特殊部隊、または特殊作戦部隊とは高度に訓練された軍隊であり、国の政治や経済に関わる、通常では考えられないようなミッションや隠密行動を任務とする。
戦争の歴史を振り返ると、伝統的な戦闘ではなく隠密行動を専門とするユニークな部隊が様々に存在する。例えば、ローマでは小さなカモフラージュされた船を使って兵隊が偵察や作戦を行っていた。
十字軍の闘いでは、ムスリム軍はカモフラージュ船を使って機密情報収集や敵船の襲撃をした。日本では、「忍者」が特殊部隊としてスパイ活動や暗殺をしていた。
普通の軍隊とは全く異なったユニークなものであり、我々のリストもそうなっている。訓練や武器、業績に基づいて世界で最も危険な特殊部隊16選を作成した。
16位 SSG-パキスタン
前首相シャヒド・カカーン・アッバースィーがパキスタンの特殊部隊の本部を訪れた時のもの
タイプ:特殊作戦部隊
役割:非対称戦争、直接行動、対テロ、国防
特殊サービス部隊であるSSGパキスタンは19バルーチと312ガリソンという2つのグループが統合され、1956年に結成された。SSGの新人トレーニングと戦場での戦略は、冷戦時対ソ連の米国特殊部隊のやり方を踏襲している。
第二次印パ戦争のきっかけとなったジブラルタル作戦はSSGの最初の任務執行であった。国境での対テロ活動も度々実施している。中国軍との合同軍事演習も定期的に実施し、他国の特殊部隊とも共同訓練を行っている。
ステア―AUGやM4カービンなどの最新兵器が配備されている。
15位 GIS-イタリア
海外軍事活動に向かう迷彩服に身を包んだGIS
タイプ:特殊作戦部隊
役割:対テロ、警察組織
イタリアは1978年にイタリア軍警察の中に戦略的対テロ組織を結成した。この特殊介入部隊はイタリアにおける特殊エリート部隊へと成長を遂げた。何年にもわたり組織は何度も対テロ行動を実施し、要人警護の任務を務めている。
この特殊部隊は射撃術のレベルの高さで有名である。通常GISのスナイパーチームは、マウザー86SRを携行する二人のオペレーターと、ヘックラー&コッホPSG1を携える偵察一人で構成されている。
GISはイタリアの特殊部隊である第9落下傘強襲連帯とCOMSUBIN(潜水奇襲攻撃部隊)とともに、中東とアフガニスタンにおける救助・特別作戦を何度も実施している。
14位 GIGN-フランス
2018年6月のデモンストレーション
タイプ:警察戦略ユニット
役割:特別任務、対テロ、警察組織
1971年にクレルヴォー監獄の反乱、翌年にはミュンヘンオリンピック事件が起こり、フランス政府はテロリストの攻撃と人質事件への継続的な警戒の必要性を感じ、1974年にフランス軍の一組織として国家憲兵隊治安介入部隊を結成した。
GIGNは敵対状況や人質救助、対テロ作戦時の迅速な対応と戦闘能力の高さで知られている。GIGNの質の高さは1994年のテロ事件の時に発揮された。最も成功した人質救助任務と言っても良いだろう。エールフランス8986便の乗客200人以上が救助され、テロリスト4人が殺害された。
指揮官・副指揮官の下に管理官が配置され、6つのユニットで構成されている。突撃隊は4つの小隊でできており、それぞれに24人のオペレーターがいる。機密情報収集や調査などは他組織がサポートする。
13位 EKO コブラ-オーストリア
EKO コブラの隊員が空中訓練でライフルを構える様子
タイプ:警察戦略ユニット
役割:対テロ、警察組織
EKO(ドイツ語:Einsatzkommando)コブラはオーストリアの対テロ特殊部隊であり、1972年のミュンヘンオリンピック事件を受けて1978年に組織された。半自治的組織であり、オーストリア連邦内務省の直轄下にある。
EKOコブラは様々な人質救助作戦に関わってきた。1996年アエロフロート・ロシア航空Tu-154のハイジャック事件は、特殊部隊が飛行中のハイジャック事件を解決した唯一の事件である。
EKO軍が使用している武器のほとんどはオーストリア製であり、グロックやステア―などが挙げられる。
本部は南オーストリアのウィーナー・ノイシュタットにあり、グラーツ、リンツ、ザルツブルク、インスブルックに拠点がある。
12位 GSG9-ドイツ
GSG9隊がドイツのビルを懸垂下降する様子
タイプ:警察戦略ユニット
役割:対テロ、特殊警察組織
1972年9月5日、パレスチナのテロ組織である「黒い九月」がミュンヘンで開催された夏のオリンピックを襲撃し、選手を拉致。ドイツ人警察官と11人の選手を殺害した。
当時ドイツ警察はテロに対する十分な訓練や装備を備えていなかったことからかなりの批判を浴びた。1年後、ドイツ政府は二度と同じような事件が起きないよう第9国境警備群GSG9を創設した。
