現代の天文学は、はるか彼方の惑星をかつてないほど詳細に知るという大きな喜びを私たちに与えてくれています。木星の威嚇するような大赤斑や土星の魅惑的な環など、太陽系にある地球より外側の惑星について、古代バビロニアや中国をはじめとする人類の歴史上、最もよく理解できるようになったのです。
この記事では、土星について、ご存知かもしれないことよりもずっと多くのことを紹介します。基礎知識として、土星は太陽系で2番目に大きな惑星であり、太陽から6番目に位置します。土星はローマ神話の農耕の神にちなんで名づけられました。土星は木星と多くの点で似ていますが、土星について知っておくべきことはもっとたくさんあります。それでは、土星についての事実を見ていきましょう。
土星の概要
最初の観測者:古代バビロニア人
赤道直径: 120,536 km
公転周期:29.5年
衛星の数:62個(既知で)
質量:5.6834×10の26乗kg
密度:0.687g/㎤
表面重力:10.44m/s2
画像出典:NASA
15.大きさの比較
太陽の中に、土星が約1600個収まることをご存知でしょうか? では、太陽の中に地球はいくつ収まるでしょうか? 答えは、およそ130万個です。
14. 化学組成
隣にあるガス状の木星と同様に、土星もまた、主に水素とヘリウムに囲まれた小さな岩石の核を持っています。その内核は太陽系の他の惑星よりもはるかに密度が高く、その質量は地球の22倍にもなります。
大気のほとんどが水素とヘリウムで構成されているにもかかわらず、実は土星の質量の大部分は気体相ではありません。大気中には、木星と同様に、メタン、アンモニア、重水素、エタンなどのガスの痕跡も見られます。
13. 物理的な特徴
土星は、太陽系において木星に次いで2番目に大きな惑星です。密度は地球の8分の1ですが、質量は地球の95倍以上、半径は90倍以上です。土星は、特徴的で複雑な環系【惑星の周囲を公転する塵やその他の小さな粒子が平らな円盤状の領域に分布しているリング状の構造】で有名でしょう。
土星の大気に見られる黄色とオレンジの帯は、超高速の風と大気圏上層部に流れる惑星の熱によるもので、その色調は様々です。現在、62個近くの衛星が土星の周りを回っていることが確認されており、そのうち53個が正式に命名されています。
12. 自転と公転
太陽と土星の距離は約9AU(約14億km)と推定されています。地球と比較すると、太陽の周りを1周するのに約29.5年かかることになります。土星は木星に次いで自転が早く、10時間30分に1回転します。この自転速度には、この惑星に有効な差動回転【天体の各部分が異なる角速度で回転する】の現象により数分の差があります。
11. 夜空に浮かぶ土星
土星のボンドアルベド【全入射光のうち球体によって反射された部分】は0.342で、肉眼で見ることのできる最も遠い惑星としては5番目に明るい惑星ですが、土星の環などの特徴を観察するには望遠鏡が必要です。1年の間に何度も、アンタレス星よりわずかに明るい姿を見せます。
10. 古代バビロニア人は観測していた
土星は先史時代から人類に知られていました。その動きを最初に観察し、記録したのは、おそらく古代バビロニア人でしょう。古代ギリシャ人にとってはクロノス、古代ローマ人にとってはサトゥルヌスという、いずれも農耕の神にちなんで、土星は名づけられました。最初の科学的な軌道計算のひとつは、土星が逆にあったときにプトレマイオス【古代ローマの学者】が行ったものです。
9. 最も平らな惑星である
土星は太陽系で最も平らな惑星(両極に近い)であり、その理由は密度が非常に低く、自転速度が比較的速いためです。この惑星は球状体という独特な形をしており、極域ではかなり平らになっています。
8. 雲の帯
画像出典:NASA
土星の大気は、木星と同じような帯状の模様を示していますが、土星の帯はずっと淡く、赤道付近でより広くなっています。これらの帯を表す名称は、木星と同じです。土星の、より細かい雲の模様は、1980年代のボイジャー探査機の接近通過まで観測されませんでした。最上層はほとんどがアンモニア氷で、その下の雲は、大部分が水の氷です。その下には、冷たい水素と硫黄の氷が混ざった層があります。
7. 磁場は地球より弱い
土星の磁場は、木星と違って非常に単純で、対称的な形をしています。赤道付近の磁場の強さは0.2ガウス【磁束密度の単位】程度で、地球よりも弱く、木星の20分の1程度です。土星の周囲の磁場は、中心部にある金属水素の液体層から発生する電流によるものと考えられています。磁気圏は弱いながらも、太陽から吹いてくる太陽風を偏向させる効果があります。
