・研究員は、軽微な変更のうえ、宇宙エレベーターというコンセプトに戻りました。
・地球にケーブルを固定する代わりに、月に固定し、地球に向かってぶら下げます。
・これにより、月と地球の引力が互いに相殺されます。
・この方法で宇宙エレベーターを作るために、ザイロンのような、丈夫な材料を使用します。
ひとつの理由としては、なぜAvengersやStar Trekのようなフィクションの世界が有名なのか、ということがあげられるでしょう。それは、どこででも実在しそうな、リアリティを感じることができるからです。
1970年から1980年にかけて、私達の惑星の先にあるものを探索するための、宇宙アクティビティが着実に成長していました。これまでのところ宇宙プログラムは、とてつもなく有益であることが裏付けられました。これらは、いくつものソフトウェアや、幅広いアプリケーションに対応したハードウェアを生成しました。
宇宙探索にかかる驚くべきコストは、ひとつの大きな問題です。科学者たちは、全く解決できていません。今日のコストは、地球の軌道に1ポンドのペイロードを入れるために、10,000ドルかかります。しかし、SpaceXは、このコストを1,800ドルまで下げることができます。また、地球の軌道を越えるにはさらに費用がかかります。
研究員たちは、衛星を打ち上げるための、よりコストがかからない方法を探しています。ひとつの解決策は、宇宙エレベーターと呼ばれる、宇宙の交通システムを構築することです。これによって、ケーブルを一貫して地球の表面に固定し、それを宇宙に広げていきます。
これは、ロシアのロケット科学者である、Konstantin Tsiolkovskyによって最初に提案されました。このデザインにおいて大きなロケットは必要なく、惑星の表面から軌道や宇宙に向かい、ケーブルに沿って探索することができます。これによって、コストを劇的に下げることができます。
このような巨大なエレベーターを構築するためには、信じられないくらいに丈夫なケーブルが必要です。もし必要な長さにすることができるのならば、ひとつの有力な材料候補として、カーボンナノチューブがあげられます。鋼鉄、ケブラー、および他の強力な材料と比べると、カーボンナノチューブには高い引張強度(130,000 MPa)があります。
近年、ケンブリッジ大学とコロンビア大学の研究員たちは、少し修正したうえで、このアイデアを再評価しました。地球にケーブルを固定する代わりに、月にケーブルを固定し、それを地球に垂らすのです。
この方法での宇宙エレベーターは、研究員たちによってスペースラインと名付けられました。これは、今日の技術で開発可能です。
どのようにして実現するか?
従来の宇宙エレベーターには、基本的な考え方に従って、地球の表面に固定する42,000㎞のケーブルがあります。また、そのケーブルは、静止軌道を超えて伸びます。そのようなエレベーターの巨大な質量は、遠心力で支えられ、地球の回転に沿って回ります。
一方でスペースラインは、ケーブルを月に固定されるために力との繋がりが弱く、ゆっくり回ります。(起動はたったの1か月です)
スペースラインが月から地球へ拡張してから、月と地球の引力が互いに相殺する、空間領域(ラグランジュポイントと呼ばれる)を通過します。
この地域の下や地球の重力が、ケーブルを引き寄せます。また、この地域の上では、ケーブルが月を引き寄せます。
縮尺通りに描かれたスペースラインのスケッチです。
R=radius of Earth; r=radius of Moon; Rgeo=height of geostationary orbit; D=distance(月と地球の間)
研究員たちが示したザイロンのような丈夫な材料には、月から地球の静止軌道へケーブルを伸ばすのに、十分な強度があります。
この構造を構築することは、明らかに大きなエンジニアリングチャレンジです。最も経済的な鉛筆のようなケーブルでさえ、数十億ドルのコストがかかります。また、他にどのような追加のコストが発生するのか、予測をするのは難しいでしょう。
しかし、もしスペースラインを構築したら、人々を月へ送るためのコストを70%削ることができます。ただ、信じられないくらいに、プロジェクトは難しいでしょう。しかし、現代の宇宙ミッションにおいて、不可能ではありません。
また、科学者たちは、地球や月などの2体システムの重力が、引力と反発の強化された領域を生成する、ラグランジュポイントを探索することができるようになるでしょう。
この場所の重力はとても弱く、破片もあまりありません。そのため、プロジェクトを建設するのに、安全で適した場所だと言えるでしょう。
研究員たちは、ラグランジュポイントベースキャンプが、宇宙エレベーターを早期に使用するのに重要な要素だと信じています。そのことによって、宇宙での次世代の天文機械の製造(望遠鏡、重力波検出器、その他の衛星機器など)が可能になります。また、惑星間ミッションの打ち上げ場所としても使用されることでしょう。
これは、団結した努力と投資によって、これから数十年の間に現実のものとなるでしょう。研究員たちは、この調査結果が質問やディスカッションを促し、また、宇宙エレベーターの評価につながると信じています。