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今話題のカーボンナノチューブとは?特性と用途を紹介!

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本記事は、What Are Carbon NanoTubes? | Properties and Applications
翻訳・再構成したものです。
配信元または著者の許可を得て配信しています。

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読了時間 : 約5分27秒

・カーボンナノチューブは折り曲げられたグラフェンから生成される、円筒上の分子です。

・合成されると最も固く強い物質になります。

・ユニークな電気的、熱的特性を持っています。

・ナノチューブは電気系から材料科学まで様々な用途があります。

 

1991年にカーボンナノチューブが発見されてから、長い間注目されています。例えばナノサイエンスの分野では、世界中のたくさんの大学と組織がこれらの材料の謎を解明するために数百万ドルを投資しました。

 

カーボンナノチューブは炭素の興味深い同素体です。様々な、ユニークかつ今までには発見されなかったような特性を持っています。端的に言うと、人間の髪の毛より細い状態で密度が高く強いのです。

 

カーボンナノチューブはグラフェンから形成され、とても小さい構造を持っています。グラフェンは炭素原子の単層で、2Dの6角形格子で強く結ばれています。

 

それらは用途に合わせて幅広い長さに形成されます。構造は信じられないほどに軽く安定していて、将来的に素晴らしい材料を開発するためのポテンシャルを持っています。実は、それらは軌道エレベーターを構成するための最も有力な材料と考えられているのです。

 

下記に、ナノチューブ生成の工業的なプロセス・特性・用途を記載しました。魅力的な分子についてこれまで得た知識の簡単な概要をまとめています。

ナノチューブの2つのタイプ

カーボンナノチューブは構造に基づいて分類されます。

単層のジグザグとした見た目のカーボンナノチューブ

 

1)単層のナノチューブ(SWNTs):1つのナノチューブの長さは直径の数倍にもなります。それらは炭素の同素体の1つで、平面状のグラフェンと箱のような形をしたフラレンの構造を相互に行き来します。

 

2)複数の構造を持つナノチューブ (MWNTs): いくつかの同心円状に連結したカーボンナノチューブで構成されています。100ナノメートルを超える直径で、数マイクロメートル(または数ミリメートル)もの長さになることもあります。

3層構造のカーボンナノチューブ

 

どちらの構造もまったく異なる特性を持っており、別の用途に使われるナノチューブを作り出します。

誰がカーボンナノチューブを発見したのか?

たくさんの科学者がカーボンナノチューブの存在を報告したので、これは物議をかもす質問です。2006年に発行された論文は、魅力的ではあるものの、カーボンナノチューブの間違えた起源が記載されていました。

 

カーボンナノチューブの歴史は1950年代まで遡りますが(当時2人のロシア人科学者が50ナノメートルのカーボンナノチューブのはっきりとした画像を発表しました。)、ほとんどのアカデミックで有名な文献は日本の科学者である飯島澄男がグラファイト状の炭素で構成されたナノメートルサイズのチューブを発見した第一人者であると記載しています。

 

彼は1991年に複数構造を持つカーボンナノチューブについて記載した論文を発表し、カーボンナノ構造の研究に熱心でした。

それらはどのように作られるのか?

カーボンナノチューブはいくつかの方法で作られます。3つの最も一般的な生成方法は、放電・レーザーアブレーション・化学気相成長です。

 

アーク放電は伝統的な方法で、2つの炭素の末端同士が繋りアーク蒸発されることで生成されます。これらのナノチューブは蒸発とすす粒子から分離されます。

 

レーザーアブレーションにおいて、グラファイトを蒸発させるために不活性ガスとパルスレーザーが(高温で)使われます。カーボンナノチューブは蒸発物から抽出され、通常はさらに精製する必要があります。

 

化学気相成長のプロセスは、もっとも容易です。コントロールの効く環境下で、低コストで大量にナノチューブを生成することができます。それゆえに、近頃はカーボンナノチューブを合成する最も一般的な方法です。

 

このプロセスでは、製造業者が炭素を含む反応のガス(一酸化炭素または水素)を金属触媒(鉄など)と反応させ、高温触媒下の炉内でナノチューブを生成します。生成工程は、プラズマ反応または精製された触媒下での反応です。触媒下での反応はプラズマ反応の工程(200-500℃)と比べて、より高い温度(750℃まで)を必要とします。

アンドレイ・ペルロフ/求電子材/Getty Images

 

これまでに紹介したすべての方法において、生成物は超音波や酸処理などの異なる方法を用いてさらに精製する必要があります。

カーボンナノチューブの特性

機械的特性-弾性率と張力の観点から見ると、カーボンナノチューブは最も固く強度のある材料です。この強さは、炭素原子同士のsp2共有結合間の分子間相互作用が極端に強いことに起因しています。

