世界で最も有名な理論物理学者であり宇宙学者であったスティーヴン・ホーキング博士【1942年1月8日~ 2018年3月14日】は、ホーキング放射、ホーキングエネルギー、ギボンズ-ホーキング準位、ギボンズ-ホーキング効果、ペンローズ-ホーキング定理など、科学における画期的な業績で知られています。宇宙の起源やブラックホールに関する彼の理論は、私たちの宇宙に対する理解を一変させました。
これらの科学的理論や方程式に加えて、地球上の人類の未来について大胆な予測をしたことでも知られています。ここ2、3年で行われた驚くべき予測について、正気の沙汰とは思えない人々もいるかもしれません。この記事では、彼の最近の予測をさらに掘り下げ、実際に何を考えていたのかを探ってみます。
4. 2600年までに地球は人口増加に追いつけなくなる
2017年のテンセント科学WE大会(Tencent WE Summit)で、ホーキング博士は、人類は今後数世紀にわたって人口増加率に対応しなければならない、と述べました。世界の人口は40年ごとに倍増しています。このペースでいくと、2600年には世界の電力消費量が地球を赤熱させ、人類は地球から脱出しなければならないことになる、というのです。
3. 地球に残された時間はあと1世紀
画像出典:Wired
医学の進歩により、人間の寿命はほぼ100年になりました。2017年、ホーキング博士は、地球に残された時間も100年である、と提唱しました。彼はBBCのインタビューで、人類の将来について懸念を表明したのです。ちなみに、彼は2016年にも同じことを予測していましたが、その時のタイムリミットは100年ではなく1,000年でした。
BBCは2017年初頭に、新しいドキュメンタリー『Stephen Hawking: Expedition New Earth』【新地球探検】を発表しました。この中で、ホーキング博士が信じていることを詳しく説明しています。人口増加、気候変動、森林伐採によって、地球は徐々に不安定になっているのです。
人類はこの惑星を去り、宇宙のどこか、別の惑星か宇宙船で再繁殖しなければならないでしょう。ホーキング博士によれば、人類が多惑星種にならなければ、来世紀中に滅亡する可能性がある。与えられた時間内に地球上で災害が発生する確率は非常に低いものの、数年単位で積み重なり、今後1,000年以内にはほぼ確実なものになる、ということです。
2. 人工知能は文明史上最悪の成果かもしれない
2017年、多くのテクノロジー系著名人が人工知能(AI)に関してかなり声を荒げています。かなりの影響のあることがすでに起こっていて後戻りできないのです。11月、ホーキング博士は、将来AIはまったく新しい生命形態となり、最終的にはあらゆる面で人間を凌駕するだろう、と説明しました。
ホーキング博士は、汎用人工知能の開発に成功すれば、我々の文明史上最大の成果となるだろうし、最悪の成果になる可能性もあると認めました。人類がAIによって無限に助けられるのか、無視されるのか、あるいは壊滅させられるのか、私たちにはわかりません。
さらに、人類が潜在的なリスクに備える方法を学ばない限り、AIは最悪の成果となり、強力な自律兵器や新たな形の脅威といった危険をもたらす可能性がある、と付け加えました。また、世界経済に混乱をもたらす可能性もあります。だから、事前にその影響に備えておく方がいい、ということです。
ホーキング博士は、人間はコンピュータウイルスを開発したのだから、いずれ誰かが、「自己を改良し複製するAI」を設計するだろう、と述べました。
1. トランプ氏は地球を崖っぷちに追いつめるだろう
当然のことながら、ホーキング博士はドナルド・トランプ氏【本記事執筆時点ではアメリカ合衆国大統領】のファンではありませんでした。2017年の初めに、トランプ氏がパリ協定からの離脱を決めたことで、不可逆的な気候変動につながる可能性がある、と博士は述べていました。
実際、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「気候の転換点を迎える可能性のあるリスクは依然として不確実であるが、自然システムにおけるいくつかの転換点を超えることに伴うリスクは、気温の上昇とともに増大する」と言及しています。
パリ協定は、今世紀の気温上昇を2℃未満に抑え、さらに1.5℃に抑える努力をすることで、地球規模の気候変動の脅威に対応することを目指しています。ホーキング博士によれば、トランプ氏の決断は、私たちの地球を金星のように250℃の高温にさせ、硫酸の雨を降らせる、という崖っぷちに追いつめる可能性さえあるということです。