軍隊が戦闘や人員輸送のために使用する車両は、軍用車両として区別されます。第二次世界大戦後、これらの機械をより効率的かつ効果的にするために、新しい技術が徹底的に導入されました。
21世紀初頭には、より高性能な新型の車両が世界中の軍隊で活躍するようになりました。この記事では、そのような最新鋭機と、これからの地上戦で権勢を振るうであろう未来型軍用車両を紹介します。
10. RMMVサバイバーR
DSEi 2015に展示されたRMMVサバイバーR(救急車)の形状
出典:Wikimedia Commons
製造元:RMMV/Achleitner
RMMVサバイバーRは、Achleitner社(オーストリア)とRheinmetall MAN Military Vehicles社が共同開発した多機能装甲車です。サバイバーRには、指揮統制、CBRN(化学、生物、放射線、核)戦、救急車の3種類の形状があります。
この車両は、340馬力と1250トルクを発生する高硫黄燃料耐性6気筒ディーゼルエンジンを搭載しています。12速フルオートマチックトランスミッションとセントラルタイヤインフレーションシステムを装備しています。
装甲と火力:サバイバーRの装甲車室は、NATOの軍用車両の保護基準(STANAG)に適合し、良好な積載重量比を実現しています。サバイバーRの指揮統制タイプには、50口径とグレネードランチャーを装備したリモートウェポンシステム【RWS:遠隔操作によって照準・発射するシステム】を搭載することが可能です。
9. ポラリスMRZR
フォートブラッグ【米国ノースカロライナ州にある世界最大の軍事施設】の慣熟訓練コースでMRZR Light Tactical Vehicleを運転する第82空挺師団の米軍落下傘兵
製造元:ポラリス・インダストリーズ
ミリタリー/マリンRZR(MRZR)は、現在アメリカ海兵隊やアメリカ陸軍特殊作戦部隊で使用されている全天候型の超軽量機動車です。ベルV-22オスプレイをはじめ、ほぼすべての軍用機で長距離を移動できるのが特長です。部隊の輸送や遠隔地での後方支援にかなり有効であることが証明されています。積載量は約680kg。
8. イヴェコ・スーパーAV
イヴェコ・スーパーAV
製造元:イヴェコ/BAEシステムズ
イヴェコ・スーパーAVは、イタリアのメーカーであるイヴェコS.p.A.が開発した水陸両用装甲兵員輸送車で、水上で最速10km/hで走行できるうえ、作戦範囲は64kmに及びます。積載量は約9トン。
2018年、アメリカ海兵隊は、現在運用されている強襲水陸両用車AAVP7A1 RAM/RSが、スーパーAVの改良型(BAEシステムズ社製)に置き換わると発表しました。
保護と武装:装甲車は、地雷や簡易爆弾に対する基本的な防護を提供します。必要であれば、遠隔操作の武器ステーションやタレットを収容することができます。スーパーAVの改良型(海兵隊)バージョンは、水上での性能と全体的な保護性能を向上させるために形状が変更されました。
7. 統合軽戦術車両
リモート・ウェポン・ステーションM2A1 .50機関銃を装備したオシュコシュL-ATV
画像出典:オシュコシュ・ディフェンス
製造元:オシュコシュ・ディフェンス
JLTV(Joint Light Tactical Vehicleの略【統合軽戦術車両】)は、現在アメリカ軍で広く使用されている軽汎用車ハンヴィーに代わる長期プロジェクトの一部です。JLTVは、極めて高いオフロード性能を持つ機動部隊です。ハンヴィー同様、様々な役割・構成で配備することが可能です。
1台のJLTVには、2つの装甲キット(Aキット/Bキット)が用意されています。Aキットは工場出荷時に装着されており、限定的または基本的な保護性能を提供します。Bキットは、追加シールドのためにインストール(およびアンインストール)することができます。
車体には最新の電子監視技術が搭載されており、内部故障が発生した場合、オペレーターに警告を発します。全体として、JLTVはハンヴィーやほとんどすべての地雷抵抗性待ち伏せ防護車両よりも軽く、小さく、優れた保護性能を備えています。
6. ブラックナイト
ブラックナイト無人戦闘車両
製造元:BAEシステムズ
ステータス:プロトタイプ
長年にわたり、各国政府は防衛関連企業とともに、人間の存在が潜在的に危険または不可能な状況から、効果的に人間のオペレーターに取って代わることができる技術をテストしています。ブラックナイトは、そのような技術のひとつです。
無人の装甲戦闘車両「ブラックナイト」は、BAEシステムズ社が積極的に開発しているもので、将来的には軍のために探査や情報収集などの作業を遠隔で行う予定です。