数種類の材料の機械的特性の比較

 

ナノチューブはかなり弱いファンデルワールス力によって結合されています。たいてい、カーボンナノチューブは直径よりも長いです。2013年に、ある研究チームが0.5メートルの長さのカーボンナノチューブを作り、直径と長さの比は1:132,000,00でした。

 

2008年に行われた研究では、個々のナノチューブが100ギガパスカルの強度を持つことを証明しました。しかしながら、一般的な単層のナノチューブは変形することなく25GPaの圧力に耐えられます。

 

電気的特性-カーボンナノチューブは例外的な電気伝導率を示します。金属製もしくは半伝導性で、これらの特性はグラフェンの下か上のどららにチューブが巻かれているかには依存しません。電気的特性はナノチューブとその鏡像体で同じ性質を示します。理論的には、金属製のナノチューブは銅などの金属の約1,000倍もの電流密度を有しています。

 

光学的特性-カーボンナノチューブは有益なフォトルミネセンス、光吸収、ラマン分光法の特性を有しています。それらは構造的に欠点があり管状ではない炭素含有物において、信頼性があり迅速な特徴づけを可能にします。これらの特徴は電気的、機械的、光学的なすべての重要な特性を決めます。

 

電気化学、電気的特性、熱的特性はたくさんの分野で活用例がありますが、光学的特性の活用はまだ明らかになっていません。現段階では、LEDや光電子メモリデバイス、ボロメーターなどは、単層のカーボンナノチューブを利用して作れることが明らかになっています。

 

熱的特性ーカーボンナノチューブは新しい材料を開発するための特別な熱的特性を有しています。実は、熱伝導率がダイアモンドに比べて極めて高いのです。室温でも単層ナノチューブの熱伝導率は3500 W·m−1·K−1です。ナノチューブの熱安定性は空気中で約750℃、真空中で約2800℃です。

用途

ここ20年の間、カーボンナノチューブの値段は1500ドル/gから2ドル/gまで下がりました。これは、特に材料科学と電気化学の分野で幅広い用途に使われる理由となりました。

 

最近の用途としては、平面状のパネルディスプレイやセンサーデバイス、スキャニングプローブ顕微鏡、風車、船用塗料、自転車の部品、ホッケーのスティック、スキー板、野球バッドのようなスポーツ用品にも使われています。

単層のナノチューブから作られている柔軟性のある水素センサー|データ元:Dr. Sun/Argonne

 

大半のカーボンナノチューブはベンタブラックを作るために使用されます(可視光の99.96%を吸収する、最も暗いことで知られている材料)。ティッシュエンジニアリングでは、骨の成長のための足場として使われます。

 

将来、ナノチューブは多くの目的を果たすでしょう。例えば、がん治療、環境調査、畜エネルギー、平面状のパネルディスプレイ、航空機体、レーダー、宇宙船などです。

 

参考資料:世界で最も暗い材料の1つであるバンタブラックの11の真実

カーボンナノチューブの健康リスク

カーボンナノチューブは長い歴史の中で新しく発見された材料です。そしてまだ発見されていないことがたくさんあります。この材料により負傷者などはでていませんが、いくつかの研究ではナノチューブが石綿に似た健康リスクがあることを示しています。

 

将来的な健康リスクを警鐘しているわけではありませんが、カーボンナノチューブを使用している会社は人体にさらされることを避けるために対処しなければいけません。

 

2013年に、独立行政法人労働者健康安全機構はリスクの詳細をまとめたレポートを発表し、カーボンナノファイバーとナノチューブを人体にさらす量を制限することを推奨しました。2016年に、欧州連合は単層カーボンナノチューブの商業化における規制を決めました(10メートルトンまで)。

 

参考文献: NEMS – NanoElectroMechanical Systems | A Simple Overview

最近の研究

多くの研究が同じ分野でされており、近年その動きが加速しています。

 

たとえば、2019年には科学者が物理学的にカーボンナノチューブを計測する方法を見つけました。研究者の他のチームは14,000のカーボンナノチューブで作られた16ビットのマイクロプロセッサーの検証を行いました。

 

2018年には、虹の中にきれいな状態の単層ナノチューブをたくさん生成しました。これは太陽電池用のコート剤やタッチスクリーンのテクノロジーに利用できる可能性があります。2017年には、価値の高まった単層のカーボンナノチューブが、シリコンゲルのようなこれまでに使われていた材料よりも効果的で持続可能な生成方法があることを発見しました。

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