・研究者らは、金属ナノ粒子とポリマーでできた次世代メタレンズを開発した
・これは、従来の屈折レンズに代わって、オプトエレクトロニクスデバイスやポータブルイメージングシステムを実現する可能性がある
小さな光学素子は、広角カメラから多機能内視鏡までさまざまな映像機器に使われています。メタレンズは、このような小さな光学素子の新しい活躍の場の一つです。
しかし、メタレンズには、その特性や複雑で高価な製造方法による制限があり、3次元の物体を簡単にイメージングしたり、物理的に動かずに焦点位置を調整したりすることができません。
また、メタレンズの構成要素は硬い材料でできているため、一度作ると形を変えることができません。どのような材料の組み合わせであっても、メタレンズの焦点を調整するために必要に応じてナノスケールの特徴を構成することは、困難を極めます。
ノースウェスタン大学の研究者らが金属ナノ粒子とポリマーからなる次世代メタレンズを開発したのは、これが理由です。このメタレンズは、従来の屈折レンズに代わってオプトエレクトロニクスデバイスやポータブルイメージングシステムを実現する可能性を秘めています。
メタレンズは何でできているのでしょうか?
この研究で開発された多目的イメージングプラットフォームは、銀ナノ粒子でできた、完全に再構成可能なメタレンズをベースとしています。この多目的イメージングプラットフォームは、各イメージングセッションの間に単焦点レンズから多焦点レンズへと変化し、プログラム可能な3次元位置に2つ以上の画像を形成することができます。
このレンズを作るために研究者らは、円筒形の銀ナノ粒子の配列と、金属配列の上にブロック状に整えられたポリマーシートを用いました。このブロックの配置は簡単に制御することができます。ブロックの配置を変えることで、ナノ粒子の構造を変えることなく、ナノ粒子の配列からどの焦点にも光を当てることが可能となります。
上の図は、正方格子にパターニングされた2種類の位相要素に基づくメタレンズの構造を示しています。2種類の位相要素とは、空気中に露出した銀ナノ粒子と、薄い絶縁体ブロックで覆われた同一のナノ粒子のことです。
研究者らは、格子進化アルゴリズムを用いて、有限差分時間領域シミュレーションで測定した電界データをもとに2つの構成要素の配置を調整することで、目標の焦点を狙うことのできる表面格子共鳴メタレンズを開発しました。図bは、SANE(Solvent Assisted Nanoscale Embossing)によってメタレンズが再配置できることを表しています。
この柔軟性の高い技術により、製造会社は、消去・書き込みを1回ずつ行うだけで多くのレンズ構造を製造することができます。消去・書き込みを繰り返して機能を低下させるようなことがなくなるのです。また、ソフトエラストマーマスクを介して、既に形成されたポリマーを別のターゲットパターンに再構築することもできます。