・研究者たちは、人間の骨が筋肉を壊したり痛めたりせずに耐えられる重力の大きさを計算しました。
・そのモデルでは、人間は最大で約5g (もしくは 49 m/s²)の重力に耐えられると出ました。
・健康で下半身の筋肉が発達している人なら、このような環境下でも普通に生活できると予測されます。
住むことができる太陽系外惑星が次々と発見される中、人類が移住するのに適した物理パラメータを検討する必要があります。ここでは、惑星の基本的なパラメータである「重力」の話をします。
圧力、温度、大気の組成も重要な要素ですが、これらは最新の宇宙服で対応できます。そして、重力は、ある地点から別の地点まで、まっすぐ立って普通の速度で快適に移動できるかどうかを決定する重要な要素です。
近年、クロアチアのザグレブ大学の研究者たちは、人間の骨が筋肉を壊したり痛めたりせずに耐えられる重力の大きさを測定しました。将来の惑星外生物学に物理的な考察を加えることで、彼らは「一部の」人間が最大約5 g(もしくは 49 m/s²)の重力に耐えられると推測しました。
地球の重力は1g(9.81m/s²)で、これは地表に静止している物体が受ける力です。もし、地球の重力が大きければ、体はより大きな力で下に引っ張られることになります。
研究発表によると、この研究は、居住可能な太陽系外惑星を絞り込み、宇宙で時間の経過とともに人類に何が起こるかを予測するために利用される可能性があります。2018年1月現在、天文学者は合計3605個の太陽系外惑星を確認していますが、そのうち469個は重力の上限が5gの質量と半径があって、これらの惑星だけが人類が住むことができます。
この計算では、宇宙服やテクノロジーは一切考慮されていません。それらを使えば、もっと住める場所が増えるかもしれませんが、一生宇宙服で歩き回るのはかなり非現実的です。
強い重力は人体にどう影響するのか?
数理モデルを用いて、地球の重力(1g)よりも強い重力の下で、人間の骨がどのように変化するかを検証しました。重力は、休んでいるときよりも、歩いているときや走っているときの方がはるかに負担が大きいので、10gの重力があれば、速いスピードで動いている人の骨にひびが入るという結論が出ました。
画像元: Mars Society MRDS
5gで血圧や血液量が上がり、疲労感、吐き気、めまいを引き起こす可能性はありますが、我慢できる範囲と予想されます。だからといって、誰でも宇宙に行って、快適に暮らせるというわけではありません。
人間の筋肉が地面から体を持ち上げられなくなる限界や、骨格が壊れる臨界点などを入念に調べました。また、歩行やランニングのエネルギー消費について、脚を逆振り子としてモデル化しました。どちらの方法論も、アスリートが(厳しい訓練を受ければ)5g以下の重力で通常の運動ができることを示している。
研究者らは、(特定のスポーツだけを訓練した)アスリートは、他の人よりも高重力環境下で優れたパフォーマンスを発揮しやすいと述べています。健康で、下半身の筋肉が発達している人(歩くのに役立つ)は、厳しい条件下でも普通に生活できるかも知れません。長距離ランナー、アイススケート選手、競輪選手などは、かなり有利になるのではないでしょうか。