・新しく開発された炭酸リチウム電池は、最大500回連続充電が可能です。
・バッテリーは、材料のユニークな組み合わせによって作られました。
リチウムイオン電池は、あらゆる家電製品で使用されていますが、電流には、もっと高い電気エネルギーの貯蔵システムが必要でした。
過去何年もの間、リチウムイオン電池の化学的性質(充電式炭酸リチウム電池など)は、理論上ではエネルギー密度が高いとされ、多くの注目を集めてきました。
充放電中に、リチウム電池は、多孔質カソード表面でニ酸化炭素の発生と還元反応が起こりますが、炭酸リチウム電池の電気化学反応については 長年の研究でも解明されていませんでした。
リチウムイオン電池は、炭素-酸素結合の形成と分解が不可逆で行える必要があり、最大の問題点となっていました。この度イリノイ大学シカゴ校の研究チームは、最大500回連続完全充電可能な炭酸リチウム電池を発表しました。
そのしくみとは?
これらの電池が放電すると、炭素とともに炭酸リチウムが生成されます。炭酸リチウムは充電段階でリサイクルされますが、炭素は触媒に蓄積されたままであるため、バッテリーの性能が徐々に低下します。
蓄積された炭素は次の3つのことを引き起こします。
1.触媒の活性スポットをブロックする。
2.二酸化炭素の排出が防がれる。
3.充電状態で電解質の分解が引き起こされる。
参照:: Advanced Materials |DOI:10.1002 / adma.201902518 | UIC
研究者は、この問題を克服するため炭素と炭酸リチウムの両方のリサイクルを可能にする新しい材料を使用し、イオン性ジメチルスルホキシドと二硫化モリブデンのナノフレークを組み合わせてカソード触媒としました。
この組み合わせにより、(個々の製品ではなく)マルチコンポーネント製品が製造でき、バッテリーサイクルは大幅に増加しました。かつてない材料の組み合わせにより、長寿命で充電可能な炭酸リチウム電池が完成するのです。
新しいバッテリーの寿命サイクルは、500 mAh g-1の固定容量で500回となっています。既存の炭酸リチウムバッテリーの安定性よりもはるかに優れています。実際、帯電電位は500サイクル中にほぼ12%増加しており、最初の500回連続のセルの安定した性能を確認しています。
完全充電可能なカーボンニュートラルな炭酸リチウム電池を開発したのはこれが初のこととなります。 注目すべきサイクル寿命は、複雑な炭素-酸素結合の形成と分解がエネルギー貯蔵システムで可能であることを示します。
この調査結果は、二酸化炭素を使用した次世代エネルギー貯蔵システムの開発に新しい道を開くことになるでしょう。