・新しいプラズマ加速器は、わずか20センチメートルで最大78億電子ボルトの電子ビームを生成できます。
・この記録は、今までにプラズマ加速器で生成したエネルギーの最大記録(2014年)の、約2倍にもなります。
宇宙の謎を明らかにするためには、電子と陽電子(電子の反物質)を極端なエネルギーまで加速できる、粒子衝突型加速器を開発することが重要です。
現在の技術で、粒子加速器は、ビームあたり6.5テラ電子ボルト(TeV)のエネルギーを達成できます。しかし、機械はとても大きく(長さ32㎞)、高価です。目標は、加速能力に妥協せず、サイズと値段を下げることでしょう。
現在、 Berkeley Lab Laser Accelerator(BELLA)センターの研究員は、20センチの長さのプラズマで最大78億電子ボルト(GeV)のエネルギーの電子ビームを生成できる、レーザープラズマ加速器を組み立てています。これには、従来の加速器を使用した、92メートルの長さが必要です。
2014年に、同じ研究所の研究員は、最大4.25 GeVの電子ビームを生産しています。この時、前に記録されたプラズマ加速によって生成されるエネルギーの、約2倍の記録を出しました。
プラズマ加速器とは、正確には何ですか?
プラズマ加速器とは、電子プラズマ波に関連する電界を使用して、電子、陽電子、イオンなどの荷電粒子を加速する高度な機械です。
プラズマ加速器の構造は、高エネルギー粒子ビーム、または超短レーザーパルスを使用し開発されました。これらの機械は、従来の加速器よりも、数千倍強い電界でプラズマ波を生成することができるかもしれません。
プラズマ加速技術は、高エネルギー物理学から産業および医療用途に至るまで、さまざまな用途向けの、コンパクトで手頃な価格の加速器の革新の一助を担うでしょう。
80億電子ボルトまでの、電子ビームの加速
この研究で研究員は、レーザーパルスの自然な広がりを防ぐ新しい種類のプラズマ導波路を使用しました。彼らは、ガス(灰色)で満たされたサファイアチューブ内にプラズマチャネルの電子密度プロファイル(青)を作成しました。
また、彼らは密度をコントロールするために、“ヒーター”レーザーパルスを使用して、中央に少量のプラズマを掘り出しました。放電と8ナノ秒の長さのレーザーパルス(黄色、オレンジ、赤色)の組み合わせにより、プラズマチャネルは20センチの加速器の長さで、0〜78億電子ボルトの電子ビームを生成するのに十分な強度になりました。
エネルギーゲインの増加に加えて、プラズマ密度を下げると、暗電流を軽減できます。研究員は次の研究で、プラズマ波への電子注入を正確に制御して、優れたビーム品質を得ることにチャレンジします。また彼らは、複数のステージを(連続して)統合し、より高いエネルギーに達するでしょう。