・新しく開発された加速度計は、従来の加速度計よりも感度が100倍、ノイズが1/10を実現。
・1 µGレベルの分解能を達成。
・さまざまな動作検知アプリケーション、医療やヘルスケアテクノロジーで使用可能。
世界の家庭用電化製品市場は、2024年までに1.8兆ドルを超えると予想されています。アナリストは、加速度を測定する電機機器の加速度計の大幅な需要の拡大を予測しています。大量生産可能な小型機器は、通常、微小電気機械システム(MEMS)技術によって開発されます。
現在、東京工業大学とNTTアドバンストテクノロジー株式会社の研究者らは、従来の加速度計に比べて感度を100倍以上で、ノイズは1/10以下に抑える新しい方法を開発しました。
効率的に加速度計を設計する際、ノイズの低減とサイズの低減の間にはトレードオフの関係があります。 これは、機械的ノイズが加速度計(移動電極の質量)に反比例するからで容量性加速度計でも、感度は加速度計のサイズに正比例し、感度の向上とサイズの縮小の間にもトレードオフがあります。
既存のシリコンベースのMEMS加速度計は、(微小重力のスケールでは)微小なレベルの動力加速度は検出することができません。
新しいデザイン
高解像度の加速度計を開発するために、研究者らは金材料を使用し、プルーフマスとスプリングモジュールに多層金属構造を加えました。 結果として、1 µGレベルの分解能を達成したのです。
参照:センサーと材料| DOI:10.18494 / SAM.2018.1840 | 東工大
研究者は、プルーフマス構造に金のレイヤーを採用し、面積あたりの質量を増やしつつ機械のノイズを低減するのに成功しました。 また、4ミリ角のチップの全面積を利用するためプルーフマスの反りを減らし、容量性加速度計の感度を100倍以上向上させました。
新しい加速度計のチップおよび走査型電子顕微鏡写真|調査員協力
金のプルーフマスMEMS加速度計で測定された数値は、設計値と一致しており、この新しいアプローチの実用性が実証されました。具体的には新機器の機械ノイズ(ブラウンノイズが主なもの)は22 nG /√Hzで、従来の加速度計の同じ静電容量感度のノイズよりも1桁以上低いことがわかりました。
半導体微細加工プロセスと電気めっきを使って加速度計を製造すれば、集積回路チップにも実装でき、メーカーが通常使用する小型加速度計の解像度を向上させることにつながります。
さらにこの加速度計は、モーションセンシングアプリケーション、インフラストラクチャ監視、移動車両制御、軽量ロボット、医療、ヘルスケアテクノロジーなどに応用できます。また、低加速度センシングを必要とする宇宙環境測定や、GPSを使用できないナビゲーションシステムにも適用できるでしょう。