動きの原理は単純なものです。つまり、光を検知し、それを電気化学的なインパルス【信号】に変えて脳に送ります。この信号の伝達にもまた、それぞれの物語があります。
これらの信号は、視神経と視覚野の間に張り巡らされた複雑な神経経路を通って脳に送られます。私たちが持っているような複雑な目は、様々な形や色、その他の複雑な作業を区別することができますが、微生物のような単純な目は光を感知するだけです。
ここまでの説明で、目がいかに重要であるかをお分かりいただけたでしょう。では、なぜ私たちは目について、よく知らないのでしょうか?この記事では、意外と知られていない、目についての事実の一部をご紹介します。
28. 人間の目には200万以上の異なる機能の構成要素があり、それがある事柄に関する知覚知識の約85%を直接担っています。
27. 両眉毛の間の皮膚は「眉間(Glabella)」と呼ばれます。「鼻根点(Naison)」とは、前頭骨と2つの鼻骨の交点で、両目の間のくぼんだ部分にあります。
人間の頭部の側面図
26. 世界経済フォーラム【グローバルかつ地域的な経済問題に取り組むために、政治、経済、学術等の各分野における指導者層の交流促進を目的とした独立・非営利団体】によると、世界人口の35%近くが適切なメガネなしでは見ることができないため、世界経済は毎年2,270億ドル以上の損失を被っているそうです。視力が低く、矯正もされていない人々は、教育において困難に直面し、就職も拒否されています。
25. 2つ以上の目を持つ動物や昆虫はたくさん存在します。クモのような動物は8~12個の目を持っています。ハコクラゲは24個の目を持っていますが、明暗を感知するだけの単純な目です。
24. 人間と犬が、なぜこれほどまでに理解し合えるのか、不思議に思ったことはありませんか?その理由のひとつは、人間と犬は地球上で唯一、目を介して視覚的な手がかりを求め合うことができる種だからなのです。
23. カメレオンは、2つの眼球を同時に別々の方向へ回転させることができます。
22. 私たちは歩行時間の10%近くを、目を完全に閉じて過ごしていることをご存知でしょうか?それは、平均的な人は1分間に15~20回まばたきをするからなのです。
21. ダチョウは、その脳に比べると、はるかに大きい目を持っています。
20. アメリカの有名なコメディアン、ベン・ターピン(1869年~1940年)は自分の目に10万ドルの保険をかけていました。内斜視の目【寄り目】で人気だったベン・ターピンは、実は高額な保険で目を保障していたのです。いずれにせよ、もし彼の目が正常になった場合、そのお金は彼のプロデューサーであるマック・セネットに支払われることになっていました。
19. 目が怖いですか?「目恐怖症」とは、目のケアに対する恐怖のことです。一般的に、この問題は、幼少期に目に関連する深刻なトラウマを負ったり、ある時点でぞっとするような映像に触れたりしたことが直接の原因となることがあります。
18. まれに「角膜輪部デルモイド」と呼ばれる良性腫瘍により、眼球の近くに小さな毛が生えることがあります。そのほかにも、この腫瘍は乱視を引き起こすことがあり、これは正常な視力がぼやけて見える一般的な目の症状です。
17. レンズを目に長時間入れ続けると、目を完全に損傷する可能性があります。数年前の2014年、台湾の女子学生が同じレンズを6ヶ月間装着し続けた結果、目を失いました。どうやら、レンズが原因で発生した微細な虫が彼女の眼球を食べてしまったようなのです。
16. 「カイザー・フライシャー角膜輪」は、眼の虹彩に暗色の環が現れる眼の疾患です。ウィルソン病として知られる極めてまれな遺伝性疾患で発生します。
角膜デスメ膜【角膜実質層の下に位置する強靭な薄い膜】上の銅の沈着
15. ニンジンで視力は改善されるでしょうか?そんなことはありません。実際には、ニンジンは他の緑黄色野菜と同じくらい「目の健康」には良い食べ物です。視力改善という神話は、おそらく第二次世界大戦中にイギリスのパイロットが、ドイツ軍にまったく新しいレーダー技術を知られないようにするために始めたものでしょう。
14. なぜ暗視ゴーグル【肉眼で確認が不可能な暗闇を映し出す光学機器】は緑色で表示するのか、ご存知ですか?それは、人間の目が他のどの色よりも緑色に敏感だからです。これは、より多くの緑色の色合いを正確に区別するのに役立ちます。
