図書館とは、物理的または仮想的な空間に資源や貴重な情報を集め、一般の人々がアクセスできるようにしたものです。図書館の役割は、私たちの文化の重要な側面を保存し、蘇らせるために不可欠です。
世界で最も古く、最も歴史のある図書館のひとつであるエジプトのアレクサンドリア図書館は、3世紀以降、研究と学問の中心として機能していました。しかし、残念なことにこの図書館は破壊されてしまいました。これは歴史上最も大きな知識の喪失でした。
この記事では、蔵書数に基づいた、世界最大の図書館のリストを紹介します。
15. ボストン公共図書館
マッキム・ビル内の図書館の閲覧室
画像提供:Brian Johnson
蔵書数: 2,240万
年間予算:3,890万米ドル
ボストン公共図書館は、アメリカで3番目に大きく、最も重要な図書館の一つです。州と民間の両方から資金を得ており、一般市民に開放されています。
この図書館は、無料のレクチャーシリーズ、コンサート、様々なアート展示など、幅広い公開講座で知られています。また、歴史的な地図や原稿などの貴重なコレクションの多くは、オンラインで閲覧することができます。
14. ベルリン州立図書館
ベルリン州立図書館の正面
画像提供:Manfred Brückels
蔵書数:2,340万
予算:1,600万ユーロ
ベルリン州立図書館は、ドイツおよび他のドイツ語圏の国々で最も著名な学術研究センターのひとつです。
2,340万冊の蔵書のうち、1,200万冊以上が書籍(そのうち20万冊は極めて希少)、18万部の新聞、6万点の原稿、270万本のマイクロフィルムです。
この図書館には、9世紀のグーテンベルク聖書のコピーや、8世紀の日本の仏典など、世界で最も注目される書籍や写本が所蔵されています。
また、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ヨハン・セバスティアン・バッハの作品を含む、大規模で重要な音楽写本のコレクションもここにあります。
13. ロシア科学アカデミー図書館
サンクトペテルブルクにあるロシア科学アカデミー図書館
画像提供:Alex ‘Florstein’ Fedorov
蔵書数:2,650万
ロシア科学アカデミー図書館は、1682年から1725年までロシアを統治していたピョートル大帝の勅令により、1714年に設立されました。
国内最大級の国営図書館で、ロシア科学アカデミーの職員や高学歴の学者が利用しています。
1783年以降、国内のすべての研究機関と民間の出版社は、新しい出版物のコピーをこの図書館に提供することが義務付けられています。
12. スペイン国立図書館
マドリッドにあるスペイン国立図書館
画像提供:Jean-Pierre Dalbéra/Flickr
蔵書数:3,310万
年間予算:2,920万ユーロ
マドリードのパセオ・デ・レコルトス大通りにあるスペイン国立図書館は、国内で最も古く、最大の公立図書館です。1712年にスペイン国王フェリペ5世によって宮殿公共図書館として設立されました。
法律により、国内の出版社は印刷された本のコピーをこの図書館に提出することが義務付けられました。1836年に図書館の名称が現在の名称に変更されました。
国立図書館としての責務は、国の文化遺産として貴重な学術資料を収集し、保管することです。
1,500万冊以上の書籍、450万点以上の画像・グラフィック資料、50万点以上の音声記録、その他重要な文書を所蔵しています。
11. ドイツ国立図書館
ライプツィヒにあるドイツ国立図書館の建物
画像提供:Trainspotter/Wikimedia Commons
蔵書数:3,270万
年間予算:5,230万ユーロ
ドイツ国立図書館は、1913年以降にドイツ語で出版された雑誌や書籍を含むすべての学術資料を収集・保管するために1912年に設立されました。
ドイツ国内だけでなく、海外で出版されたすべてのドイツ語の出版物が対象となります。また、ドイツ語から他の言語に翻訳された書籍も対象となります。
この図書館には、現在のところ、フランクフルトとライプツィヒの2つの運営施設があります。どちらも異なる分野に特化しています。ベルリンには3つ目の施設があって、オーディオ資料のアーカイブを担当していました。しかし、2010年にライプツィヒの施設と統合されました。
