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金より「銅」が優秀な場合もあります!銅と酸化グラフェン利用で最も強力なバイオセンサーシステムを構築

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本記事は、Most Powerful Biosensor System Built With Copper and Graphene Oxide
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約2分41秒

・銅と酸化グラフェンをベースにした世界初のバイオセンサー・チップが開発された。
・標準的な構成であるため、既存の工業用バイオセンサーと互換性がある。
・携帯電話、ウェアラブルなガジェット、スマート衣服にも組み込むことができる。

 

バイオセンサーは、生物学的反応を電気信号に変換する分析機器です。通常、バイオセンサーシステムは、バイオトランスデューサ装置、生体認識サイト、プロセッサ、信号増幅器、ディスプレイを含んでいます。

 

小型のバイオセンサー・チップは、分子間相互作用の動力学を研究したり、特定の病気の原因分子を見つけたり、食品や植物からの漏出など、いくつかのものに含まれる危険な物質を特定するために使用されます。また、製薬会社や組織が薬を作るのにも広く使われています。

 

一般的に、すべてのバイオセンサー・チップはナノメートルの厚さ【1ナノメートルは1メートルの10億分の1】の金シートで作られています。なぜなら、金は化学的に非常に安定しており、光学特性に優れているからです。しかしながら、金は完璧な素材ではありません。その大きな理由のひとつは、コストです。

 

金は、銅に比べて25倍もコストが高いのです。また、エレクトロニクスの小型化に使われる商業的プロセスとは相性が悪く、デバイスの大量生産における金の応用の可能性は限られています。

 

このたび、モスクワ物理技術研究所の研究者たちが、銅と酸化グラフェンというユニークな素材をベースにした新しいバイオセンシング・チップを開発しました。信じられないほど高い効率と感度を達成し、バイオセンサー開発の新たな道が開かれました。また、ほとんどの構成が標準的であるため、現在の工業用バイオセンサーと互換性があるのです。

 

なぜ金ではなく銅と酸化グラフェンなのか?

銅の光学特性は、金と同じくらい優れています。ただ、銅は電気伝導体として広く使われているものの、他の素材と同様、完璧ではありません。腐食や酸化に悩まされるからです。そのため、これまでバイオセンサー・チップには使われていませんでした。

 

この問題に対処するため、研究チームは厚さ10ナノメートルの誘電体層で銅を覆いました。この方法が非常にうまくいったのです。実際、この薄い層はチップの特性をわずかに変化させ、超高感度を実現しました。

 

表面プラズモン共鳴バイオセンサーの模式図
出典:研究チーム

 

設計をより改良するため、研究チームは誘電体シートの上に酸化グラフェンの層を追加し、バイオセンサーの感度をさらに高めました。

 

酸化グラフェンは、グラフェン【炭素原子が六角形の繰り返しパターンで結合した非常に薄いシート状の物質】を酸化させることにより変換された物質で、一部の炭素原子に酸素の基が結合しています。これらの基が、検査対象となるタンパク質分子とデバイスの表面との間につながりを確立するのです。

 

また、酸化グラフェンはグラフェンよりも安価で製造が容易です。酸化グラフェンは表面積が大きいため、コンデンサーやバッテリー、太陽電池などの電極材料に適しています。

 

研究チームが酸化グラフェンを使ってバイオセンサーの感度を高めたのは、今回が初めてではありません。2015年には、酸化グラフェンの層をベースにした表面プラズモン共鳴【表面への分子の吸脱着挙動を金属表面近傍の屈折率変化として非標識かつリアルタイムで追跡できる方法】バイオセンサー用の新しいセンサーチップを発表しています。その感度は工業用センサーチップの3倍でした。

 

今回、研究チームは銅-誘電体プラズモン界面に基づく表面プラズモン共鳴バイオセンサー・チップを提案しました。薄い銅シートが、プラズモンの励起をサポートし、外部レーザー照射と効果的にリンクさせることができるのです。

 

応用

銅のチップは既存のマイクロエレクトロニクス技術と互換性があるため、これらのバイオセンサーは 携帯電話やウェアラブル機器、ガジェット、さらにはスマート衣服【電気を通す繊維素材などを用いて、心拍数や体温、消費カロリー、姿勢、位置などの測定センサー機能を備えた衣料】に組み込むことができます。

 

最近では、SamsungやIBMといった巨大企業が、ジャイロスコープや加速度計のようなモーション・センサーや、自社製品に組み込むことができる小さなセンシング・チップを作ろうと懸命になっています。

 

さらに、Apple、Microsoft、Googleなどの大手ハイテク企業が、スマートガジェットや、機械と人間の脳の仲介役となる生体インターフェースに人工知能を実装しようと取り組んでいます。将来、これらのバイオセンサーがもたらす多大な影響を目にすることができるでしょう。

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