・新しい研究により、有機農法による食品は、非有機農法による食品に比べて環境に悪影響を及ぼすことがわかった。
・有機農法は、食品を生産するためにより多くの土地を必要とするため、間接的に森林破壊が進み、二酸化炭素の排出量が増えることになる。
どのような目的でどれだけの土地を使用しているかということは、気候政策に大きな役割を果たします。原生の植生や土壌は膨大な量の炭素を蓄えており、農業の拡大によるそれらの損失(さらには農業生産に伴う排出物)は、温室効果ガスの排出量の25%にまで寄与しています。
温室効果ガス排出の観点から土地利用の変化の効率性を測定することは、非常に困難な作業です。特に、ある食品から別の食品へと、土地の生産量が頻繁に変化する場合はなおさらです。そのため、これまで科学者たちは、土地利用と二酸化炭素との関係が環境に与える影響を考えてこなかったのです。
スウェーデンのチャルマース工科大学を中心とした新しい国際研究で、研究者たちは、有機農法によるオーガニック食品は従来の農法による食品よりも気候変動への影響が大きいことを発見しました。これは、有機農法による食品がより広い面積の土地を必要とするためです。
彼らは、土地利用による気候への影響を評価する新しい手法を構築しました。この手法を他の手法と組み合わせることで、オーガニック食品と非有機食品の生産量を正確に比較することができました。その結果、オーガニック食品の方がより多くの二酸化炭素を排出することが明らかになったのです。
調査によると、スウェーデンで有機栽培されたエンドウ豆は、従来型農法で栽培されたエンドウ豆に比べて気候変動への影響が50%近く大きいことがわかりました。また、他の食品でもその差は大きく、たとえば、スウェーデンの有機栽培の冬小麦は、気候変動への影響が70%も大きいのです。
オーガニック食品が環境に悪影響を及ぼす最大の原因は、1ヘクタールあたりの収穫量が少ないことです。有機農法では肥料を一切使わないため、従来型農法で生産される食物の量に匹敵するには広い土地が必要になります。
この研究では、(有機農法のための)より広範囲の土地使用を二酸化炭素の排出に間接的に結びつけています。同じ量の食品を生産するために、より多くの土地を使用すれば、間接的に世界のどこかで森林破壊が進むことになります。
実は、乳製品やオーガニック・ミートもこのカテゴリーに入ります。これらは、非有機農法で育てられた同等のものよりも(気候にとって)悪いのです。ただし、著者らは研究論文の中で、このことを示す確かな証拠には言及していません。
気候変動の影響を測る新しい尺度
今回の研究では、「Carbon Opportunity Cost(炭素機会費用)」という新しい指標を用いて、土地の利用拡大が森林破壊による二酸化炭素排出量の増加に寄与しているかを測定しました。この指標では、森林に蓄えられている炭素量と、森林伐採によって放出される二酸化炭素量を考慮しています。
土地利用の拡大が気候に与える影響を測定したのは今回が初めてで、この研究では、この影響が温室効果ガスの影響よりも数倍大きい可能性があることが示されました。また、最近では一部の政府がオーガニック食品の生産に集中的に取り組んでいることも重要な点です。
とはいえ、単純に従来型農法の食品に切り替えればいいというわけではありません。もちろん、オーガニック食品には健康面でいくつかの利点がありますが、何よりも気候を本当に気にかけているのであれば、食習慣を少しだけ変えることができます。羊肉、牛肉、硬質のチーズを、卵、魚、鶏肉、それに豆などの植物性タンパク質に置き換えるだけで、気候変動への影響は格段に少なくなるのです。