新アルゴリズムとは?
・新しいアルゴリズムは、リアルタイムで2つのオーディオ間のポルタメント効果をアップさせます。
・シグナル音量を上げ下げすることなく、オーディオシグナルの周波数セグメントを別のオーディオシグナルにシームレスにブレンドします。
ミュージシャンは「ポルタメント(ノートのピッチを次のノートのピッチに滑らかに移行させる奏法)」によって、間に別のノートを介さずに、ノートからノートに移行するテクニックを使います。
ポルタメントは、200年以上ミュージシャンによって使われてきたものですが、なんと最近の楽器の中には、バイオリンや人間の声のように、ポルタメントを使わずに、ピッチを絶え間なく変化させるもアルゴリズムが完成しました。
マサチューセッツ工科大学の学生のトレバー・ヘンダーソン氏による研究で、2つのオーディオシグナル間のポルタメント効果をリアルタイムで作ることができるアルゴリズムが開発され、曲と曲がブレンドされ、ピアノ音に人間の声を加えるなど、異なるオーディオクリップをマージすることで、新アルゴリズムを完成させました。
アルゴリズムの仕組みとは?
このアルゴリズムは、「オプティマルトランスポート」という何世紀も前のジオメトリベースのフレームワークに基づいており、複数の構成上でデータ ポイントを移動する最適な方法を自動的に導くことができます。この技術は、3D モデリング、イメージの位置合わせ、流体力学、そしてコンピューター グラフィックスにも使用されています。
ヘンダーソン氏は、互いのオーディオシグナルを全体の傾向から推測して、類似音を補うためにこのフレームワークを使用しました。このアルゴリズムは、初めにオーディオシグナルを小さなセグメント(約50ミリ秒)に分割し、その後オプティマルトランスポートが行われるという仕組みです。
アルゴリズムはこのポルタメントエフェクトにより、オーディオを正確にキープできます。
フェードエフェクトは、2つのオーディオシグナル間のトランジションをスムーズにし、他のシグナルのボリュームが上がる間に、1つのシグナルのボリュームが下がるというのが普通ですが、新アルゴリズムでは、シグナルの音量を上げ下げすることなく、あるオーディオシグナルの周波数セグメントを別のオーディオシグナルにシームレスにブレンドします。
この技術は、音楽機器にまでポルタメントの活躍の場を広げ、異なる楽器やオーディオシグナルのの組み合わせに使うこともできます。リアルタイムで正確に音楽を作ることができるというわけです。
「インターポレーション・パラメータ」は、DJのミキシングボード上のクロスフェーダーなどのスライダー・コンポーネントによってコントロールできます。クロスフェーダーをスライドすると、パラメータが変化し、そこにポルタメントエフェクトが使われます。
2つのシグナル間の歪みをスムーズにするたに、ヘンダーソン氏は、「周波数リアサインメント」という技術を使い、それぞれのノートがシグナル間を互いに行き来できるようにしました。また、オーディオのセグメントをマージしながら、各シグナルの新しいフェーズを合成する新しい方法を開発したので、2つのシグナル間のセグメントはお互い邪魔をすることもなくなりました。
ヘンダーソン氏は、これからの研究で、ポルタメント出力入力を変える技術を発明することを視野に入れているそうです。そうなれば、レガートエフェクト(ノート間の流体、連続運動を表す効果)のアップが期待されます。