10. デンマーク王立図書館
デンマーク、スロッツホルメンにあるデンマーク王立図書館
画像提供:Arne List/Flickr
蔵書数:3,540万
年間予算:3億8,590万デンマーククローネ
デンマーク王立図書館は、ノルディック地域(北欧諸国)で最大の規模を誇ります。17世紀にフレデリク3世によって設立されました。それ以来、国内のほぼすべての印刷物のコピーがここに保管されています。
注目を集めた数件の寄付により、この図書館は現在、ヨハン・スネル【ドイツ人の印刷業者】が最初に印刷した本(1482年頃)を含む、デンマークの歴史上知られているほぼすべての出版物を所蔵しています。
2015年現在、この図書館のコレクションは3,540万点に上り、そのうち約2,000万点が文書や画像、640万点が書籍や雑誌、残りが歴史的なパンフレットや企業の出版物などです。また、図書館のデジタルコレクションは791テラバイトに達しています。
9. ロシア国立図書館
ロシア国立図書館の新館
画像提供:Alex “Florstein” Fedorov
蔵書数:3,650万
年間予算:5億7000万ルーブル
サンクトペテルブルクにあるロシア国立図書館は、ロシアにおいて最初で最古の公共図書館です(ただし、最大ではない)。ロシア国立図書館(モスクワ)、ロシア科学アカデミー図書館とともに、国内の出版物の法定寄託の役割を果たしています。
この図書館には、国の文化や国家遺産に関する膨大な量の文書、雑誌、原稿が所蔵されています。3,600万点のうち、1,500万点は単なる書籍です。その他、雑誌、新聞、公文書、音声、データベース、地図、その他のメディアを所蔵しています。
8. 中国国家図書館
中国国家図書館の南側外観
蔵書数:3,770万
中国国家図書館は、蔵書数ではアジア最大、世界でも有数の規模を誇る図書館です。当初は清朝時代の1909年に設立され、3年後の1912年に正式に発足しました。
1928年に「国立北平図書館」に改称され、1987年に「中国国家図書館」に改称されました。
この図書館には多くの貴重な中国文学作品が保管されています。また、紀元前16世紀に刻まれた骨や貝殻、現存する最古の漢方雑誌、各種の古地図や図面などの貴重な資料も所蔵しています。
100を超える異なる言語での国連およびその他の外国政府のものを含む最新の出版物もあります。
7. フランス国立図書館
画像提供:Vincent Desjardins
蔵書数:4,000万
年間予算:2億5400万ユーロ
フランス国立図書館(BnF)では、フランス国内のすべての出版物を入手することができます。また、歴史的資料のコレクションも充実しています。
この図書館の「Gallica」というデジタルリポジトリ【貯蔵庫】では、420万点以上の文書、50万冊の書籍、200万点近くの新聞記事や雑誌にアクセスすることができます。
BnFの起源は、1368年にシャルル5世がルーヴル宮殿に設立した王立図書館にさかのぼります。現在の図書館の大部分は、フランソワ・ミッテラン大統領の下で1998年に行われた拡張工事で建てられたものです。
6. 国立国会図書館
国立国会図書館の2つの主要施設のうちの1つ
画像提供:Wikimedia Commons
蔵書数:4,190万
年間予算:218億円
国立国会図書館(NDL)は、日本国立の図書館です。1948年、衆議院と貴族院(現在の参議院)の2つの国有機関が統合されて設立されたもので、選挙で選ばれた議員のための図書館です。
NDLは国内最大の図書館として、国内外の外国語出版物の膨大なコレクションを保有しています。また、戦後の日本における連合軍の占領期間中に発行された3,000万点の文書、約50万点の先端科学書、約50万点の地図なども所蔵しています。
東京と京都に2つの主要な施設があるほか、日本全国にいくつかの小さな施設が点在しています。
5. ロシア国立図書館(モスクワ)
画像提供:Vladimir Tokarev
蔵書数:4,720万
年間予算:16億ルーブル
ロシア国立図書館は、モスクワにある国内最大の図書館です。1862年7月1日に設立され、ロシアの首都で最も古い図書館でもあります。