この車両は、安全な距離からブラッドレー戦闘車内のオペレーターが制御することができる一方、降車した兵士が制御することも可能です。ルート計画やナビゲーションなど、ミッションクリティカルなタスクの多くは、この車両が人の手を借りずに行うことができます。
ブラックナイトには30mm砲と7.62mm重機関銃が搭載されています。
5. アクティブ・ディナイアル・システム
稼働中のアクティブ・ディナイアル・システムのユニット
製造元:米軍/レイセオン社
アクティブ・ディナイアル・システム(ADS)【対人兵器システム】は、米国が開発したエネルギー兵器で、暴動鎮圧や領域拒否などの様々な用途に使用されます。かなり遠距離から人間を加熱し、痛みを与えるという仕組みになっています。
起動すると、95GHzの高出力指向性ビームをターゲットに向けて発射します。このADSは、第2度の火傷を引き起こすことが知られているものの、皮膚の最表層(深さ約0.4mm)を貫通するだけです。
2010年にアフガニスタン戦争に投入されましたが、前線で活躍することなく回収されました。
4. S-400トライアンフ
シリアのクメイミム空軍基地にて、S-400 SAM発射台2基とレーダー誘導装置
画像出典:Mil.ru
製造元:MKBファケル【ロシア政府所有の航空宇宙防衛企業】
ロシア製のS-400トライアンフは、現在運用されている最も先進的な防空ミサイルシステムの1つです。1つのS-400ユニットは、6つの地対空ミサイル(SAM)システム、戦闘管理システム、その他いくつかの支援車両で構成されています。
S-400の目標探知距離は600km(ステルスの場合は150km)で、約300の目標を同時に追尾することができるうえ、高高度探知機(96L6Eレーダー)により、航空機の探知能力も向上しています。
ミサイルは、射程400km近い40N6E、射程250kmの48N6、射程200kmの9M96E2、射程40kmの9M96Eの4種類を搭載することができます。
3. 電子戦戦術車両
ユマ試験場にて、EWTVの前に立つ第1騎兵師団第3旅団戦闘チームの米軍兵士たち
画像出典:アメリカ陸軍
設計者:SRCTec, Inc
電子戦戦術車両(EWTV)は、アメリカ陸軍のために開発されたトラック搭載型の電子戦システムです。現在、陸軍が対RCIED(無線制御即席爆発装置)用として使用している電子戦システム「CREW Duke」を改良したものが搭載されています。
EWTVは、ドローンやIEDを含む幅広い周波数帯の敵の通信を検知し、妨害することができます。EWTVは、妨害を行うため、敵のセンサーやその後の空爆に弱いため、探知されやすい高出力放送よりも「精密」なターゲティングに重点を置いています。
電子機器とその制御装置を保護するため、座席と底部に防爆対策を施したMRAP(mine-resistant ambush protectedの略【耐地雷・伏撃防護車両】)装甲車両を採用しています。
2. Krasukha-4電子戦システム
Krasukha-4電子戦システムの展示
画像出典:Vitaly V. Kuzmin
製造元:KRET/BAZ
Krasukha-4は、おそらく世界で最も堅牢なトラック搭載型電子戦システムです。300kmの射程距離を持つこのロシアの電子戦システムは、AWACS【早期警戒システムを搭載した空中警戒管制システム】や低軌道衛星さえも効果的に破壊することができます。
レーダー誘導ミサイルや無人航空機、地上レーダーなどの敵の監視システムを、その範囲内で完全に無力化することができるほど強力なシステムです。すべてのセットアップは、V12ディーゼルエンジンを搭載したBAZ-6910-022四軸砲兵トラクターに搭載されています。
Krasukha-4電子戦システムは、シリアでロシア軍によって積極的に使用されています。
1. ストライカー
アメリカ陸軍ストライカーATGMミサイル発射の様子
画像出典:アメリカ陸軍/Flickr
製造元:ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ社
IAVストライカーは、豊富な武装と容易に展開できる機動性を兼ね備えた装甲戦闘車両の総称で、IFV(歩兵戦闘車)とAPC(装甲兵員輸送車)のハイブリッドです。ストライカーはコンピュータ(電子機器)を駆使し、敵味方の区別なく目標物を追跡することができます。また、赤外線画像処理能力は他の装甲車をはるかに凌駕しています。
武装:ストライカー装甲車の前部船体は、重機関銃(14.5mm)弾を防ぐことができます。RWSプロテクターM151 RWS (.50 M2および7.62 mm M240機関銃)を装着することができます。M1128型は105mm戦車砲を装備しています。