6. 2番目に大きな衛星、レア
レアは、1672年にジョヴァンニ・カッシーニ【イタリア出身のフランスの天文学者】が土星を観測した際に発見されました。土星で2番目に大きく、太陽系全体では9番目に大きい衛星です。2005年、科学者たちはレアに小さな環系が存在するという仮説を立てました。もしそれが証明されれば、レアは独自の環系を持つ最初の天然衛星となります。しかし、NASAのカッシーニ探査機がこの氷の衛星を何度も観測しても、結果は何も出ませんでした。
そして2010年、NASAは初めてレアの周囲に弱い外気圏を発見したことを明らかにしました。この外気圏は主に二酸化炭素と酸素で構成されており、その割合は2対5です。科学者たちは、レアの大気中に存在する酸素は、土星の磁気圏に存在するイオンによって水の氷が放射線分解された結果であると考えています。一方、二酸化炭素の起源ははっきりしないものの、おそらくレアの表面に存在する有機物に起因するものでしょう。
5. 土星の電波が伝える不気味な音
土星は、太陽系において顕著な電波発信源として古くから知られていました。2002年、カッシーニ探査機は、土星から約3億8000万km離れた土星の極から発信される謎の電波を初めて検出しました。NASAによると、これらの不気味な音は、土星の極付近で発生するオーロラと何らかの密接な関係があるとのことです。これらの電波は、44分の1に縮小されないと人間の耳で聞くことができません。
4. 土星の衛星タイタン
タイタンは、木星のガニメデに次いで太陽系で2番目に大きな衛星で、土星の既知の全62個の衛星の中では最大のものです。タイタンは他の衛星よりも大きいだけでなく、太陽の周りを回っている最小の惑星である水星をもしのぐ大きさです。その特殊な性質から、タイタンは惑星型衛星に分類されることもあります。
窒素を多く含む濃密な大気は、どことなく地球の大気に似ています。2004年、カッシーニ探査機が収集したデータから、タイタンは大気が地表よりもはるかに速い速度で回転している「超回転」である可能性が指摘されました。また、南極付近には渦があることも特徴です。
3. 雲模様と渦
土星の六角形の雲模様は、1981年に2機のボイジャー探査機が初めて発見し、2006年にはNASAのカッシーニ探査機が再び訪れ、有名になりました。土星の六角形の大きさは、それぞれの辺の長さが約14,000 kmで、10時間39分24秒の周期で1回転することから推定することができます。
また、土星には南極付近に巨大な渦があり、ハッブル宇宙望遠鏡によって初めて観測されましたが、様々なデータから北極のような強い極渦でも定在波でもないことが分かっています。NASAによれば、この極渦は過去数十億年前から存在していた可能性があるということです。北半球の六角形の内側には、もう一つの渦が存在します。
2. 土星の象徴的な環
木星から海王星まで、太陽系のガス惑星にはすべて環がありますが、その中でも土星の環は最も明るく、重要なものです。土星の環は、1600年代初頭にイタリアの天才ガリレオ・ガリレイによって発見され、1655年にクリスティアーン・ホイヘンス【オランダの数学者・物理学者・天文学者】によって初めて詳細な研究が行われました。彼は土星最大の衛星タイタンも発見しています。土星の環は、土星の赤道から約6600kmから12万700kmの範囲に広がっています。主に水で構成されており、わずかにソリンと無定形炭素が含まれています。
1. 最近の研究・調査
9億マイルの彼方、たくさんの星々の中で輝く地球。
画像出典:NASA
1979年、NASAのパイオニア11号が土星から22,000km以内に接近し、初めて土星のクローズアップ画像を得ることができました。このとき、強い磁場の存在と2つの外環が確認されました。その後、1980年から1981年にかけてボイジャーが再びこの惑星を訪れ、この巨大ガス惑星のより良い画像を得ることができました。ボイジャーはまた、新しい衛星をいくつか発見しています。
ボイジャーの後は、カッシーニが土星を詳細に調査した唯一の探査機です。カッシーニは、土星の衛星エンケラドスに液体の水が溜まっていることや、土星の衛星フェーベやタイタンの詳細な画像など、多くの貴重なデータを収集することができました。タイタンに関しては、この衛星の湖や山のユニークな画像を初めて撮影することができました。