GSG9の情報によると、国内外で対テロや人質救助活動を様々に行っている。そのような任務において新しい戦略や手法を試すことでも有名である。
GSG9が使う武器はドイツ製・アメリカ製のものがほとんどである。
11位 JW GROM-ポーランド
アメリカ海軍の特殊部隊であるネイビーシールズとGROMのポーランドにおける合同乗船訓練
タイプ:特殊部隊
役割:対テロ、不正規戦争、直接行動
JW GROMは「雷鳴」を意味し、ポーランドの対テロ組織である。ポーランド特別軍の特殊歩兵コマンドの指揮下にある5つの特殊部隊のうちの1つ。1990年に設立された。設立当初はイギリスの特殊空挺部隊(SAS)、アメリカのデルタフォース、SEALsから着想を得ている。
1991年から2004年、JW GROMは世界中でハイチの民主主義擁護作戦やイラク侵攻を含む20以上の対テロ・平和任務をこなしている。
10位 サイェレット・マトカル-イスラエル
タイプ:サイェレット
役割:対テロ、人質救助、特殊偵察作戦
サイェレットはイスラエル国防軍(IDF)の特殊部隊である。キビヤの虐殺後、当時、イスラエル海軍の特殊部隊シャイェテット13に加えてIDFの唯一の特殊部隊であった第101部隊の解散後に創設された。イギリス陸軍の特殊空挺部隊(SAS)をモデルとしている。
北アフリカにおける敵を理解するために、アラブの遊牧民族であるベドウィンから特別な訓練を受けている。
エンテベ空港奇襲作戦はサイェレット・マトカルの名と能力を世界に知らしめた。サイェレット・マトカルの突撃隊員を含む100人ものイスラエル兵が、ウガンダのエンテベ空港に向かった飛行機のハイジャック犯と数人の人質を殺害した。
9位 MARCOS-インド
2013年海軍の日にコチにてヘリコプターHALドゥルーヴが飛ぶ様子
タイプ:特殊作戦部隊
役割:水陸両用、直接行動、対テロ、戦闘捜索救難
MARCOSは海軍特殊部隊として知られ、インド海軍のエリート部隊である。潜水、対テロ、偵察、不正規戦争など様々な特殊作戦の専用部隊として作られた。1987年に創設された後、MARCOSは重要な戦闘に関わっている。
アメリカ海軍SEALsやイギリス陸軍の特殊空挺部隊(SAS)、ロシアの特殊部隊など他国の特殊部隊と合同訓練をし、ハイオクタントレーニングなどを積極的に取り入れている。
市井ではひげを生やして変装しているため、テロ集団からは「ひげを生やした軍」を意味する”Dadiwala Fuji”という別名で呼ばれている。
8位 JTF2-カナダ
マニトバの演習でのJFT2の兵
タイプ:特殊作戦部隊
役割:対テロ、特殊作戦
JTF2はハイチ、アフガニスタン、イラクで成功を収めている。アフガニスタンでの作戦は秘密裏に実行され、カナダの首相もJTF2が関わっていることを知らなかった。組織の歴史は浅いが、世界の最も優れた特殊部隊の1つにまで成長した。JTF2(統合タスクフォース2)はカナダ統合軍の国際特殊部隊タスクフォースの下にあるエリート部隊である。1993年に対テロを目的とした専用部隊として組織されたが、他の責務にもかかわる組織へと発展している。
もちろん、最新のハイテクな武器や装置を備えている。
7位 ニュージーランド特殊空挺部隊-ニュージーランド
NZSASの本部の兵が戦隊のマスコットと映る写真(1955年)
タイプ:特殊部隊
役割:直接行動、不正規戦争、対テロ、特殊偵察
ニュージーランド特殊空挺部隊(NZSAS)は「ニュージーランド国防軍の特別戦闘部隊」である。特別任務と対テロ作戦を担う。NZSASは公式には1955年に設立されたが、その起源は第二次世界大戦において、北アフリカの砂漠で活躍した、イギリス連邦の伝説的な長距離砂漠挺身隊までたどることができる。
NZSASは設立以来、1955年マレー、1962年タイ、1965年ボルネオなど様々な場所で活躍している。ベトナム戦争時はオーストラリアSAS連隊とともに重要な役割を果たした。2009年には、NZSASはアフガニスタン警察の援助の下、カブールでの対反乱作戦に関わっている。
6位 オーストラリア特殊空挺部隊―オーストラリア
SASRの候補生がチームビルディングトレーニングに参加する様子
タイプ:特殊部隊
役割:対外作戦、特殊偵察
ほとんどの特殊部隊とは異なり、SASRは海軍ではなくオーストラリア陸軍に所属する重要な組織である。SASRは第二次世界大戦後すぐに解散となったオーストラリア偵察部隊の初期の経験を基に、1957年に設立された。