13. ツノトカゲのような一部のトカゲは、目から血を噴出し、捕食者に対する重要な防御機構として利用しています。ツノトカゲは威嚇されると、捕食者に向かって血流を噴射し、捕食者を混乱させたり怖がらせたりしようとするのです。血を噴射できるツノトカゲは、少なくとも8種が知られています。
12. 動物界で最大の目は、シロナガスクジラではなく、ダイオウイカのものです。ダイオウイカは最大の無脊椎動物としても知られ、その片目はバレーボールほどの大きさがあります。
11. 私たちの眼球は、筋肉、血管、100万本以上の神経線維からなる複雑な網で脳とつながっています。そのため、人間の眼球全体を移植することはほとんど不可能です。移植が可能なのは、角膜移植という方法による角膜だけです。
10. アオメクロキツネザル(通称クロキツネザル)は、人間を除けばおそらく霊長類の中で唯一、バリエーションに富んだ青い目を持っています。通常、彼らの目は明るいスカイブルーから、ぞっとするようなエレクトリックブルーまであります。
青い目のクロキツネザル
画像出典:Bruce McAdam
9. 医学的弱視、あるいは一般に「弱視」として知られている状態は、一般に利き目をパッチすることで治療され、弱い方の目はそれ自体で調整されます。しかし、マギル大学(カナダ)の研究者たちは、人気のあるビデオゲーム「テトリス」をうまく使って、両目を連動させることができ、パッチ適用に代わるより良い代替手段となることを発見しました。
8. 人間には色情報を収集するための3つの異なるチャンネルがあり、これは目に3つの異なる錐体細胞があることに由来します。この目の状態は3色型色覚として知られており、それによって私たちは1,000万通りの色を知覚することができるのです。
7. ニューヨーク・タイムズの記事によると、20世紀初頭に生まれたアメリカ人の約半数が青い目だったそうです。しかし、その後50年ほどでその数は3分の1にまで減少しました。21世紀には、アメリカ人の12人に2人が青い目を持っています。かなり珍しいですよね。
6. 人間の赤ちゃんの眼球は、生まれたときは、大人の眼球の約75%の大きさです。眼球内部の構造、視神経、視覚機能全体は、最初の2年間に速いペースで発達し続けます。さらに、新生児の視力は一般的に20/400程度で、徐々に向上し、2歳までに20/20になります。
5. 2012年に行われた研究によると、少数の女性は、他の人にはまったく見えない1億の色を見ることができるかもしれないということです。この状態は4色型色覚として知られており、一般的に特定の種類の魚類や鳥類に見られます。4色型色覚を持つ女性は、3つの正常な錐体細胞と、1つの変異型錐体細胞を維持していると考えられています。
4. 人間の目は何メガピクセルに相当するか、ご存知ですか?答えは、567メガピクセルです。人間の目はビデオカメラのようなもので、小さな角度の位置を高速で移動し、新しい画像を脳に送ります。目の信号を組み合わせることで、解像度はさらに向上します。
3. アルベルト・アインシュタインの脳が、彼の死後、病理学者トーマス・ハーヴェイによって体内から摘出されたことはよく知られていますが、その目も摘出されたことをご存知でしょうか?トーマス・ハーヴェイはアインシュタインの両眼球も摘出し、ヘンリー・エイブラムス【アインシュタインの眼科医】に手渡したのです。それは今、ニューヨークの金庫の中にあります。
2. 目の進化に関する研究は、1800年代初頭に科学界の注目を集めました。現在までに発見されている最古の眼球の化石は、カンブリア紀下期の約6億年前のものと考えられています。この時期は、動物門がかつてないほど多様化した時期であり、「カンブリア爆発」とも呼ばれています。
動物学者のアンドリュー・パーカーは、目の進化が現在の捕食者と被食者の関係を形成し、進化の軍拡競争を始めたと提唱しています。
目の進化の模式図
1. すべての目の色の中で、緑色はおそらく世界で最も珍しい色です。推定では、緑色の目を持つ人は世界人口のわずか2%しかいません。緑色は、実際には、穏やかな色素沈着、金色の色合い、および目の青色散乱(ウィリス・チンダル散乱)が組み合わさった結果です。