この歴史的な図書館には、4,400万点もの膨大な資料が収蔵されており、そのうち1,700万点が書籍、1,300万点が雑誌で、247以上の言語の文献が収められています。また、約35万点のオーディオと15万点の地図も所蔵しています。
国内に3つある法定預託図書館の1つです。1920年代からソビエト連邦崩壊の1991年まで、旧ソ連で出版されたすべての書籍のコピーがここに保管されています。この方法は今でも使われています。
4. カナダ国立図書館・文書館
カナダ国立図書館・文書館本部
画像提供:Padraic Ryan
蔵書数:5,400万
年間予算:1億1690万カナダドル
カナダ国立図書館・文書館(LAC)は、カナダの文化遺産を保存し、簡単に利用できるようにすることを目的としたカナダの国家機関です。
2004年にカナダ図書館公文書館法に基づいて、国立公文書館とカナダ国立図書館が合併して設立されました。
LACには、2,000万冊以上の書籍、2,400万点以上の画像、そして1ペタバイトという驚異的なデジタル化されたコンテンツが所蔵されています。この図書館のオンラインリポジトリで公開されている最も重要なコレクションには、カナダ憲法制定法の公布や英領北アメリカ協定などがあります。
3. ニューヨーク公共図書館
ニューヨーク公共図書館 (スティーブン・A・シュワルツマン・ビルディング)
蔵書数:5,500万
年間予算:3億200万米ドル
ニューヨーク公共図書館(NYPL)は、ニューヨーク市によって運営されている公共図書館のチェーンで、世界で3番目、米国では2番目に大きい図書館です。
その開放的な性質のため、毎年約1,800万人の人々が訪れ、NYPLは世界で最も訪問者数の多い図書館となっています。
現在、NYPLの分館は、マンハッタンに41、ブロンクスに35、残りはスタテン島にあり、市内全域で89の分館が運営されています。2016年6月には、マンハッタンに新しい分館が発足しました。また、4つのオープンアクセスの研究図書館があります。
NYPLのデジタルコレクションには、近年デジタル化された70万点以上の画像が含まれています。2006年には、タイム誌の「50 Coolest Websites of 2005」に選ばれました。
2. アメリカ議会図書館
画像提供:loc.gov
蔵書数:1億6800万以上
年間予算:6億4,240万米ドル
世界で最も象徴的な図書館のひとつであるアメリカ議会図書館は、アメリカ合衆国の国立図書館です。ワシントンD.C.の歴史的地区であるキャピトル・ヒルに位置しています。
この図書館のコレクションは全世界にわたっており、470の異なる言語で書かれた3900万冊の書籍を含む1億6800万点以上の資料を所蔵しています。さらに、約7,000万点の貴重な原稿、1,400万点以上の視覚資料、560万点の地図、400万点の音声・音響資料も所蔵しています。
毎年、この図書館は最も重要なコレクションのデジタル化のために600〜800万ドルの資金を特別に受け取っています。これまでに約1,500万点の資料がデジタル化されていますが、その数は図書館の総資料数の10%にも満たないものです。
また、米国議会の議事録にオンラインでアクセスすることができ、その中には要約、法案のテキスト、米国憲法が含まれています。
1. 大英図書館
蔵書数:1億7000万
年間予算:1億4100万ポンド
ロンドンのユーストン・ロードにある大英図書館は、今のところ世界最大の図書館です。1973年以前は、有名な大英博物館の一部でしたが、1972年の図書館法により分離されました。
その後、現在の場所に移されるまでの数年間は、すべてのコレクションがロンドン中心部の様々な施設に置かれていました。
この図書館の最も重要なコレクションには、ロバート・コットン卿【政治家、1571年~1631年】やハンス・スローン卿【医師、1660年~1753年】の貴重な手稿が含まれています。また、キングズ・ライブラリー(ジョージ3世が集めた書籍や学術論文のコレクション)やその他の王室の原稿も所蔵しています。
大英図書館は、オンラインでも重要な役割を果たしています。オンライン・イメージ・ギャラリーでは、古代・中世の書物からの3万枚以上の写真を見ることができ、レオナルド・ダ・ヴィンチのノートのような有名な書物や文書のユニークな「仮想ページをめくる」機能もあります。