SASRに所属する隊員は小チームでの超隠密任務や調査を行う一方で大チームでの襲撃も行う。何年にもわたりSASRは国内外での平和維持活動や対テロ作戦を行ってきた。
通常の戦闘に加え、SASRは対テロ能力の維持にも責務を負う。また、アボリジニの軍部隊を訓練したり、オーストラリア市民の復興を助けたり、人道支援などの活動もしている。
5位 デルタフォース-アメリカ合衆国
陸軍大将のノーマン・シュワルツコフの身辺警護を務めるデルタフォースのボディガード
タイプ:特殊作戦部隊、特殊任務部隊
役割:対テロ、特殊偵察、人質救助、直接行動
デルタフォースは第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊の通称であり、アメリカ陸軍の対テロ、人質救助、重要人の偵察を担う部隊である。1970年代中頃の複数回にわたるテロ攻撃の後、97年に組織された。
部隊の創設は、マレー危機の間英国のSAS第22連隊へ交換将校として派遣された経験のある、初代司令官チャールズ・ベックウィズの構想が元である。彼は、対テロ任務を専門とする、順応性・自主性を備えた少数精鋭の組織を目的とした。
デルタフォース退役陸軍曹長のポール・ハウがデルタフォースの選抜訓練における高い脱落率についてあるインタビューで語っている。2クラスの全240人のうち、12~14人の候補生しか残らないようだ。
4位 アルファ部隊-ロシア
ウラジーミル・プーチン(ロシア首相)がチェチェン共和国来訪時にアルファ部隊の隊員と握手をする様子
タイプ:特殊部隊
役割:対テロ、警察組織、人質救助、直接行動
「Spetsnaz(スペツナズ)」とは何かと思う人もいるかもしれない。Spetsnazとはソ連・ロシアの特殊任務部隊の通称であり、公式名はロシア連邦保安庁特殊任務センター「A」局という、ロシアのエリート特殊部隊である。1974年ソ連のKGBによって補助軍的な隠密行動を任務とする組織として創設された。アルファ部隊は世界で最も攻撃的な部隊の一つとして知られる。
ソ連時代、アルファ部隊はアフガニスタン、レバノン、バルト海領域における軍事的介入に関わった。国内では主要な対テロ/人質救助に関わっており、代表的なものとしてモスクワ劇場占拠事件(2002年)、ベスラン学校占拠事件(2004年)などがある。
3位 シャイェテット13-イスラエル
シャイェテット13の訓練の様子
タイプ:海上サイェレット
役割:特殊任務、破壊工作、対テロ
シャイェテット13はイスラエル国防軍のベテラン特殊部隊である。1948年に創設され、20世紀後半にかけて重要な任務をこなしている。彼らの目覚ましい活躍の一つに、1972年のイスラエルの選手が攻撃されたミュンヘンオリンピック事件に関わった者の制圧がある。
何年にもわたり、海上の機密情報収集、海上人質救助、対テロ活動、破壊工作、海上保安などの能力を磨いてきた。イギリスの特殊空挺部隊(SAS)や米国のSEALsとよく比較される。
2位 ネイビーシールズ-アメリカ合衆国
SCARライフルを構えた隊員が訓練に参加する様子
タイプ:特殊作戦部隊
役割:重要ターゲット襲撃、対テロ、人質救助、対麻薬作戦
この有名な特殊部隊は1962年に海軍特殊戦コマンドおよびアメリカ合衆国特殊作戦コマンドの重要な部門として創設された。
第二次世界大戦までルーツをたどることができるが、実質的には1961年のベトナム戦争時に現在のシールズが結成された。
この数十年間、ネイビーシールズは2003年のイラク侵攻など紛争地域において活動してきた。ネプチューン・スピア作戦(ウサーマ・ビン・ラーディン殺害)は間違いなくネイビーシールズの最大の功績である。
訓練は過酷であり、「残忍」とさえ言われる。平均的にシールズの候補者は入隊まで1年以上を過酷な身体・精神トレーニングに費やす。
1位 特殊空挺部隊(SAS)-イギリス
第二次世界大戦中の北アフリカにおけるSASのパトロール
タイプ:特殊部隊
役割:対テロ、特殊作戦、偵察
特殊空挺部隊(SAS)はイギリスにおける最も古く、最も優れたといっても過言ではない特殊部隊である。1941年に連隊として結成され、後に部隊となった。
SASは第22SAS連隊と国防義勇軍の第21SAS連隊・第23SAS連隊の3つの連隊によって構成されている。第22連隊はA、B、D、Gの中隊で実質構成される。
各中隊には65人以上の隊員が所属し、4つの小隊に分類される。各小隊にはキャプテンに率いられるパトロール隊がある。
英国SASの重要性は、各国の特殊部隊の多くがSASをモデルとしていることからうかがえる。デルタフォースが良い例である。